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12◆アシュラ視点

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「トモキ?」

トモキの様子が、何故かガラリと変わりました。

お互いの夢の内容を語ってから、私はとても深い悲しみを感じています。

深すぎて、もはや絶望という感情が当てはまる程の悲しみです。

この感情は……何なのでしょうね?

それよりも、トモキが私を睨むのです。

今まで、ちょっと困らせても私を睨まないトモキだったのに……急に何を怒っているのでしょうか?

………いえ、これは本当に怒りでしょうか。

その眼差しは、怒りと悲しみが入り交じる不思議な眼差し。

あぁ……私は……私は………。



………貴方を知っている?



忘れてしまった何かを探す。

私の記憶はありますが、私は何かを忘れてしまっています。

思い出したい……なのに、思い出したくない。

もう、私は諦めたのです。

………そう、諦めたのです。



「忘れるな」

「………トモキ?」

「忘れるな」



どうしてでしょう。

トモキなのに、トモキではないとわかるのです。

愛しい愛しい大切な………貴方の声。

私の記憶を、無理矢理呼び覚ます愛する人。

あぁ……涙が溢れるんです。

もう、枯れ果てたはずなのに………。



「思い出せ」

「………みつけたよ。トゥーラ」



私の……僕の……唯一無二。

ずっと探した僕の半身。

愛を誓いあった永遠の恋人。

………僕が、裏切った大切なトゥーラ。



やっと見つけたよ。



私と僕が、混じって一つになって………あの日を思い出しました。
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