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息子違いだ!

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「アルジュ、私と婚約してください」

「リーン………」

リーンのことが、ずっと好きだった。

だから、婚約を申し込まれて、すごく幸せに思うんだ。

でもさ。

嬉しいけど………一つ言いたい。

「何で……何で……何で股間に向かって婚約申し込みしてんだ!?」

「え?……ダメ?」

普通に止めろ!

何で、素敵なデートコースと素敵な食事まではいい感じだったのに、婚約の申し込みは股間にするの!?

素直に喜べないこの複雑な気持ち、わかってよ!!

「息子さんの許可がいると思って……それで」

「息子は息子でも、息子違いだアホ!」

なんつー下ネタ言わせやがる!

リーンはシュンとして、捨てられた子犬のような眼差しで僕に。

「婚約してくれないのですか?」

「婚約は………するよ。それは、嬉しいよ。リーン、ありがとう」

「アルジュ!!」

リーンは嬉しそうに、僕の股間にスリスリしているけど………あのね、ここお外なんだよ。

めっちゃみられてるんだよ。

「ママー!あの人たち何してるの?」

「みてはダメよ。まだマー君には早いわ」

通りすがりの親子の会話が聞こえた。

うん………帰りたい。

「ねぇ、帰りたい」

「え!!いきなり、お持ち帰りだなんて………私、頑張りますね!」

………何を?

何故か自然な流れで、リーンは僕の家に来た。

リーン曰く、僕にお持ち帰りされたらしい。

………勝手についてきたなんて、好きな人に言う気はないよ。


その日、初めて知ったこと。

リーンは………めちゃくちゃ肉食系だった。
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