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第四章 転機
優しいのか、冷めているのか
「十五時十九分。現行犯逮捕する。……言ってみたかったんだよなー。このセリフ」
静まり返った室内に、俺の場にそぐわぬセリフが異様なまでに響いた。
四人は動きを止め、呆然とした表情でこちらを見ている。
その間も写真は撮り続けた。
ーーー……カシャッ。カシャッ。カシャシャシャシャシャッ。
連写である。
容赦なく連写である。
慌ててマリモから自分の“モノ”を引き抜く武田。
その一連の動作がパラパラ漫画のように、俺のライブラリに保存されているのを想像して鳥肌がたった。
なんて写真を撮らせるんだ。
今スマホを覗かれたら、ハメ撮りする趣味はないというのに、あらぬ誤解を生むではないか。
見知らぬ誰かに言葉を投げかけつつ、全員がマリモから離れたところでスマホを下ろしてポケットにしまう。
「あ、動かないでねー。動いた瞬間、今の写真を学校だけじゃなく、SNSにもばら撒いて社会的に潰すよー」
隙をついて逃げようとしていた四人を、魔法の言葉でこの場に留まらせる。
床に力なく座り込んでいたが、気にすることなく全裸に近いマリモに歩み寄った。
“大丈夫?”という言葉は口にしなかった。
どう思考を巡らせても、どの角度から見ても、そうは思えなかったから。
本人にその気はなくとも、相手にとってはそうでないかもしれない。
相手を傷付けてしまうぐらいなら、余計なことを口にすべきではない。
傍に膝をつき、仰向けで啜り泣くマリモの頭を撫でてから、先程まで武田の“モノ”が入っていた秘部を覗き込む。
「うーわ、切れてんじゃん。初めてってわかってたんなら、せめてローション使ってやれよなー……」
慣らされずに挿入されたであろうソコは無残にも引き裂かれ、出血していた。
マリモの血液、朔の精液、武田の我慢汁。
俺が見ていないだけで、黒髪男のものもあるかもしれない。
様々な液体が混ざり合い、何色とも言い難い色の糸が、皮膚と床を繋いでいた。
「上のジャージ着てくればよかったな……。まぁ、仕方ないかー」
独り言のように呟いてから、着ていたTシャツを脱いでマリモの下半身にかけてやる。
心許ないと言われてしまえばそれまでなのだが、無いよりはマシだろう。
上半身裸になった俺を、食い入るように見つめる四人を睨みつけたところで、辺りが騒がしくなった。
「正人!正人っ!!!」
「正人!いるなら返事してください!」
「まーくん!」
あの三人をいっちゃんが連れてきたのか、まだ距離があると言うのにここまで声が聞こえてきた。
場所はわかっているのだから、無駄口叩かずに走ってこいよと思わなくもないが、それほど心配なのだろうと思うことにした。
「一応聞くけど、なんでこんなことしたのかなー?」
マリモの涙を指で拭う。
逃げられない状況に観念したのか、俺の質問に答えていく。
「そこのマリモが蓮夜様達と馴れ馴れしくするから、痛めつけてやろう思って……」
「部活ばっかで溜まってて、莉緒に転校生を懲らしめるのを手伝ってくれって言われて」
「朔から今回の話しを聞いて、俺も慎太郎も溜まってたから……その」
「欲求に負けました。すみません」
高橋、朔、武田、黒髪男……慎太郎の順に理由を述べ終えた。
足音はすぐそこまで迫っている。
「そっか」
俺がそれだけ言うと、四人が「え?」と驚いた表情をした。
何か言われる。
殴られる。
きっとそう思っていたのだろう。
そんなことはしない。
俺はそこまで激情型じゃねーのよ。
というより、
「正人!大丈夫か!?」
「っ!あなた達……なんてことを!」
「まーくんにこんなことするなんて、許さない!!!」
俺がやってもやらなくても結果が同じなら、やる必要はないっていうだけの話なんだけどね。
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