銀獣-王道BLを傍観するつもりが巻き込まれました-【本編完結。SS公開予定】

レイエンダ

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第一章 転校生

いざ、理事長室へ



「お待たせー」
「あ、鵤先輩!」


 入り口近くの壁に、気怠そうにもたれかかる野山の姿があった。


「待たせちゃってごめんね。じゃあ行こうかー」


 一言謝ってから、理事長室へ向かうために真ん中エレベーターへと乗り込む。
 6と書かれたボタンを押し、「ピンポーン」という到着音がするまで待つことにした。


ーーー…ピンポーン。


 そして待つこと二分。
 静かなエレベーター内に到着音が響き渡った。
 こっちだよー!と、たまに後ろを振り返りながら歩く。
 一本道だからはぐれるという事はないと思うが、何が起こるかわからない。
 さっき方向音痴だとか言ってたし、念には念をというやつである。
 たまに通りかかる事務員の人に挨拶をしながら、無事に理事長室に到着した。


「理事長室……ですよね?」


 目の前の光景が信じられないのか、唖然と立ち尽くし、問いかけてくる野山。


「そ。君の叔父さんがいる理事長室だよー」
「華やか過ぎません?特にここ」


 野山は見た目からして高そうな花瓶を指差し、こちらを見る。
 うん。
 俺も初めてここに来た時、君と同じ事を思ったよ。
 でも、


「わかりやすくていいんじゃない?ここが理事長室ですよーって」


 いい目印ではあるよ。
 これがなかったら、きっと先程通った事務室を理事長室だと勘違いする人もいると思うし。


「いや、こんなにはいらないですって。花も自己主張激しいし、目がチカチカします」
「そこは慣れかなー。とりあえず入ろ。きっと待ちくたびれてると思うし」


ーーー…コンコンコン。


 俺は重そうな扉を三度ノックし、ドアノブに手をかける。
 野山に「失礼します」と言わせ、入りやすいように片側の扉だけを開ける。
 それから数秒ほど経ったぐらいだったと思う。


「正人ぉぉぉぉーーーーー!!!!」


 目の前にいたはずの野山が、床へと倒れこんだのは。


「だぁぁーー!!離れろバカ!っちょ、痛い。まじで痛いからどけ。死ぬ」


 倒れ込んだ野山の上には紺色の物体が覆いかぶさっている。


「おー痛かったか。わりぃわりぃ」


 しかしすぐにその紺色の物体は野山から離れる。


「……って、は?なんでお前がいるわけ?」


 俺の存在にようやく気がついたのか、紺色の物体……ではなく、理事長は驚きを通り越して青ざめた顔をしていた。
 それもそうだろう。


「なんかいつもと違いますねー」


 クールで何事も簡単にこなし、生徒の憧れでもある理事長が、満面の笑みで野山に抱きついていたのだから。
 笑顔を貼り付けたままの俺を見て、この世の終わりだと嘆くやうな顔をしていた。
 理事長は人前で醜態をさらしたことに。
 野山は敬語を使い忘れたことに焦りを感じているようだ。


「固まってる場合じゃないですよー。言い訳なら中で聞きますから、とりあえず入りませんか?」
「あ、あぁ」
「そう、ですね」


 俺の言葉に頷き、ゆっくりと理事長室へと入っていく。
 フラフラと魂が抜けたかのように、放心状態のまま。
 入り慣れてはいるものの、理事長室は相変わらず広かった。
 花が大好きなのか、部屋のあちこち花瓶があり、見たこともないような花が飾られている。
 綺麗に育つように光が入りやすい作りになっており、ポカポカと暖かい。
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