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12◆ライラ視点

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ロズクロスと友達になったアーシュと、なんとなく俺も友達になってみた。

それから、何故か俺はアーシュが気になって仕方ない。

「あ!猫さんだ猫さんだ!一緒に遊ぼー!!」

野良猫をみつけたアーシュは、ピューン!と走って行ったが、当然猫は怯えて逃げ去る。

「コラ!追いかけるな!猫が怯えるぞ!」

案の定、もう猫はどこかに行ってしまった。

アーシュは、よく子供のような行動をする。

だから、俺は目を離せないんだ。



今までのアーシュの子供っぽい行動はというと、例えば………。

落ちている物を食べようとしたり。

………お腹を壊すから止めろと止めた。

毒キノコをみつけて、焼いて食べようとしたり。

ちなみに、季節関係なしにどこにでも生えている毒キノコだ。

当然止めたよ。

トカゲいたよ!って言って、いきなり目の前にトカゲをみせてきたり。

………あれは、心臓に悪かったな。

俺は、元いた場所に帰してきなさいって言ったよ。

遊ぼ遊ぼとせがまれ、何したいか聞いたら泥遊びをしたいと言われて………一緒に泥まみれにもなったなぁ………。

すごくなついてくれるのは嬉しいけど、アーシュって本当は何歳なんだろうと、ちょっとだけ思ってしまっている。

「あれ?………もしかして俺って、保護者?」



アーシュが甘い匂いを漂わせながら、話しかけてきた。

「ライラ君!クッキー作ったから一緒に食べよう?ロズクロス君とダリア君にも食べてもらうんだ~♪美味しくできたから、お裾分けなんだよ」

あぁ、甘い匂いの正体はクッキーか!

「ありがとう。……ちなみに、これ何の形?」

「これね、犬さんだよ」

犬………。

熊だと思ったとは言わないことにしよう。

クッキーは素朴な味わいがとても美味しかった。

「アーシュはいい嫁になれるよ」

「?……僕はお婿さんになると思うよ?」

冗談のつもりで嫁と言ってみたら、キョトンとした表情になり、そう言われてしまった。

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