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第一章 転校生
黒犬はだーれだ
「まず、ここエリオ学園は小学校から大学までエスカレーター式の男子校。幼い頃から女性と接する機会がないせいもあり、恋愛対象はほぼ全員同性。つまり、この学園は同性愛者ばかりということ。ここまで大丈夫ー?」
少し首を傾げながら問いかければ、
「……え?」
案の定、野山は驚いた顔をしていた。
口をだらしなく開け、変装でつけているであろうピン底メガネも鼻先までずり落ちている。
顔が見えるかもしれないと思い覗き込んではみたが、長い前髪のせいで見ることはできなかった。
然程興味もないし、別に見れても見れなくてもどちらでもいいんだけどね。
実際。
「で、この学園の行事の計画や生徒指導、書類作成は全て生徒会と風紀委員が行っていて、理事長は主に書類整理を行ったりしている。その他何をしているかは俺にはよくわからないけど、だいたいそんな感じ」
「…はぁ」
明らかにテンションが下がっている野山を無視し、俺はさらに話を続ける。
「校舎は案内していると日が暮れるから、この校内見取り図で自分で頑張るか、他の人に案内してもらってねー。それと、」
これから話すことは、別に言わなくてもいい事なんだけど、知っておいた方が野山にとってプラスになるだろうし、教えてあげる。
先輩である俺からの細やかな転入プレゼント、というやつだ。
今後の生活にかなり役に立つと思うよ?
きっとね。
「俺と書記の政宗って奴以外の生徒会メンバーは、数ヶ月前まで街に出没していた黒犬って呼ばれてる人をを探してるんだー」
「はぁ!?……いっ!」
今度は先程とは違い、衝撃のあまり立ち上がってしまった野山。
車の天井に頭をぶつけたのか、顔を歪め、ぶつけた部分を抑えて座り込む。
ぶつけた時の音は相当なもので、運転席にいる太一がミラー越しにこちらの様子を伺っている。
その顔はとても心配そうで、太一の優しさに心が少し暖かくなった。
「痛がってる所悪いんだけど、時間が無いから続けるねー」
酷い奴だなー、とか思った?
でもさ、真面目に時間がないんだよね。
校舎まであと数分で着いてしまうし、校舎の入り口まででいい!って理事長に強く言われてるんですよ。
それはそれは強く、ね。
だから悪く思わないでね?
文句なら理事長にどうぞー。
「その人との間に何があったかは知らないんだけど、引いちゃうぐらい血眼になって探してるんだよねー。何か知っていることあったりするー?」
質問をしてはいるが、俺は別に答えを求めてはいない。
これは助言。
蓮夜達が黒犬を……君を探しているから気をつけた方がいい、というね。
「ぶ、黒犬ですか?し、知らないです」
しどろもどろになりながらも、どうにか答える野山。
「そっかそっか。ありがとう。あと、生徒会や風紀委員会には親衛隊っていうものがあるから、気をつけてね。俺の親衛隊は穏健派でいい子達ばかりだけど、他のメンバーの親衛隊は九割過激派だから、目をつけられないようにした方がいいよー。政宗の親衛隊は中間って感じかなー」
「黒犬……黒犬……黒犬……」
話を変えても、黒犬を探しているというのが衝撃だったのか、隣で呪文のように繰り返し唱えている。
野山から殺気にも似た黒いオーラ出ているのは、気のせいではないだろう。
理事長もこの件に関しては知っているはずなのだが、どうやら本人に話ていなかったようだ。
理事長、下手したら殺されるんじゃないか?と最悪な状況が頭をよぎったが、俺の知ったことではないので、知らぬ存ぜぬで通そうと思う。
うん。
それが一番いいね。
きっと。
少し首を傾げながら問いかければ、
「……え?」
案の定、野山は驚いた顔をしていた。
口をだらしなく開け、変装でつけているであろうピン底メガネも鼻先までずり落ちている。
顔が見えるかもしれないと思い覗き込んではみたが、長い前髪のせいで見ることはできなかった。
然程興味もないし、別に見れても見れなくてもどちらでもいいんだけどね。
実際。
「で、この学園の行事の計画や生徒指導、書類作成は全て生徒会と風紀委員が行っていて、理事長は主に書類整理を行ったりしている。その他何をしているかは俺にはよくわからないけど、だいたいそんな感じ」
「…はぁ」
明らかにテンションが下がっている野山を無視し、俺はさらに話を続ける。
「校舎は案内していると日が暮れるから、この校内見取り図で自分で頑張るか、他の人に案内してもらってねー。それと、」
これから話すことは、別に言わなくてもいい事なんだけど、知っておいた方が野山にとってプラスになるだろうし、教えてあげる。
先輩である俺からの細やかな転入プレゼント、というやつだ。
今後の生活にかなり役に立つと思うよ?
きっとね。
「俺と書記の政宗って奴以外の生徒会メンバーは、数ヶ月前まで街に出没していた黒犬って呼ばれてる人をを探してるんだー」
「はぁ!?……いっ!」
今度は先程とは違い、衝撃のあまり立ち上がってしまった野山。
車の天井に頭をぶつけたのか、顔を歪め、ぶつけた部分を抑えて座り込む。
ぶつけた時の音は相当なもので、運転席にいる太一がミラー越しにこちらの様子を伺っている。
その顔はとても心配そうで、太一の優しさに心が少し暖かくなった。
「痛がってる所悪いんだけど、時間が無いから続けるねー」
酷い奴だなー、とか思った?
でもさ、真面目に時間がないんだよね。
校舎まであと数分で着いてしまうし、校舎の入り口まででいい!って理事長に強く言われてるんですよ。
それはそれは強く、ね。
だから悪く思わないでね?
文句なら理事長にどうぞー。
「その人との間に何があったかは知らないんだけど、引いちゃうぐらい血眼になって探してるんだよねー。何か知っていることあったりするー?」
質問をしてはいるが、俺は別に答えを求めてはいない。
これは助言。
蓮夜達が黒犬を……君を探しているから気をつけた方がいい、というね。
「ぶ、黒犬ですか?し、知らないです」
しどろもどろになりながらも、どうにか答える野山。
「そっかそっか。ありがとう。あと、生徒会や風紀委員会には親衛隊っていうものがあるから、気をつけてね。俺の親衛隊は穏健派でいい子達ばかりだけど、他のメンバーの親衛隊は九割過激派だから、目をつけられないようにした方がいいよー。政宗の親衛隊は中間って感じかなー」
「黒犬……黒犬……黒犬……」
話を変えても、黒犬を探しているというのが衝撃だったのか、隣で呪文のように繰り返し唱えている。
野山から殺気にも似た黒いオーラ出ているのは、気のせいではないだろう。
理事長もこの件に関しては知っているはずなのだが、どうやら本人に話ていなかったようだ。
理事長、下手したら殺されるんじゃないか?と最悪な状況が頭をよぎったが、俺の知ったことではないので、知らぬ存ぜぬで通そうと思う。
うん。
それが一番いいね。
きっと。
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