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終章 輝きを増す銀獣
知らないアカウント
無事終業式を終え、寮へ戻る為に下駄箱で靴を履き替える。
急ぎの仕事は片付け終わり、夏休み中に週一で来れば問題ないレベルにまで落ち着いた。
来年受験する者は希望制で講習を受けられる。俺は一教科だけ講習を受ける事にしたので、そのついでに仕事をすればいい。
夏休みといっても高校二年生にとっては勝負の時期。生徒会に入っている俺は内申点の心配ないし、指定校推薦も貰えるだろう。
だが、入った後に困るのは自分なので毎日コツコツやるにこしたことはない。
―――ピロン♪
太一が迎えに来ると譲らなかったので玄関付近の日陰で待っていると、スマホの通知音が聞こえた。〝もうすぐ着く”という連絡にスタンプを送る。
敬語が外れている事に懐かしさと嬉しさを感じる。さくらと電話をした後、付き合っているなら二人きりの時は昔みたいに話そうと決めたのだ。
何度も送られてきたメッセージを眺めたところで、もう一件連絡が来ていることに気付く。
知らない名前。適当にIDを入力して追加されたのか?と思ったが、内容を見る限り違うようだ。
“元気?”
“連絡しても返ってこなかったから別垢作った”
“夏休み会おー”
初対面にしては馴れ馴れしい文面。アカウントの名前はSのみで誰かわからない。
既読を付けたまま記憶を遡っていると、“俊”と一文字追加で連絡が来た。その名前に驚き、手からスマホが滑り落ちる。
「あ、ぶない」
丁度到着した太一が地面に落ちる前にキャッチし、画面も割れることなく手元に戻って来た。
「どうしたの?」
「いや、うん」
受け取ったスマホを鞄に入れ、太一の質問に答えずに「行こうと」口にして歩き出す。いつもなら煩わしく感じる蝉の声も気にならない程、今の俺は動揺していた。
俊というのは、前に街で最悪の再会をした元彼のこと。
アカウントをブロックして電話番号も着信拒否していたのに、態々アカウントを作ってまでメッセージを送ってくるとは思っていなかった。
なんでもないと言わなかったのは部屋に戻ってから話そうと思っていたからで、隠そうだなんて微塵も思っていない。
隣で納得いかなそうな顔をしている太一。俺も動揺しているから少し待ってほしい、という気持ちを込めて苦笑いする。
「それで?どうしたの」
学校と寮の行き来だけで汗をかいた俺達は交互にシャワーを浴び、冷たいミルクティーを飲んで一息つく。太一は優雅にアイスコーヒーを飲んでいる。
「あー……怒らねぇ?」
「内容による」
「だよな」
ソファの背に体を預け、スマホを持ったまま脱力する。
言うと決めていたけど内容が内容なだけに言い出しずらい。前回激しい嫉妬をぶつけられているから余計にそう思うのだろう。
意を決してスマホの画面を見せる。
「これは?」
「……元彼。この間の」
「……へぇ?」
明らかに顔から表情が消え、手元を睨みつけている。普段ニコニコしている強面男の無表情は恐ろしい。
急ぎの仕事は片付け終わり、夏休み中に週一で来れば問題ないレベルにまで落ち着いた。
来年受験する者は希望制で講習を受けられる。俺は一教科だけ講習を受ける事にしたので、そのついでに仕事をすればいい。
夏休みといっても高校二年生にとっては勝負の時期。生徒会に入っている俺は内申点の心配ないし、指定校推薦も貰えるだろう。
だが、入った後に困るのは自分なので毎日コツコツやるにこしたことはない。
―――ピロン♪
太一が迎えに来ると譲らなかったので玄関付近の日陰で待っていると、スマホの通知音が聞こえた。〝もうすぐ着く”という連絡にスタンプを送る。
敬語が外れている事に懐かしさと嬉しさを感じる。さくらと電話をした後、付き合っているなら二人きりの時は昔みたいに話そうと決めたのだ。
何度も送られてきたメッセージを眺めたところで、もう一件連絡が来ていることに気付く。
知らない名前。適当にIDを入力して追加されたのか?と思ったが、内容を見る限り違うようだ。
“元気?”
“連絡しても返ってこなかったから別垢作った”
“夏休み会おー”
初対面にしては馴れ馴れしい文面。アカウントの名前はSのみで誰かわからない。
既読を付けたまま記憶を遡っていると、“俊”と一文字追加で連絡が来た。その名前に驚き、手からスマホが滑り落ちる。
「あ、ぶない」
丁度到着した太一が地面に落ちる前にキャッチし、画面も割れることなく手元に戻って来た。
「どうしたの?」
「いや、うん」
受け取ったスマホを鞄に入れ、太一の質問に答えずに「行こうと」口にして歩き出す。いつもなら煩わしく感じる蝉の声も気にならない程、今の俺は動揺していた。
俊というのは、前に街で最悪の再会をした元彼のこと。
アカウントをブロックして電話番号も着信拒否していたのに、態々アカウントを作ってまでメッセージを送ってくるとは思っていなかった。
なんでもないと言わなかったのは部屋に戻ってから話そうと思っていたからで、隠そうだなんて微塵も思っていない。
隣で納得いかなそうな顔をしている太一。俺も動揺しているから少し待ってほしい、という気持ちを込めて苦笑いする。
「それで?どうしたの」
学校と寮の行き来だけで汗をかいた俺達は交互にシャワーを浴び、冷たいミルクティーを飲んで一息つく。太一は優雅にアイスコーヒーを飲んでいる。
「あー……怒らねぇ?」
「内容による」
「だよな」
ソファの背に体を預け、スマホを持ったまま脱力する。
言うと決めていたけど内容が内容なだけに言い出しずらい。前回激しい嫉妬をぶつけられているから余計にそう思うのだろう。
意を決してスマホの画面を見せる。
「これは?」
「……元彼。この間の」
「……へぇ?」
明らかに顔から表情が消え、手元を睨みつけている。普段ニコニコしている強面男の無表情は恐ろしい。
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