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面倒なやりとり、向いてないかも
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しおりを挟むあぁ面倒くさい、スマートフォンの着信音が鳴る。
与えられた45分の昼休憩を無惨に蝕む悪虫は、悲しいことに私の彼氏だ。
「もしもし」
ため息混じりに応答すれば、
『なに、その態度?いい加減にしろよ』
と向こうはいきなり喧嘩腰だった。
これは仕方ないか、この電話が掛かってくる直前まで私たちはチャットで喧嘩をしていたのだから。
ポチポチ文字を打つのが怠くなったのか、通話ボタンを押したのだろう。
画面が通話着信モードに変わった時点で、私は休憩室から廊下へと出ていた。
いかにも痴話喧嘩みたいな内容を同僚に聞かれたくなかったし、恥ずかしいし。
ちなみに喧嘩の焦点は、私の返事が素っ気なくて可愛げが無いことについてだった。
「いや、聞かれたことには答えてるじゃん」
『何時に終わりそう?』と尋ねられたので『20時かな』と答えた。
返答までに時間は掛かっているが、それは受信したのが仕事中だったからなのでしょうがない。
『分かるけどさ、もっと、絵文字使うとかさ、こっちに伝えようって気持ちが足りないだろ』
「それ以上、詳しく答えようがないんだけど。変更あるかもしれないし」
事実は文字に託している。
不確実だから『かな』を付けているし、添付すべき絵文字は浮かばなかった。
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