異世界に転移したショタは森でスローライフ中

9◆ヤマトの両親視点

拝啓、お父さんお母さん。

息子に立派な旦那ができました。

僕のことは心配しなくても大丈夫だよ！

旦那さんのハーメルンさんと必ず幸せになるから、もう会えないかもしれないけど………僕はお父さんとお母さんの子供になれて、幸せだったよ。

今まで、ありがとう。

………さようなら。

追伸、お父さんとお母さんも、幸せに…そして長生きしてね！

………大好きだったよ！！



ヤマトの両親は夢をみた。

その日、一人息子のヤマトが朝目覚めるといなくなっていたのだ。

両親はヤマトを心配して、仕事を休んで心当たりは手当たり次第に探した。

しかし、ヤマトはみつからなかった。

ヤマトを心配して泣く母、ヤマトの安全を願う父………捜索願いを出そうか悩みに悩んで、次の日にヤマトがみつからなかったら出すことにしていた。

その夜。

二人は同じ夢をみたのだ。

ヤマトが出てくる……不思議な夢。

朝に目覚めて、二人とも同じ夢をみたと知って、二人は不思議に思っていた。

しかし………両親の身には怪奇現象が起きていた。

いや、正確には周りにだろうか？

両親以外の記憶から、ヤマトの記憶がすっぽり無くなってしまったのだ。

昨日まで皆ヤマトを知っていた。

しかし、今日は誰もヤマトを知らない。

そもそも、両親に子供はいなかったと皆は言うのだ。

両親は、この怪奇現象に頭を悩ませたが………もしもあの夢が原因なのだとしたらと考えた。

ヤマトはどこか違う場所で幸せになったから、皆の記憶から消えてしまったのではないのか？

ヤマトは、人間ではない何かに連れていかれ、結婚して、幸せになったとかだろうか？

そんな人間ではない何かなんて、両親は信じていなかった。

けれど、これは現実なのだ。

詳しくはわからなくても、もうヤマトが両親の元に帰ることはないのだろうと、両親は涙を流して諦めるしかなかった。

せめてと両親は神様に願う。

ヤマトが幸せに、そして長生きできますようにと………。