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第三章
【2】魔法学の講義のはずが
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「超不人気科目の『魔法学』へようこそ! お友達が増えて先生も嬉しいです!」
ふわふわの茶色髪に、生徒に混ざれば見分けがつかないような童顔。
体のラインが出にくい黒のローブを羽織った小柄な女性教師のドロシーが、両腕を開いてエルトゥールを出迎えてくれた。
「お友達……?」
「今年はリーズロッテさんが入学してくれたから良いけど、受講生がひとりもいなかったら、先生いつ首を切られてもおかしくなかったから! さらに留学生のエルトゥールさんまで来てくれたら、学校側もしばらくは手出しができないはず。良かったぁ……」
先生と生徒は「お友達」ではないのでは? と困惑しているエルトゥールをよそに、ドロシーは夢見がちな表情で祈るように指を組み合わせて明後日の方を見ている。
「死活問題だったみたいですよ。ドロシー先生に魔力があるのは確かで、あの若さで国内有数の魔導士ではあるんですけど、それはそれとして学校側も生徒の見込みがないクラスをいつまで維持するかは頭の痛いところらしくて」
授業の場は、明らかに大規模人数向けではない研究室。
テラス茶会用のような、瀟洒な白塗りのアイアンの丸テーブルに教科書をのせて、リーズロッテがこそっとエルトゥールに耳打ちをしてきた。
周囲は鉢植えの植物に森のように囲まれ、天井からはいくつものドライフラワーが吊るされている。
壁際には古ぼけた薬品の瓶が並んだ棚や、古書が整然と並べられた書架。
すりガラスの窓を透過してきた光に、うっすら埃が立ち上る。
静かではあるが、校舎の隅で人が寄り付かない場所に追いやられているあたり、不人気科目らしい肩身の狭さがうかがえた。
なお、テーブル周りには椅子が三つ。エルトゥール、猫、リーズロッテ。
(ジェラさん……)
猫そのもののように、たまに前足で顔を洗うような仕草をしたり、耳まで裂けそうなあくびをしているが、「人間化」するのを知って以来、すべてが「猫演出」として疑わしく見える。
「ジェラさんを研究すれば、『魔法学』ってものすごく進みそうな気がしない? たぶん、ジェラさんは極めつけの『魔法的な存在』だよね?」
細々と「魔力がある」というだけのほぼ一般人で茶会の真似事のような授業をしているより、よほど。
その思いからエルトゥールが尋ねると、リーズロッテは眉を寄せて「そうなんですけど」と前置きをして続けた。
「それについて、私は同意しかねます。『魔法的な存在』が何の見返りも無く協力してくれるわけがありません。もしジェラさんが人間の学問に興味関心があり、手を貸すつもりなら、とっくにしているはずなのに、そうではないわけなので」
「なるほど」
それもそうですねと、エルトゥールは深く納得した。
ジェラさんは自由気ままな猫の外見通りに、気まぐれな存在と理解し、あてにしない方が良さそうだ。
「それで、早速なんですけど。エルトゥールさんも来てくれたことですし、歓迎会をしたいところですね!」
ぼそぼそと話し合っている学生たちを前に、希望に燃えているドロシーは、意気揚々とそんなことを言い出した。
「歓迎会ですか」
「はい。少人数クラスでやっていくわけですから、お互いのことを知って、仲良くなるのは大切です。ということで、今晩は皆さんで外に食事に行きましょう! 大丈夫、先生が引率しますので何も心配はしないでください!」
「ドロシー先生が」
本人はものすごくやる気だけど、生徒と変わらない見た目だし、夜歩きなんかしない方が、とエルトゥールは言いそうになったが、飲み込んだ。
(歓迎会……。私のために。そういうの、全然縁が無かったから気持ちは嬉しい。最近、夜は仕事に出られなくて、少し暇だったし)
「エルトゥールさんはお姫様ですし、他の授業でも成績はとても優秀だと聞いています。学生の間でも注目度は高いでしょうし、もしかしたらいろんなお誘いがあって、お付き合いで忙しいかもしれませんけど」
「え? 私ですか? そんなこと全然……」
普段はレベッカが何かと世話を焼いてくれているが、入学以来仕事が忙しくてわき目もふらぬ生活を続けてきた。
今は少しだけで余裕が出来たことで、急に周りにひとが増え始めたが「お付き合いで忙しい」と感じるような出来事は何もない。
ドロシーはなんの話をしているのだろう? と本気で訝しむエルトゥールに対し、リーズロッテがすかさず口を挟んだ。
「エル姉さまをお誘いしたい方は、男女問わず多いと思います。少し前までは寮での夕食にもほとんど姿を見せず、いつも忙しそうにしていたので皆さん躊躇っていたみたいですが。それと、アーノルド殿下が何かと気にかけていましたので。でも、今はエル姉さま、少し……。殿下と距離が」
「リ、リズさんそこまで見ていたの!? やだなぁ、それなら私に話しかけてくれれば良かったのに! リズさんに話しかけられたら私も嬉しいですから!」
(わ~~、やっぱり、周りから、殿下と親しいと思われていたんだ……! 危ない……!)
エルトゥール自身は、自分がそこまで注目されていたとは思わないが、それでも見る人は見ているということを再確認し、寒気に襲われていた。
「お出かけしても問題無いようなら、今晩待ち合わせしましょう。お店選びは先生に任せてね。すごく美味しいお店を知っているんです! お姫様のエルトゥールさんでもきっと満足してくれるはず!」
「美味しいお店ですか、嬉しいです! 私はお姫様育ちといっても、食べ物の好き嫌いを言える立場でもなく……、もちろん出された料理の味に文句をつけることもないんですけど、美味しい物をたくさん食べたいです!」
ドロシーの勢いにのせられて、エルトゥールもつい顔をほころばせて弾んだ声で答える。
(留学してきたけど、苦学生一辺倒で全然遊んでなかったし、たまにはいいですよね。先生と、リズさんと食事、楽しそう)
話はまとまり、授業そっちのけで時間と場所を決めて、夜に落ちあうことになる。
わいわいと話し合う女性陣の横で、猫のジェラさんが大きなあくびをしてから、椅子の上で座り直した。
ふわふわの茶色髪に、生徒に混ざれば見分けがつかないような童顔。
体のラインが出にくい黒のローブを羽織った小柄な女性教師のドロシーが、両腕を開いてエルトゥールを出迎えてくれた。
「お友達……?」
「今年はリーズロッテさんが入学してくれたから良いけど、受講生がひとりもいなかったら、先生いつ首を切られてもおかしくなかったから! さらに留学生のエルトゥールさんまで来てくれたら、学校側もしばらくは手出しができないはず。良かったぁ……」
先生と生徒は「お友達」ではないのでは? と困惑しているエルトゥールをよそに、ドロシーは夢見がちな表情で祈るように指を組み合わせて明後日の方を見ている。
「死活問題だったみたいですよ。ドロシー先生に魔力があるのは確かで、あの若さで国内有数の魔導士ではあるんですけど、それはそれとして学校側も生徒の見込みがないクラスをいつまで維持するかは頭の痛いところらしくて」
授業の場は、明らかに大規模人数向けではない研究室。
テラス茶会用のような、瀟洒な白塗りのアイアンの丸テーブルに教科書をのせて、リーズロッテがこそっとエルトゥールに耳打ちをしてきた。
周囲は鉢植えの植物に森のように囲まれ、天井からはいくつものドライフラワーが吊るされている。
壁際には古ぼけた薬品の瓶が並んだ棚や、古書が整然と並べられた書架。
すりガラスの窓を透過してきた光に、うっすら埃が立ち上る。
静かではあるが、校舎の隅で人が寄り付かない場所に追いやられているあたり、不人気科目らしい肩身の狭さがうかがえた。
なお、テーブル周りには椅子が三つ。エルトゥール、猫、リーズロッテ。
(ジェラさん……)
猫そのもののように、たまに前足で顔を洗うような仕草をしたり、耳まで裂けそうなあくびをしているが、「人間化」するのを知って以来、すべてが「猫演出」として疑わしく見える。
「ジェラさんを研究すれば、『魔法学』ってものすごく進みそうな気がしない? たぶん、ジェラさんは極めつけの『魔法的な存在』だよね?」
細々と「魔力がある」というだけのほぼ一般人で茶会の真似事のような授業をしているより、よほど。
その思いからエルトゥールが尋ねると、リーズロッテは眉を寄せて「そうなんですけど」と前置きをして続けた。
「それについて、私は同意しかねます。『魔法的な存在』が何の見返りも無く協力してくれるわけがありません。もしジェラさんが人間の学問に興味関心があり、手を貸すつもりなら、とっくにしているはずなのに、そうではないわけなので」
「なるほど」
それもそうですねと、エルトゥールは深く納得した。
ジェラさんは自由気ままな猫の外見通りに、気まぐれな存在と理解し、あてにしない方が良さそうだ。
「それで、早速なんですけど。エルトゥールさんも来てくれたことですし、歓迎会をしたいところですね!」
ぼそぼそと話し合っている学生たちを前に、希望に燃えているドロシーは、意気揚々とそんなことを言い出した。
「歓迎会ですか」
「はい。少人数クラスでやっていくわけですから、お互いのことを知って、仲良くなるのは大切です。ということで、今晩は皆さんで外に食事に行きましょう! 大丈夫、先生が引率しますので何も心配はしないでください!」
「ドロシー先生が」
本人はものすごくやる気だけど、生徒と変わらない見た目だし、夜歩きなんかしない方が、とエルトゥールは言いそうになったが、飲み込んだ。
(歓迎会……。私のために。そういうの、全然縁が無かったから気持ちは嬉しい。最近、夜は仕事に出られなくて、少し暇だったし)
「エルトゥールさんはお姫様ですし、他の授業でも成績はとても優秀だと聞いています。学生の間でも注目度は高いでしょうし、もしかしたらいろんなお誘いがあって、お付き合いで忙しいかもしれませんけど」
「え? 私ですか? そんなこと全然……」
普段はレベッカが何かと世話を焼いてくれているが、入学以来仕事が忙しくてわき目もふらぬ生活を続けてきた。
今は少しだけで余裕が出来たことで、急に周りにひとが増え始めたが「お付き合いで忙しい」と感じるような出来事は何もない。
ドロシーはなんの話をしているのだろう? と本気で訝しむエルトゥールに対し、リーズロッテがすかさず口を挟んだ。
「エル姉さまをお誘いしたい方は、男女問わず多いと思います。少し前までは寮での夕食にもほとんど姿を見せず、いつも忙しそうにしていたので皆さん躊躇っていたみたいですが。それと、アーノルド殿下が何かと気にかけていましたので。でも、今はエル姉さま、少し……。殿下と距離が」
「リ、リズさんそこまで見ていたの!? やだなぁ、それなら私に話しかけてくれれば良かったのに! リズさんに話しかけられたら私も嬉しいですから!」
(わ~~、やっぱり、周りから、殿下と親しいと思われていたんだ……! 危ない……!)
エルトゥール自身は、自分がそこまで注目されていたとは思わないが、それでも見る人は見ているということを再確認し、寒気に襲われていた。
「お出かけしても問題無いようなら、今晩待ち合わせしましょう。お店選びは先生に任せてね。すごく美味しいお店を知っているんです! お姫様のエルトゥールさんでもきっと満足してくれるはず!」
「美味しいお店ですか、嬉しいです! 私はお姫様育ちといっても、食べ物の好き嫌いを言える立場でもなく……、もちろん出された料理の味に文句をつけることもないんですけど、美味しい物をたくさん食べたいです!」
ドロシーの勢いにのせられて、エルトゥールもつい顔をほころばせて弾んだ声で答える。
(留学してきたけど、苦学生一辺倒で全然遊んでなかったし、たまにはいいですよね。先生と、リズさんと食事、楽しそう)
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