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第四章 転機
★あなたからのキスが欲しくて
「ん……っ、ぁ…、っ」
足を開いて腹の横に手をつき、俯きながらゆっくりと腰を上下させている。
「…っ、…ぁ……ん…っ」
自分の好きな所に当たるよう、探り探り動かす太一。
その動きはどこか拙く、この体位に慣れていないということは見てとれた。
それなのにも関わらずこの体位を選んだのはなぜなのだろう。
自分で動くのが恥ずかしい。
全部見えるのが恥ずかしい。
だからやりたくないのだと、そう言っていたのに。
今は自ら望んで動き、見せつけるように大きく足を開いて。
「…ぁっ……ん…は…っ…」
今自分の中に入っている。
これは私の物だ。
そういう思いからなのか、はたまたそうではないのか。
目に見えない独占欲が心地よくて、自然と笑み溢れた。
「……そこがいいのか?」
「……ぃ、い…っ…あ……」
同じ所に当たるように動く太一を見てそう言えば、俯いていた顔が上がった。
羞恥心がないわけではなく、頰を赤く染めて照れたように答える。
「ひぁっ!…あっ!……っ、あ」
太一が腰を浮かせたタイミングで突き上げると、連動するかのように背筋を伸ばし天を仰いだ。
でもそれは一瞬のことで。
股関節の部分を押さえて強く腰を打ち付け続けていると、耐えられなくなったのか、支えを探して手を彷徨わせ、俺の腹筋に辿り着いたかと思えばゆっくりと倒れこんできた。
「…あっ!っ、ぁ……当た、って…っ、ひぁっ!」
「当ててんだよ」
「まっ、…って…ぁ……んっ!」
「待たねぇ」
それをいい事に、尻を鷲掴みにするだけでなく秘部を広げて固定し、太一の制止を無視して激しく腰をぶつけた。
ーーー……パンッ、パンッ、パンッ、パンッ!
「あぁっ!あっ!…んっ、あっ!」
尻と腰がぶつかる度に音が鳴り、そして呼応するように声を漏らす。
「っ、やだ……ぅ、…あっ!…ひぁっ!」
胸に縋り付くように倒れている太一は、俺の肩を強く掴み喘ぐ。
嫌だと言っているわりに、中はキツく俺の“モノ”を締め付けていて、逃すまいと必死に絡んでくる。
「んっ、…は…っ、あっ!…春都っ、様…キス…っん…、んぁっ、…き、す、…っ」
気付いたら無言で腰を動かしていた。
そんな俺に不安を感じたのか、顔を上げ、目に涙を溜めながらキスを強請ってきた。
「ひぁっ!あっ!…っ、んんっ!…っ、は、る都様ぁ…っ、や、…だ…っ、あっ!…し、たぃ…っ、ぐすっ…あっ!」
それに応えることなく激しく腰を打ち付ける。
溜まっていた涙が頰を伝い、俺の首に一粒二粒と落ちた。
絶え間なくやってくる快感に声を出しながらも、涙腺が緩んだ太一は鼻をすすりながら顔をぐちゃぐちゃにしてひたすら懇願した。
キスをするのが嫌というのではない。
ただ単に悪戯心が湧いただけである。
だが、さすがの俺もここまで泣くとは予想していなかった。
尻を掴んでいた手を離し、太一の頰を挟むようにして触れる。
「……んっ」
「っ、…んっ…は、…っ……ふ」
腰を動かし続けながらようやく唇を触れ合わせれば、それだけでは足りないと、閉じていた俺の歯を舌でノックしてきた。
僅かに隙間を作れば素早く侵入し、舌を絡めてくる。
薄く開いた瞳はやはり潤んでいて、瞬きするたびに涙が溢れ落ちていく。
互いに目を閉じることなく、至近距離で見つめ合いながらキスをし続けた。
「んんっ、んっ!…っ、はっ、……んっんっんっ…んんっ!」
限界が近いのか、腰がピクピクと前後に動く。
その度に尻の筋肉が閉まり、同時に中もヒクついていた。
頰から手を離し、再び尻を鷲掴む。
一緒にイく為に腰を今まで以上に激しく打ち付けた。
感じている太一の声が聞きたくて、唇を離そうと顔を引いた。
しかし、今度は太一が手で俺の頰を挟み、引いた分だけ迫ってきた。
繋がっているかのように、絶妙なタイミングで。
「んっ、…っ…ふ……っ!」
「んっ!んんっ、っ……っは…っっっっ!!!」
離れる機会を逃した唇。
同時に絶頂を迎えた俺達。
口から温もりが消えたのは暫くしてからで。
「ぐすっ…っ……」
「何で泣いてんだよ」
涙がとまらないのか、繋がったまま体を丸め、俺の耳元に顔を埋めていた。
「……ス」
「は?」
「キス、したかったんです」
「しただろ」
「最初、してくれなかったじゃないですか」
ここまで拗ねると思っていなかった俺は、頭を撫でながら「ごめんって」と口にした。
いつもと違う太一の様子に戸惑いながらも、愛おしいと思うのは何故だろう。
しかし、主人と執事という主従関係があることもあり、深く考えることはしなかった。
反対の手で強く抱き締める。
そして俺は無意識に唇を首筋に這わせていた。
ーーー……チュッ。
丸く赤い痕が、程よく焼けた肌に一つ。
舌で撫でるように舐め、太一の耳に口付けた。
無意識にキスマークを付けていたことに、この時の俺は気付いていなかった。
賢者タイムに入っていたからか、それとも、自らの心に蓋をしていたからか。
この時、考えることをやめず、気付くことができたのなら、未来はもっといい方へと進んでいたかもしれないのに。
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