ゼロから始めたいテンプレ生活

3章

てぇんせいの鍛治職人

あれから俺はモースへ戻り、2人の身柄を引渡し、今はベッドの上でぐったりしているところだ

2人の尋問はそのうち始まるらしいが…
今はどうでもいいや

なにせ帰ってくるまでの間ずっとアリナバカが決闘決闘うるさかったからな

ウザったいのもいなくなったし…少し寝るかな

そう思って目を閉じると眠りにつこうとする



『…見つけたぞぉ！』


「…ん？」


何かが聞こえた気がして体を起こし、耳を澄ます

が、何も聞こえない

「…気のせいか？」

再び寝ようとしたところで部屋の扉が外れるくらいの勢いで開かれた
そこには和服姿の江戸っ子みたいな
いかにもめんどくさそうな男が1人いた

「見つけたぞぉ！あんたがマコトだな！？」
「…人違いです。」

…寝かせてくれよ…

「それだそれ！その剣が見たかった！」


男は俺の言葉も聞かず、部屋に入って剣の側に近寄り、じっくりと眺める


「おい…あんた…」
「すごいなぁ…見ただけで大業物とわかる…」
「おい！あんた！」
「あ、茶でも出しといてくれます？」
「いい加減に…しろぉ！」

男にゲンコツを食らわし、宿に男の叫びが響き渡った




「…反省したか？」
「スミマセン。」

今はこいつを床に正座させ、反省させているところだ
先程のゲンコツは怒ってそれなりに力が入ってしまったが拳くらいのたんこぶが出来るくらいで済んだ
『神眼』で見てみるとどうやら

『鉄壁︰手・頭』︰常時発動
【鉄頭】︰頭のみ防御力が大幅に向上

のスキル、称号を持っているようだ


「いやぁ、本当にすまなかった！武器とかのことになると頭がいっぱいになってな！」
「はぁ…」

男は深く頭を下げる
ーそう、この男は…

「なにせ鍛治職人だからな！」

【天性の鍛治職人】の称号を持つ鍛治職人なのだ

名はランゴ
俺より1･2歳上くらいの長身の男で
楽観的に人生を送ってそうな男だ

俺はため息を吐き、ランゴに言う

「…それで武器はどうだったよ？」

ランゴは目を輝かせて言う

「それはもう最高だ！剣の素材は何が使われたかわからんが…何か竜の力を感じる。世界に10もこんな業物はないだろうな。」

流石天性の鍛治職人
竜の力さえも感じ取るか…

「なぁランゴ…」
「なんだ？」

こいつならいけるかもしれない…
そう思い俺はアイテムボックスから竜の鱗などを取り出す

「そいつは…」
「こいつで防具…作ってくれないか？」

どうだ？詫び思いに作ってくれないか？

「ふむ…竜の素材とはな…」
「…難しいか？」
「ああ。こいつは素材の中でも飛び切り上級のもんだ。売れば城でも買えるだろうな。」
「まじか…」

竜神の素材ってそんなにするのか

天性の鍛治職人といえど竜の素材で武具作成は難しいみたいだな

他に依頼もあるだろうし、無理強いは出来ない
諦めてドワーフとかそんな感じのやつ探すかな…
そう思っているとランゴが口を開いた

「…わかった。強引に部屋入って悪かったしな。」
「じゃあ…」
「作ってやるよ！竜の防具をな！」
「ほんとうか！？」
「おうよ！男に二言はないぜ！」

胸をドンと叩いてランゴが言う
もう男っていうより漢だな

「ここで縁を作っておけばお前はまた珍しい武器見せてくれそうだしな！」
「それが本音か…」
「まあな！」

そんなに堂々と言われてもな…
何がどうあれこれで防具は作れる
これで活動の幅も広がるだろう

「そのついででさ…これに出てくれないか？」

ランゴが1枚の紙を差し出す

「…これは？」
「王国一の戦士を決める戦い、コロッサスさ。」