50 / 103
第三章 狂い始め
終わりは突然に
俺とさくらの間に静斎など訪れるわけもなく。
『好きとか言われて絆された挙句、押し倒されるとか美味しすぎる展開よ!?“春都先輩……抱かせて?”とかうるうるした目で言われたんじゃないの!?』
「抱かせてとは言われてねーよ。“挿れたいけど、春都先輩に激しく突かれたい”って淫乱素質ありまくりの発言されたけどな。タイプじゃねーから嬉しくもなんともねーわ」
『何それ。リバ有り要素満点じゃないの!ちょっと春都。今すぐヤってきて。掘って掘られてを繰り返して腰立たなくなった事を恥ずかしそうに私に報告してきて!』
「タイプじゃねーって言ってんの。抱かねーし、抱かせねーよ」
『いいから前立腺擦られてアンアン喘いで来なさいよ!!!』
「なんでキレてんだよ!」
互いに息切れしながら言い合いを続ける。
BLトークになるといつもこうだ。
転校生の話を聞いて、王道ストーリーじゃない!と喜んでいたはずなのに、今では拗らせてとにかく性交渉に持っていこうと必死だ。
“飢えてる”の一言では片付けられないほどの熱に、若干引き気味の俺。
『ていうか、最近忙しかったって言ってたけどちゃんとヤることヤってるの?可愛らしい親衛隊の仔猫ちゃんとか、小動物系男子たくさんいたでしょ?ちゃんと抱いてる?』
母親が上京した息子に“ちゃんとご飯食べてるの?”と心配する要領で、卑猥な話をするのはやめなさい。
全国の子供思いのお母さんがそのセリフ使えなくなるだろうが。
「仕事に追われて抱いてねーよ」
『なんで抱かないのよ!放置されてる親衛隊の身にもなりなさい!』
「仕事しないと学校の運営に支障が出るんだよ」
『学校も大事だけどセックスも大事でしょうが!』
性欲が強いであろう高校生には、確かにセックスは大事だ。
大事だけれども、学校が第一でしょうが。
バカなのかな?
さくらちゃんはバカなのかな?
「さくらは本当にそういった行為がお好きですね」
「太一。満面の笑みで言うことじゃないから」
呆れたように言えば、会話が聞こえていたのか、さくらが『太一もいるの!?スピーカー!スピーカーにして!』と騒ぎ出した。
俺とさくらは幼馴染なのだが、実は太一もそうなのだ。
年は少し離れているものの、幼い頃から三人で仲良く遊んだものだ。
俺と太一も、その頃は主従関係なんてものはなく、タメ口で話していたな。
懐かしい記憶を思い出し、感傷に浸る。
『太一元気?BLライフ楽しんでるー?というか、ちゃんと春都とヤってるー?』
「本人の前でサラッと聞くな」
「うん。ついさっきもしたよ」
「お前も素直に答えんな」
この会話を側から聞くと、ディープな会話に驚愕する人も中にはいるだろう。
一般的な幼馴染というのがどういうものなのかは知らない。
自分達の性事情まで赤裸々に話しているのは、異常なのかも知れない。
それでも、俺たちにとってはこれが普通なわけで。
『きゃー!お盛んですこと!あ、春都。提案なんだけどさ、前に話してた春都にぞっこんの誠って人と三人でとかどうかな!?春都もついに処女卒業しちゃう!?しちゃおうよ!てかしろ!』
「しないから。つか、よく誠のこと覚えてたな」
『当たり前よ。春都の周りの男達は全てチェック済みなんだから!誰と誰をカップリングさせるか、日夜考えてるのよ!私は!』
「さくら。夜は早めに寝た方がいいよ」
『ありがとう!そういう優しいところ、凄く好きだよ!毒舌ドS野郎をデロデロに甘やかして骨抜きにして、しまいには春都を掘ってくれると、』
ーーー……ティロリン。
通話終了を告げる音がスマホから発せられる。
切ったのは紛れもなく俺の親指で、太一はタオルを置いてドライヤーを手にした。
スイッチを入れると、暖かい風が髪に当たる。
タオルで十分に拭かれた髪の毛が乾くのにそう時間はかからず、すぐにスイッチは切られた。
ーーー……ブーッ。ブーッ。
なり続けるスマホ。
ディスプレイに表示される“さくら”という文字。
「相変わらずの腐女子ぶりでしたね」
「ブレなさすぎて感心するわ」
「紅茶、飲みますか?」
「ん」
電話に出た方がいいのでは?なんていう言葉はなく、互いに暖かい紅茶を飲みなが一休みし、夜遅くまで書類整理をするのだった。
あなたにおすすめの小説
お姉ちゃんを僕のお嫁さんにするよ!「………私は男なのだが」
ミクリ21
BL
エリアスの初恋は、森で遊んでくれる美人のお姉ちゃん。エリアスは、美人のお姉ちゃんに約束をした。
「お姉ちゃんを僕のお嫁さんにするよ!」
しかし、お姉ちゃんは………実はお兄ちゃんだということを、学園入学と同時に知ってしまった。
同室のアイツが俺のシャワータイムを侵略してくるんだが
カシナシ
BL
聞いてくれ。
騎士科学年一位のアイツと、二位の俺は同じ部屋。これまでトラブルなく同居人として、良きライバルとして切磋琢磨してきたのに。
最近のアイツ、俺のシャワー中に絶対入ってくるんだ。しかも振り向けば目も合う。それとなく先に用を済ませるよう言ったり対策もしてみたが、何も効かない。
とうとう直接指摘することにしたけど……?
距離の詰め方おかしい攻め × 女の子が好きなはず?の受け
短編ラブコメです。ふわふわにライトです。
頭空っぽにしてお楽しみください。
親衛隊は、推しから『選ばれる』までは推しに自分の気持ちを伝えてはいけないルール
雨宮里玖
BL
エリート高校の親衛隊プラスα×平凡無自覚総受け
《あらすじ》
4月。平凡な吉良は、楯山に告白している川上の姿を偶然目撃してしまった。遠目だが二人はイイ感じに見えて告白は成功したようだった。
そのことで、吉良は二年間ずっと学生寮の同室者だった楯山に自分が特別な感情を抱いていたのではないかと思い——。
平凡無自覚な受けの総愛され全寮制学園ライフの物語。
双子のイケメン執事達と恋愛しています
すいかちゃん
BL
母親の再婚により、平野家の息子となった勇人。超お金持ちの家では、驚く事ばかり。そんな勇人は、双子のイケメン執事に気に入られてしまう。やがて双子の気持ちを知った勇人は、驚きながらもその気持ちを受け入れる事を決める。
回を重ねるごとに、勇人と双子の関係が濃厚になっていきます。
長編ですが、1話1話は短めです。
第5話で一旦完結となります。