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第二章 表と裏
マリモは政宗がお好き
「春都。顔が死んでる」
現状に嘆いていると、部活に行っているはずの政宗が、顔を覗き込んでいた。
そして、指の腹で俺の額をペチペチと叩いている。
随分な言われようだ。
しかし、本当のことなのだから仕方がない。
俺の顔は死んでいる。
この二週間、平均睡眠時間は三時間。
学校の授業の予習復習をして、授業を受けて、仕事して、仕事して、仕事して。
ここはブラック企業か何かですか?
そう悪態をついたところで、“そうです”と誰かが答えてくれるわけでもなく。
虚しく散っていった。
「ていうか、なんで政宗がいんの?部活は?」
「……時間見ろ。もう終わってる」
呆れたように言う政宗。
パソコンの側に置いていたスマホを手に取り、ボタンを押すと画面が明るくなり、“18:57”と表示された。
もうそんなに経っていたのか、と驚きを隠せない。
政宗がここにいるのは、当然ということか。
「手伝うよ」
「助かるよー。これとこれ、お願いしていい?」
「そこのやつも頂戴。やるから」
書類を持ち、向かい側に座った。
パソコンの電源を入れ、先程まで俺がしていたように、仕事を始めた。
部活終わりだというのに、疲れた表情一つせず、せっせと進めていく。
「あ!政宗先輩!」
人数が増え、タイピング音が大きくなったからか、それとも恋の力なのか。
どちらなのかはわからないが、政宗の存在に気付いたマリモ。
声色から、喜びが伝わってくる。
「政宗先輩も一緒にウノやりませんか?」
蓮夜の足の間から抜け出し、政宗の元へと駆け寄ったかと思えば、ウノと書かれたカードを見せてそう言った。
理事長を呼んでくれ。
今すぐに。
果てしなく空気が読めないバカマリモを連行してくれ。
この学校ではないどこかへ。
「いや、仕事しないとだから」
「でもそれ、春都先輩の仕事ですよね?それなら少しぐらい大丈夫ですよ!」
二時間前に俺の心配をしていたというのに、政宗と遊ぶためなら手段を選ばないのか、容赦なく仕事を押し付けてくる。
「提出期限近いやつだから」
「いつなんですか?」
「明後日」
「じゃあ、今日やらなくても大丈夫ですね!」
「……」
押し黙る政宗。
断る口実がなくなってしまった、という顔をしていた。
「一回しかやらないからな」
根が優しい政宗は、断りきれずに席を立つ。
誰かこいつを止めてくれないかな。
そんなことを考えながら、俺は一人、仕事を片付けることに専念した。
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