銀獣-王道BLを傍観するつもりが巻き込まれました-【本編完結。SS公開予定】

レイエンダ

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第三章 狂い始め

サボりの理由



 授業が終わり、生徒会室へとやって来た。


「春都先輩!お疲れ様です!」


 終わってから数秒で教室を出たというのに、なぜマリモがここにいるのか。
 今年も去年同様、全学年の時間割作成は生徒会が関与して決めた。
 一年は二年より一コマ少なかったか?と疑問に思ったのだが、記憶が正しければ一緒のはず。
 それに、マリモの担任はHRが長いと有名な先生だ。
 この時間にここにいることは、不可能に近い。 
 顔色も特に悪くないし、体調不良では無さそうだ。

 ……サボったな。
 このクソマリモ。


「お疲れー。授業サボったの?」
「うっ!な、なんでそれを……」
「授業はちゃんと受けた方がいいと思うよー」
「だって……」

 だってもクソもないでしょ。
 この期に及んで言い訳するつもり?
 何しに学校に来ているのか、俺は君に問いたいよ。

 政宗と会う為?
 蓮夜達にチヤホヤされる為?
 そんなことの為に来ているというのなら、今すぐにでもここから出て行って欲しい。
 いい迷惑だ。
 恋愛ごっこをしに来る場所じゃないんだよ。
 学校は。
 学ぶ事が大前提で、それがあってこその恋愛や友情があるというのに。

 自分のデスクに、乱暴に鞄を置いた。
 特に気に留めていないのか、マリモは言い訳を続けた。


「だって、机に落書きされたり、陰口言われたり、ノート開いたら剃刀が入ってたりするし、その……教室にいたくなくて」


 親衛隊の仕業だな。
 蓮夜かあおちゃんのところか、麗のところか。
 それとも、三人の親衛隊が結託してやっているか。


「担任には言ったの?」
「言ってないです」
「なんで言わないの?」
「だって、言ったところで解決する見込み、ないじゃないですか」


 靴を脱ぎ、ソファーに体育座りをしているマリモ。

 解決する見込みがないというのは、そう思う事件でもあったのだろうか。
 言葉足らずというか、聞いてほしいアピールがあからさま過ぎてイラつく。

 そもそも、俺は“だって”という言葉が嫌いだ。
 折角の“理由”が、その言葉が前に付くだけで、“言い訳”に聞こえてしまう。
 何一つ良いことはない。


「……っ、ぅ」


 乱暴に置いた鞄から、風紀委員に渡す書類とUSBを取り出していると、微かに聞こえる嗚咽と、鼻を啜る音が聞こえた。

 何がどうなって泣いてるのか。
 全く理解ができなかった。
 俺は理由を聞いただけだ。
 そしてマリモは答えた。
 ただ、それだけのはず。
 泣く要素がどこにあったのかがわからず、軽くパニックを起こした。
 仮面が取れそうになるのを、理性という名の見えない手で抑える。


「……はぁ」


 思わずため息が漏れた。


「っ!ごめんなさい!ごめんなさい」


 すると、狂ったように謝り始めた。
 宥めるべきか否か。
 迷っているところで、救世主が現れる。


「……何で、正人は泣いているんですか?」


 マリモが大大大好きなあおちゃんである。

 仕事しないなら生徒会室に来るな。
 毎日のようにそう思っていたが、今は感謝しかない。
 マリモに拒絶反応が出ている俺には、慰めの言葉なんて出てこないし、泣き止むまで待って話を聞いてやるだけの忍耐もない。
 そして、俺の大嫌いな“言い訳”と“泣き虫”のダブルパンチ。
 耐えきれない。


「なんか、困ってるがことあるみたいだぜー。あおちゃん話きいたげてー」
「え?あ、はい」


 俺と正人を交互に見つめ、状況が理解できないながらも、快く引き受けてくれた。
 安心した俺は、風紀室に向かうべく、急ぎ足で部屋を出た。
 何とかしてやってくれよー。
 100%お前達が原因なんだから。

 心の中で、そう嫌味を言いながら。
 
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