飼い猫のルークは、異世界で神子様やってます

ミクリ21

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0◆夏目視点

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僕は夏目。

飼い猫のルークは元気な男の子で、いつも僕と一緒にいる。

感覚としては兄弟かな。

ある日、変な夢をみた。

誰かが、泣いてるんだ。

どうして泣いてるの?

「あの人はね、番がいないんだよ」

番って…恋人とか伴侶のことかな?

どうして番がいないのかな?

「たまにね、番のいない人が生まれることはあるんだよ。番は生まれたときから決まっているんだ。番以外とは愛し合えないんだ」

そんな………。

誰とも愛し合えないのが決まっているなんて、そんなの悲しいよ。

「番のいない人はね、本来は神子と番になるから、神子が来るまで番がいない」

神子って何?

「神様に選ばれた魂をもつ人だよ。神子がいないと、あの人は番のいないまま一生を終える」

神子は………来ないの?

「実は、ルークを連れていきたいんだ。でも、ルークを大事にしている君に何も言わずには連れていけない。ルークを連れていくのを許してほしい」

!?
どうしてルークなの!?

僕はルークを兄弟のように思ってるんだよ!

お願い、連れていかないで!

「…ルークは、もう死んでいるんだよ。連れていかないにしても、ルークは生き返らない」

え…?
まさか…ルークを殺したの?

「違う。ルークは寝ぼけて階段から落ちたんだ。打ち所が悪くて、即死だった。ルークの魂は純粋で、愛に満ちていた。だから、ルークを神子にしたいんだ」

嘘…嘘だよ……嘘だって言ってよ!

僕は泣いた。
こんなに大泣きするのは初めてだった。

さんざん泣いて考えた。
ルークが神子になったら向こうで第二の人生を得るのかな?

幸せになってくれるかな?

「ルークを連れていくのを許してくれるか?」

………ルークを不幸にしたら許さない。

絶対に幸せにしてくれよ。

僕の大事なルークを………。

「ありがとう。必ずルークを幸せにすると誓おう」

その言葉、忘れないでね。



目覚めて、急いで階段のところに行ったら……冷たくなったルークがいた。



ルーク、今までありがとう。
向こうの世界で、幸せになって長生きしろよ。
もう階段から落ちるなよ。

ルーク……大好きだったよ。
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