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9◆シュバルツ視点

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公園で友達と無邪気に遊ぶノアをみつめながら、私はノアの尊い姿に激しく興奮した。

ノアの友達をつい睨みながら……。

(同年代だからって、ずるいぞ!そこ、私と代われ!)

心で、ガルガル吠えて威嚇する。

クソッ!

私がもっと若ければ!

若さが欲しいーーー!

私は、心で血の涙を流した。

それはさておき。

「ノア!俺バク転出来るんだぜ!」

そう言って、友達のカイルがバク転をしてみせた。

「すごい!俺もやる!」

瞳をキラキラさせたノアが、真似をしてバク転を………しようとしたが、盛大に頭を地面にぶつけて悲痛なノアの叫びが辺りに響いた。

「痛い……!難しい……!もう一回だ!」

ノアは頑張り屋な子だから、たとえその頑張りが残念な結果にしかならなくても、とにかく頑張ってみるんだ。

だが、5回目のチャレンジで私は強制的に止めさせた。

「ノア、血が出ているぞ。続きは怪我が治るまでお預けだ。帰るぞ」

私はノアをお姫様抱っこで抱き上げて、カイルに挨拶をしてからノアを私の家にお持ち帰りした。

「なんでシュバルツの家なんだ?」

「ちゃんと手当てしてからじゃないと、お義父さんとお義母さんがショックで倒れてしまうだろう?ノアの血をみて、私だって辛いんだ。両親なら、私以上に辛いだろうな。………ノア、頑張るのはいいが、無茶はしないでくれ」

私は、ノアを手当てしながら涙が出てしまった。

ノアの頑張りは応援したいと思っているんだ。

だが、ノアが怪我をしたら辛いんだ。

涙がでるのは、仕方ないことだろう。

「シュバルツ……心配させてごめん。泣かないで……」

手当ての終わったノアに、私は優しく抱き締められて、ノアから香る消毒薬の匂いに胸を締め付けられた。
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