強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*

文字の大きさ
15 / 37

歩き出す、恋心 1

しおりを挟む


あの後、どうなったんだっけ。俺。

それと、神田。

どういう意味でかわからないけど、真っ白になった。

嬉しくてなのか、混乱なのか、別の感情か。

気がつけば、自分の車の中って。

「どゆこと?」

しかも今いる場所は、神田の家のそばだ。

「ってことは、多分送った後」

何を話したのか、逆に何も話さなかったのか。

神田の告白から、関係が変わったのか違うのか。

「なんもわかんねえ」

大きく息を吐き、タバコを取り出した。

口に咥え、火を点け。

大きな通りへと車を走らせる。

帰りしな、量販店でちょっと多めにビールとつまみを買って帰る。

「普通にしてて、寝れる気がしねえ」

それだけの理由だ。

っても、酒には強い方だから、いくら飲めばいいんだかわからない。

ベッドのそばで飲んで、眠くなったら寝ようと思った。

一缶目を飲み、チータラを咀嚼して。

――――そのあたりで、作者が何かしたんだろう。

たった一缶しか飲んでないのに、俺は寝落ちしていた。

ベッドにもたれかかる格好で、朝まで。

「……さむっ」

目が覚めたのは、何も掛けずに寝ていたせいか。それとも、夢の中でのアレか。

「作者の野郎。好き勝手しやがって……、あんなセリフ、俺がいうわけないっての」

不確かを、確か…にされた。

というか、勝手に夢の中で、作者のひとり言が聞こえてきただけなんだけど。

昨日の俺は、二人でボールを片付け、彼女を送るからと誘い。

「なーにやってんだよ、俺は!」

テンプレみたいに、夜景がきれいに見える場所へとドライブをして。

「さっきは、ごめんなさい。あんなこと、先生に言ったところで迷惑でしかないのに」

と、告白を詫びてくる彼女に対してこう返していた。

うつむく彼女の横顔に顔を寄せ、頬に軽く口づけてから。

「俺も同じだ。不謹慎な教師なんだと思う。そして、俺の気持ちを伝えたって、神田に負担しか与えない。……きっと」

頬にとはいえキスをしておいて、それを言うのか。俺。

「先生……」

「それとも、俺の気持ちも伝えていいか?」

見つめ合う二人。

神田は両手を胸元で指を恋人繋ぎのようにし、俺へ何かを祈るような格好で頷く。

「わかってるだろうけど、俺は教師で、お前より大人で。いろんな立場があって、同じ部の顧問とマネージャーで」

「…はい」

「どの生徒もみんな大事で、可愛くて」

「…はい」

「俺は俺で、大した目立つ教師でもないし。特別なスキルがあるわけでもない。だから、どうして好意を持ってもらえたのか…わからない」

「そんなっ」

「だって、そうだろ? もっとかっこいい教師はたくさんいるし、神田と同年代にはもっと魅力的なやつらが多いだろ。センスがいいやつもいたし、神田のことを大事に想っている奴のことも、俺は知っている」

「違うよ? 先生」

「え」

「あたしは、別に…かっこいいとか悪いとか、センスがいいとか悪いとか。そういうとこで、先生のことを」

と、生徒に慰められはじめる、それこそかっこつかない俺。

なのに、神田はそうじゃないって言うんだ。

「先生だから、好きなんです。教師だからとか、大人だからとかでもないんです」

「…神田」

「気になっちゃうんです、どうしても。目で追っちゃうんです、いつも」

誠実って感じがする。

嘘っぽさが見当たらない。

「ね、先生。それって」

そこまで言ってから、俺をじっと見つめて。

「恋、ですよね」

恋の定義。

素直なこの娘だから、俺へとくれたんだろう。

だったら、俺もその想いに応えたい。

「……じゃあ、俺も」

そういってから、彼女が祈るように組んでいる手の上にそっと手のひらを重ねて。

「恋、してんだろうな。お前に」

耳元に顔を寄せ、囁いた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

処理中です...