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3◆ユウタ視点
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「もういいのか?」
泣きやんだイーリアスに、俺は持っていたハンカチで涙を拭いてやる。
あ…鼻水だ。
こんな美人でも鼻水出して泣くんだなと、ちょっと思ったけど言わない。
「ティッシュあるけど、いるか?」
「ありがとうございます。ずびっ……1枚ください………ずびっ」
俺はとりあえず横を向いておこう。
ずぶぉ~~~!!
お…おう……意外に豪快な音がしたが、俺は何も聞いてないからな。
「し…失礼しました……。それでは、ユウタ様のお部屋にご案内致します」
ちょっと顔が赤いイーリアスが、俺の手を繋いで歩き出した。
「なぁ、嫌じゃないけどなんで手を繋ぐんだ?」
だって俺、31歳のおっさんだぞ?
イーリアスはニコニコと微笑みを浮かべて、俺の頭を撫でてくれた。
イーリアスの手は気持ち良くてうっとりしていたが、次に言われたことがショックだった。
「幼い子供の神子様なのですから、当たり前のことですよ」
「…………幼い子供?」
「はい!」
元気に返事してくれるのはいいんだが、幼い子供………?
いったい俺が何歳にみえているのか聞くのが恐ろしいぜ。
でも、恐ろしいからこそちゃんと聞いて、しっかり俺が31歳のおっさんだということを伝えよう。
「俺のこと、何歳にみえる?」
「?5歳ぐらいだと思っています。さすがに3歳は幼過ぎて召喚されないと思いますから。でも、5歳も幼いとは思っています。親元から引き離してしまったのですから、ユウタ様のことは責任をもって育てますから安心してくださいね!」
「………」
………今までで、一番ショックだった。
5歳…?
3歳…?
そこまで幼くみられたことなんかないぞ。
まぁ、この世界の基準で言われたんだろうから怒らないけどな。
でも訂正はするからな!
「イーリアス、俺の歳は、31歳だ」
「…………はい?」
「31歳だ」
「………」
イーリアスの……時が止まった。
言われた内容の威力がそんなに強かったのだろうな。
俺は大人だから、ちゃんと待つぞ。
イーリアスの時は、しばらく待つとしっかり動き出した。
………呼吸忘れていたみたいで、ものすごく咳き込んでいたから心配したけどな。
イーリアスの呼吸が落ち着くまで、イーリアスの背中を撫でながら俺は謝った。
泣きやんだイーリアスに、俺は持っていたハンカチで涙を拭いてやる。
あ…鼻水だ。
こんな美人でも鼻水出して泣くんだなと、ちょっと思ったけど言わない。
「ティッシュあるけど、いるか?」
「ありがとうございます。ずびっ……1枚ください………ずびっ」
俺はとりあえず横を向いておこう。
ずぶぉ~~~!!
お…おう……意外に豪快な音がしたが、俺は何も聞いてないからな。
「し…失礼しました……。それでは、ユウタ様のお部屋にご案内致します」
ちょっと顔が赤いイーリアスが、俺の手を繋いで歩き出した。
「なぁ、嫌じゃないけどなんで手を繋ぐんだ?」
だって俺、31歳のおっさんだぞ?
イーリアスはニコニコと微笑みを浮かべて、俺の頭を撫でてくれた。
イーリアスの手は気持ち良くてうっとりしていたが、次に言われたことがショックだった。
「幼い子供の神子様なのですから、当たり前のことですよ」
「…………幼い子供?」
「はい!」
元気に返事してくれるのはいいんだが、幼い子供………?
いったい俺が何歳にみえているのか聞くのが恐ろしいぜ。
でも、恐ろしいからこそちゃんと聞いて、しっかり俺が31歳のおっさんだということを伝えよう。
「俺のこと、何歳にみえる?」
「?5歳ぐらいだと思っています。さすがに3歳は幼過ぎて召喚されないと思いますから。でも、5歳も幼いとは思っています。親元から引き離してしまったのですから、ユウタ様のことは責任をもって育てますから安心してくださいね!」
「………」
………今までで、一番ショックだった。
5歳…?
3歳…?
そこまで幼くみられたことなんかないぞ。
まぁ、この世界の基準で言われたんだろうから怒らないけどな。
でも訂正はするからな!
「イーリアス、俺の歳は、31歳だ」
「…………はい?」
「31歳だ」
「………」
イーリアスの……時が止まった。
言われた内容の威力がそんなに強かったのだろうな。
俺は大人だから、ちゃんと待つぞ。
イーリアスの時は、しばらく待つとしっかり動き出した。
………呼吸忘れていたみたいで、ものすごく咳き込んでいたから心配したけどな。
イーリアスの呼吸が落ち着くまで、イーリアスの背中を撫でながら俺は謝った。
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