ラグナーとルチアーノと、森暮らしの裸族な隠居魔王

ミクリ21

文字の大きさ
1 / 19

1◆ラグナー視点

しおりを挟む
兄である私ラグナー(8歳)と、弟のルチアーノ(6歳)は、女に真夜中の森に連れて来られた。

「アンタ達マジいらないのよね~。アタシは育てるなんて無理だから、勝手に自分達で生きるなり死ぬなり好きにしたら?言っておくけど、帰って来たら問答無用で奴隷として売るから。森に捨ててやんのは、せめてもの慈悲よ。有り難く思うのね?じゃあ、永遠にさようなら~」


そう言って、私と弟を捨てて女は去っていった。

あんな女が母だったことは、私の黒歴史のようなものだ。

私達の親愛なる父は、何故あんな女を愛していたのか私にはわからない。

少なくとも、父は騙されてはいなかった。

何故ならあの女は、父がまだ生きていた時からああだったのだから。



「兄ちゃん……僕達、これからどうなるの?」

弟のルチアーノが、静かに涙をポロポロと溢れさせながら、震える声で私に聞いた。

私は、ルチアーノの手を優しく握って答えた。

「ルチアーノ、あの女のことは忘れなさい。最初から、あの女は私達を愛してなんかいなかったでしょう?ルチアーノの家族は、私と亡くなった父だけです。これからは、私が父の分までルチアーノを守りますよ」

「兄ちゃん……兄ちゃん……っ!うあぁーーーっん!」

ルチアーノの泣き声が、暗い森に響いた。

私が、強くならなくてはいけない。

私は兄なのだから、私まで泣くわけにはいかない。

私は………自分自身の気持ちをみてしまわないように、心の奥底に気持ちを封じた。

………これで……いいんだ。

私は、ルチアーノを抱き締めて、その頭を撫でた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

ヴァレンツィア家だけ、形勢が逆転している

狼蝶
BL
美醜逆転世界で”悪食伯爵”と呼ばれる男の話。

フルチン魔王と雄っぱい勇者

ミクリ21
BL
フルチンの魔王と、雄っぱいが素晴らしい勇者の話。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

処理中です...