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あれから月日は流れ、悠里は高校3年生になり受験期を迎えた。勉強とアルバイトを両立させて、週2回も心平を家庭教師として呼べるようになっている。
稼ぎは父・幸司が若干上乗せしているのだが、余暇をほとんどつぎ込むように働いて稼げている。もはや推しへのお布施稼ぎ、もといお気に入りの嬢を囲うための資金集めである。
空き時間には勉強を欠かさず、気分転換にマシンでトレーニングを積み、そして心平が来る日には心身を休めて整える。
年齢に見合わぬ多忙で濃密なスケジュールをこなした結果、悠里は第一希望の大学に合格することが出来た。
それは当初目標としていた心平が通う大学ではなく、都内の国公立大学だった。悠里はそこで経済と経営を学び、父親の後を継ぐべく修行することにしたのだ。
自宅から通学するには電車で1時間半ほどかかる。なので、悠里は春から独り暮らしをすることとなった。心平と離れ離れになるのは嫌だったが、志望校を決めた時点で覚悟している。
幸司は越した先にも頑張ってジムを作り、都内1号店として悠里を雇うことに決めている。上手くいけば販路拡大に繋がるし、思わしくなくても悠里にお金を渡す口実として4年は存続させるつもりらしい。
さてその大学合格を、心平は自宅のパソコンにて知った。受験番号は控えていたので、大学のホームページを確認したのだ。
「…さよなら、かぁ」
悠里は受かれば都内、落ちたら附属元の大学へ進学することに決めていた。
将来のことを考えて、結局は心平の大学は選ばなかった。そもそもが心平ありきの進路希望だったので、その辺りの目論見の甘さも懇談などで指摘されて修正したのだ。
あの初秋の日から、悠里はめっきり手を出して来なかった。大人になろうと志していたのだろう、ちょっとしたイタズラはするものの不埒なことはしなくなっている。それが当たり前なのだが、あんなに短期間に性的なイタズラを受けたので心平は拍子抜けした気分だった。
青少年らしい姿勢で大いに結構、安心して指導できた。子供の頃の延長で楽しく喋って、時に笑い合って。自慰行為を強いられたり局部を触られたのはまさか幻だったのか、と自分の記憶を疑うくらいに悠里は良い子になった。
心平は悠里が嫌いではなかったし、本音で語り合ったあの日からもうひと段階距離が縮まったような気がしている。クールだけど無邪気に笑ったり、完璧ではなくて恥ずかしがったり。
普通なら同性の男の子にこんな気持ちは抱かないものなのだが…「好かれている」という事実が、心平の心を悠里へ押しやっている。好かれているから気になる、好かれているから好きになる。
そんなの単純で申し訳ないなどと思いつつも、意識し始めるキッカケとしては正統だ。少なくとも嫌いだと言われるよりは嬉しいし、自分のことを憎からず想ってくれていると知れば愛おしさが生まれて不思議ない。
幼馴染みという土台があって、エロハプニングと喧嘩を経て、仲直りをして想いを知って。勉学に励む姿は充分見させてもらったし、弱音も聞いた。受験前日の不安に怯える顔も、達成感を胸に帰還した顔も見た。悠里は心平が思っていたよりずっと感性が豊かで、熱くて、情熱的な男性だった。
すぐのすぐに深い仲になろうとは思わないが、あのキスの続きくらいはしてみても良いかなと思っている。
あくまで受け身で、請われれば、の話だ。
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