君は、裸の王子さま—イタズラ御曹司は気弱な幼馴染みが欲しくてたまらない!

茜琉ぴーたん

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「お邪魔します。綺麗なお部屋だね」
「築年数は経ってるんだけど、リフォームしてるんだって」
 悠里の住むアパートは、見た目は古びた建物だった。
 聞いていた通り1階には悠里の父・幸司こうじが経営する『極楽寺ごくらくじフィットネスジム』が入っており、2階の部屋にも機械音が少々響いている。
「…下の音、聞こえるね」
「うん、だから上のこの部屋を率先して借りさせてもらったんだって。この階はあと3部屋あるけど、うるさくなるお詫びにクーポン配ったよ。本当は24時間ジムにしたいんだけど、住民が近いとどうしてもね」
 下のジムは、夜の10時には仕舞う。会社帰りのサラリーマンの需要が減るものの、学生が使いやすい価格設定にしてそちらで稼ぐつもりのようだ。
「そっか…夕飯、何食べようか」
「ご飯の前に…心平くん、あの…キス、したい」
唐突に、悠里は願望を口にする。
 心平は驚くも、切り出してくれたことに感謝をして
「…うん、おいで」
と微笑む。

 このやり取りで、心平の心は決まった。お願いして受け入れる自分、包むと包まれる関係が成り立っていた。
 心平はベッドに腰掛けて、悠里を胸に迎える。
「…淋しかった」
「うん、忙しくて、淋しかったね」
「…好き、心平くん」
「僕も」
 しょげた猫がじゃれるように、悠里は心平の唇を求めた。
 ちゅっちゅと甘い音が部屋に鳴って、心平は悠里の腰を抱き頭をポンポンと撫でる。
「心平くん、余裕ぶってムカつく」
「なんでだよ…僕なりに色々と考えたんだ、悠里くんとどうやって…スるか」
「…どっちか、ってこと?」
「うん、僕の考えが悠里くんの希望に合致してるかは分からないよ。でも僕は押し通すつもりでいるよ」
 心平のただならぬ決意表明に、ゴクンと悠里の喉が鳴る。真意を問い質すのは野暮か、腕に巻かれている今の状況からそれは分かる。
「…っあの、ぼ、僕…練習、というか…準備、したんだ」
「何を?」
「心平くんに、だ、抱かれる準、び…そ、そういうことで合ってるよね、い、色々考えたんだ、僕、ワガママでオレ様なとこあるけど、心平くんには…甘えたかったりするんだ、心平くんのこと、頼れてカッコいいと思ってる」
「…ありがとう」
「…わっ⁉︎」
 正誤は言わずに、心平は悠里をベッドに押し倒す。そして首筋に、鎖骨にとキスを落とした。
「僕も、考えたよ…ん、こんな気弱な僕だけどね、男だし、カッコいいとこ見せたいなって…ン、悠里くんのカッコいいところも見たいんだけどね、照れた顔ももっと見たいし、泣き顔も…ね、」
「ふアっ♡」
「準備、してくれてありがとう…たぶんトチるし、失敗するだろうけど、付き合って欲しい」
「…うん、一緒に、練習、しよッ…♡」

 汗ばんで来た心平は、体を起こしてシャツを脱ぐ。肌着も剥がせば、筋肉こそ少ないものの均整の取れた上半身がお目見えする。
「悠里くんは…めくるだけね」
「なんで、あッ」
 心平は、悠里のTシャツの裾を持って肌着ごとぺろんと引き上げた。
「なんとなくだよ…乳首ピンクだ、キレイだね」
「言わないで良いんだよッ…あッ!」
乳頭をつねり上げられ、悠里の声が裏返る。
 鍛えられた細マッチョの胸板の上の桃色の乳首は、心平の指と舌の格好の餌食となった。
「はム」
「ひゃッ…あ、うわァ♡」
「かわいい」
「く、すぐった、い♡しんぺ、くんッ」
 ジタバタと暴れるも本気で逃げる様子も無し、心平は存分に悠里の不慣れな乳首をいじくり回す。
 男として出番が無いために擦れずに変色してない乳頭を、悠里はコンプレックスとも感じていなかった。セックスに使うものだと意識もしていなかったし、用途を知らないために隠そうとも思っていなかった。
「触ったりしないの?」
「しないよ、男だもん、しないれしょ?」
「まぁね、キレイ、使い込んで茶色にしちゃう?」
「心平くんは、なんで茶色なの」
「体質じゃない?僕も意識して弄ったこと無いよ」
「なんだよそれぇ、ずる、いッ♡もォ、僕ばっかり、責められて、ズルい!」
 寝ているだけなのに上がる息、強張る肩。
 心平はちゅうッと強くひと吸いして、
「僕を責めたのは悠里くんだよ、仕返しさせてよ」
と悠里のジーンズのボタンに手を掛ける。
「あ、も、もお?」
「慣らそう、僕だって初めてだから、手順は合ってるか分からないよ…でも、こういう順番とか、気持ち良くなるための準備とか、作り上げていきたいんだ、二人で」
「う、ん…あ、なら、僕、フェラするよ、サレる側だし」
「ごめん、それは後でね。挿れるための準備にしたくないから…あ、それはそれで、メインディッシュで頂きたいというか。悠里くんに抜いてもらいたいし、でもそしたら挿れらんなくなっちゃうから」
 心平としては、舐めてもらうならそれだけのしっかりとした時間を確保したかったのだ。舐めてもらわなくても勃つし、その後の本番のことを考えていると悠里に集中できなくて失礼だと思った。
 なので前戯は自分がすれば良い、心平は悠里の心身をほぐすつもりで唇を這わせヘソまで下ろした。そして開いたジーンズの腰元を、悠里本人の協力を得て脱がす。
「…ご、ご飯とか」
「それも後で、かな…いっぱいいっぱいでごめんね。悠里くんが望むようなリードは出来ないと思う。なにぶん初めてだから、許してね」
「じゅ、充分だよ…わ…恥ずかしー」
 かつてはスウェット越しに触れた熱が、薄い隔たりだけでここにある。
 心平はそっと膨らみに手を添えて、
「元気だね」
と笑った。
 そしてボクサーも引き抜いて、まじまじと見つめる。毛は生え揃い、しかしシェーバーで剃った痕が見受けられる。
「恥ずい、心平くん」
「僕も脱ぐね」
「なんでここはサクサク進めるの、恥ずかしいよ」
「勿体ぶっても…ねぇ、僕は既にオナニーまで間接的に見られてるからね」
「ごめんってば…あ、あ…」
 悠里は初めてまともに見た心平の全裸に、目をぱちくりさせて驚く。特別大きいとかではなく想像通りの体、けれど思ったより日に焼けていてたくましく感じた。
「どしたの」
「心平くん、男らしい体、してるんだね…」
「実は、ごくジムのクーポン貰ってね、消費するために通ってるんだ」
「そうなの?父さんが?」
「そう。僕、基礎の基礎から始めてるんだけど、全然大きくならやくて。じゃあって日焼けマシン使ってみたら思いの外焼けちゃって…顔はそうでもないんだけど」
 顔は代謝が早いのかそう色素が沈着せず、しかし体はほんのり薄い小麦色。余分な肉の無い、すっきりとした体つき。
 悠里が想像していたヒョロガリの心平ではなくなっており…途端に凝視できなくなる。
「少食だもんね、筋肉にする肉が足りてない…のかな」
「そうかも…どしたの、僕の体も恥ずかしい?」
「うん…男らしくって…照れる、どーしよ」
「ありがと。僕も、良い体つきになった悠里くんが男らしくてカッコいいと思うよ」
 ぴくん、ぴくん、心平の手の下で悠里がうずく。初戦での出番は無いだろうが、しっかり「ここに居るよ」と存在感を訴える。
「あの、ごめん、無意識なんだ、動かしてる訳じゃない、ドキドキして、」
「うん、うずうずしてるのかな」
「違う、コッチは準備とかしてない、僕、抱かれることしか…だから、」
「うん、また別で遊ぼうね…ふー…緊張するなぁ」
 腹の具合は上々、緊張よりも興奮が勝っている。心平は持参したスキンの箱とローションをそばに置き、カサカサと一連取り出した。
「…ゴムだ」
「悠里くんのために、買って来た…慣らす?それとも」
「シ、シよ…大丈夫、頑張れるから」
 悠里の強情さは心平も分かっている。
 もとよりそこまで長引かせる余裕が無かったので、心平は
「うん、着けるね」
と張ったソコにスキンを着させる。
 そして左手にローションを少量出して、温めるように転がす。

「(…心平くん、立派…僕も、洗浄したし、不潔ではないはず…どうしよ、裂けたら…恐い、でも、気持ち良いって読んだ、)」
「(悠里くんのお尻…あんまり肉が付いてない…痛がらせたら可哀想だけど…止まれないしなぁ)」
 準備が整い、両者顔を見合わせる。
「……」
「悠里くん、我慢しやすい体勢になって…四つん這いか仰向けか」
「…恥ずかしいから…こっちで」
悠里は顔を見られないよう、心平に尻を向けた。
 毛はこちらも剃ったようで、ピンクの菊門がばっちり見える。
 心平はソコ周辺に温めたローションを垂らして、
「触るよ」
とクルクル伸ばした。
「ひゃあッ」
「…指とかは…試した?」
「ぷ、プラグで…ごめん、変な物使って…」
「練習だもん、してくれてありがとう…ふー…ごめんね、僕も童貞だし、本当にココに入るのかな、小さい穴に」
「やってみて…心平くん、僕、平気だから」
「うん…無理ならすぐ言ってね、好きだよ、悠里くん」
 語尾が耳に届いた直後、悠里は背後に大きな熱を感じた。
 もう「待った」は効かない、でも止める気は無い。しかしにわかに恐くなって、シーツをグッと握り締める。
「アッ……あ、ひゃッ…」
 枯れた喉から野太い声が上がり、肘が崩れる。尻だけを高々と掲げ、そこに心平が繋がった。
「フー…ごめん、もうちょっとだから」
「まだ、なの⁉︎」
「うん…ん…あー…少しね、もう少し…ん、これがいっぱい…あはッ…凄い…悠里くん、あったかい」
「…しんぺ、く…あ…あ…」
 気持ち良さはまだ分からず、しかし尻に心平の下腹部と毛と脚が触れてピタピタ感が堪らない。痛みは遅れてやって来て、じんじんと摩擦がそれに変わる。
「動かない方が良い?」
「ゔ、ん…ごめん、痛く、て…でも、うれし、い…こんな、気持ちなんだ、心平くん…」
悠里はゆらっともう一度肘を立てて、心平の唇を探しに振り返る。
「ん、悠里、気持ち良いよ」
「…な、なに、雄み出して、やら、」
「あんまり良い言い方じゃないけど、悠里が喜ぶように言うね、あの時の、オナホールより…ずっと、気持ち良いよ」
「……!」
 布団の中で無理矢理使わせた、あの自慰行為グッズ。不本意ながら勃ちやすいだろうと、歯ぎしりしながらポチった女型のオナホール。
 心平のイき顔はあれで見た、でも悔しかった。男型は使えないと言うから諦めかけたが、でもここまで必死に喰らい付いた。
 その心平が、あれより気持ち良いと言う。「そんなことで喜ぶとでも?」と突っぱねてやりたい、けれど嬉しい。ツンが出ない、喜びに口が緩む。
「悠里?」
「キス、して、」
「ん、ん」
「はム…すき、心平くん、好きなんだ、お願い、好きにして、動いて、」
 心平は、ここまでの挺身ていしんの姿勢を悠里に限らず目にしたことがなかった。人が他人に体を捧げるのに、ここまで言えるだろうか。
 欲に浮かされた戯言、でも心からの本気の気持ちなのだ。いじらしさと心配と、自身の欲も混在する脳内。
「うん、」
 心平の欲はさっさと判断の実権を握り、悠里の頭をそっと跳ね返した。
 そして、
「ッッ♡ッあ!あ‼︎」
抜き差しが大きくなり、悠里の悲鳴が部屋にこだまする。
「ゆーり、ん、こーゆーの、良いのッ?」
「あ、お、お、しん、ぺ、」
「やらしー、オレ様だよね、ん、」
「はふゥ…ごめ、なさ、」
「謝らなくて、いいッ…あ、ゆーり、勃ってきた、感じ出してる、でしょッ?」
「は、いッ…きぼぢ、良くてェ…しんぺーくん、気持ちい、心平ぐん、」
 前立腺の刺激で、悠里のモノが元気になる。先に心平が果てたとしても、すぐに弄れば時間差で追い掛けてやれそうである。
 ぐずぐず鼻を鳴らす悠里はまるで土下座謝罪でもしているようで、これにはお人好しな心平は心苦しい。
「ゆーり、気持ち良いことだけ、考えて、僕も、そんなに、ちそうにない、」
「ひゃ、いッ♡…ふア♡心平くんッ♡好き♡好きッ♡最初は、抱こーと思ってた、れも、分かんなくなってェ♡キリッとした、心平ぐんに、抱かれだいって、思っ…あ、心平くん、あの、なんか、ごめん、」
「ん?」
「イきそぉ、先に、れちゃいそ、」
「速いなぁ」
 ぴくぴくと震えて、カチカチのソレが揺れる。
 心平は右手を腰から離し、悠里のソコを捕まえる。
「あッ♡」
「黙ってイっちゃ、だめ」
「心平くん、さわ、あ、イっちゃう、」
「僕の手で、イくのが、良いんじゃないの?」
「らけろ、らけ、ろォ♡」
「じゃあ、僕がイくの待って、ね、」
「ゔんッ♡」
 いじらしく悠里がそう応えるも、数秒後にその肩がビクビクと震えた。
 そして
「あッ♡♡♡」
と雄叫びが耳に刺さり、悠里の背中が丸く小さくなった。
 心平は注意をそちらに取られ、さらに手の中の悠里が萎んでしまったからハッと驚く。
「……悠里くん、イッちゃったね」
「ふッ…ゔ…」
 ぱたぱたと精液がシーツに落ちて、染み込んでいく。
 突っ伏した悠里の後ろ頭が泣いているように見えて、心平は少し元気を失った。そして済まないと心平は悠里の背中を撫でて、一旦自身を引き抜く。

「悠里くん、大丈夫?」
「…なんで、抜いたの」
 悠里の恨めしそうな声がシーツを揺らし、跳ね返って心平に向かう。悠里は自分の体で最後まで楽しんでもらいたくて、それが叶わなかった不満を態度に出した。
 心平は頭を悠里のそれにピッと付けて横になり、
「ごめんね、悠里くんが辛そうだと興奮しづらくて」
と情けなく笑う。
 心平だって射精までしてしまいたかったが、顔も見えない体勢で疼く悠里が泣いているのかと思い、やはり心苦しくて続けられなかったのだ。
「辛くなんかない!ちゃんと、感じてた!」
「泣いてるように見えたから」
「泣いてなんか、ないよっ」
「じゃあ、顔見せてよ」
「…か、悲しみの涙とは限らないでしょっ」
 まぁ泣いたんだろう、心平はよいしょと体を起こして悠里の横顔に口付ける。湿っていて塩っぱい、これは汗の味だった。
「ごめんね、性分なんだ。辛さとかを感じると、申し訳なくなっちゃう」
「だったら、最初から正常位にすれば良いじゃんか」
「痛みのある悠里くんを優先したんだよ」
「分かってるよ!そんなの!心平くんは優しいから!」
 悠里はガバッと起き上がり、唇を寄せていた心平はポンと跳ね返された。
 悠里が伏せていたシーツには涙のシミが出来ており、心平はこれ見よがしに目線をそこに向けて「やっぱり泣いてた」と示す。
 悠里は赤くなった目で心平を睨んで、またヘナヘナとベッドに倒れ込んだ。
「…悠里くん大丈夫?痛くない?」
「…平気…痛みより、気持ち良いが勝ってたから…今も…早漏なとこ見られて、すっごい恥ずかしかったんだ…心平くんが気遣いすることは分かってた、途中やめになっちゃうことも予測はしてた。でもさ、こういう…気持ち良さと紙一重みたいな感じ、分かって欲しい。止めないで最後までシて欲しかったんだ」
「うん…嫌よ嫌よも、みたいなことでしょ?分かるんだけど…虐めてるみたいで勝手に萎えちゃうんだ」
 セックスにおける予定調和、「ダメよ」を言葉通りに捉えて手を止めれば野暮天である。
 快感に浸り快感に突き動かされていれば、反射として涙が浮かぶ。生き物としての防衛本能だったり、感動だったり、純粋に嫌悪の場合もあるが同意の上の行為ならば悪い方の涙ではないのが当たり前だ。
 それを判断するための材料を集めるのが下積み、つまりは本日のこのセックスだ。
 いつまでということもなく、慣れてからも趣向が変わったりするので情報収集は永遠に続く。いつか完成するかもしれないが、それがいつかは現段階で分かるはずがない。
「じゃあ、憶えて…僕は、心平くんにされて嫌なことなんて無い。だから、抱いてる時に僕が泣いても、止めないで」
「…んー…」
「笑うようにすれば良い?」
「それは難しいでしょ…ごめん、気持ち良くて辛い表情になるのも分かるんだけど」
「その気弱さ、面倒くさい…なら次は正常位で、抱いてよ」
 悠里は心平にチュッとキスして、スキンが被さったままの股間に目を遣る。
 そしてそっと手を伸ばして触り、
「また大きくしてあげる…良い?」
と心平の視界から消えた。
「え、あ、しなくて良いよ」
「ううん、心平くん、僕の表情、憶えて…眉毛が八の字になっても、嫌がってないってこと、脳に憶えさせて」

 悠里はピンとスキンを外し、床に落とす。そしてはむっと、心平のモノを口に咥えた。
「あ、」
「はム…ん、ん♡」
「うわ、あ…」
「(心平くん、分かってない。自分だって、辛そうな顔してる)」
 悠里を股座またぐらに挟んだ心平は、困惑と申し訳なさで八の字眉になっている。口だってワナワナ震えて、でも気持ちが良いから目がぽうっとして息が荒くなる。
「ゆーりッ…あ、あー…」
「んッ…きもち?」
「気持ち良い、から、そんな、しなくていい、」
「じゅるる」
「ほああ」
 悠里は何か伝えたげに、瞳は心平を捉えてしゅぽじゅぽと口しごきに励む。望んで咥える悠里は笑い、快感を与えられる心平は泣きそうで。
「(心平くん、本当に泣いちゃいそ)」
 モノは既に元気を取り戻しており、すぐにでも使えそうだ。
 心平は悠里の訴えに熱い脳を回転させて、
「悠里ッ…分かった、気持ち良くても泣き顔になるの、分かった!」
と理解を示した。
「ぷへ…そぉ?分かってくれた?」
「分かった…」
「どうにもなんないでしょ?」
「うん…」
「笑ってみる?」
「いや、笑えない…口で感想言うくらいは出来るけど…慣れたら違うのかな」
 真面目な考察を始める心平に、悠里は両手を挙げて
「こういうのも、サインになるかもね」
とピースを2つ作って見せる。
「ダブルピースは…あんまり…」
「アヘ顔ダブルピース、知ってるんだ」
「概要はね…」
「感想言えないくらい気持ち良かったり泣き顔になった時、これしなよ。僕もする。そしたら『止めなくて良い』って分かるでしょ」
「分かるんだけどね…卑猥過ぎるんだよね…」
 心平は悠里の肩を掴んで股から剥がし、その唇を喰んだ。自分の味も知りたかったし、悠里の口を綺麗にしてあげたい気持ちもあった。
「…ん…」
「本当に…嫌なら、殴るとかしてね」
「うん、気持ち良い時は伝えるようにするから」
「…おかしいね、自分がこんなにエッチだなんて知らなかったよ」

 心平は新しいスキンを手に取り開封する。そして悠里が回復させてくれたソコに被せて、悠里に覆い被さった。
「…正常位で、スる?」
「うん…ふー…辛そうな顔、見せないでっていうのは難しいよね」
「なるべく、笑うようにするよ」
「ありがとう…悠里、気持ち良くなろう」
 大きく開いた脚の間に心平が収まり、2回目の衝撃が悠里の芯を駆け抜ける。
「あッ♡あ、あはぁ♡」
「おッ…キツ…悠里、あー…」
「心平くんッ♡すごぉ、い、」
悠里は努めて、笑顔に見えるよう口角を上げ歯を見せた。
「くッ…あー…きもち…悠里、気持ち良いよ」
「ゔん、ぼく、もッ♡」
 眉は八の字、口はあんぐり。責めに耐える辛さに見えて心平は萎えかけるも、悠里の手が心平の興奮を呼び戻す。
「(ピース、してくれてる)」
「きもち、いよッ♡心平ぐ、んッ♡」
 うつろな目に涙を浮かべ、ガシガシ突かれてその涙が上に下に水溜りを広げる。口からはよだれが垂れて、物欲しそうに舌がちろちろ踊る。ピンクの乳頭を隠すように配置されたダブルピース、情けないM字の脚。
 絵に描いたようなアヘ顔ダブルピースに、心平は堪らなく悠里が愛しく感じてしまった。
「ゆーり、可愛いッ♡…エッチ、すごい、エッチ」
「おほッ♡おッ…うおッ♡おッ♡」
「気持ち良い…悠里のお尻、凄い、気持ち良い、ありがとう」
「ふおッ…心平く、ん、しゅご、お、」

 段々と言葉少なになり、吠えるだけの喘ぎ声が互いの耳に届く。
「(かわいい、気持ち良くしたい、なりたい)」
「(カッコいい、気持ち良くしてあげたい、気持ち良い…)」
 ぱちゅぱちゅと湿った音が破裂して弾けて、心平もいよいよを迎える。
 先ほど暴発した悠里のソコはびよんびよんと心平の動きに合わせて揺れて、しばらく決壊しそうにない。興奮はしているだろうに、心平は悠里が内心冷めているのではないかと少し不安になった。そもそもがアナルは性器ではないから、ちょっぴりの快感でも妥協して気持ち良いフリをしてくれているのかもしれない。
「はッ……ッあ、ゆーり、無理しないで、」
「してない、平気、」
「無理に、笑わなくて、良いからッ」
 アヘ顔もダブルピースも視覚的にエロくてよろしい、けれど俗っぽくて悠里のイメージと合わない。それは元々分かっていてそのギャップがエロくてそそったが…心平は悠里に嘘をつかせるくらいなら、辛そうな表情でも我慢しようと思い出していた。
 丸ごと愛する、なんてのは詭弁だ。だって悠里のダブルピースが下がり綺麗な顔がくしゃと歪めば、心平は胸が痛み萎えそうになる。
「心平く、ん、ちゅ、して、」
「…ん?」
 僅かに張りが弱くなり、すこすこと摩擦が少なくなる。自然体を受け入れる頼もしさを期待した悠里だが、また途中やめにされては申し訳なくなる。
 悠里はチョキからパーに変えた手を心平に差し出して、
「ちゅー、して、それなら、見えないからッ」
いびつに笑った。
「悠里、」
 心平はすぐさま体を倒し、悠里のいやに力の入った口元にキスをする。
 歯を食い縛ってガチガチと音がする。ふぅふぅと辛抱している息が聞こえる。
 心平は可哀想にと思いながらも、喘ぎ声が骨に伝わり脳に伝わり、どうしようもなく興奮してしまった。
「(悠里、悠里…気持ち良い、ごめん、痛いかな、もうちょっとだからね)」
「(すっごい…ふわふわする…気持ちー…僕、こっちの方が向いてる…)」

 はむはむと唇を噛んで舐めて、髪を撫で、頭を固定して。5月の陽気は夕暮れで少し涼しくなり、しかし二人の肌は汗で濡れて。
「(あー、もお、出る…伝えたい、イくよって)」
「(心平くん、パンパン…硬い…きもちい…何だろ、モゾモゾしてる)」
「(イく、悠里で、イくから、)」
「(なに…?あ、速…うわ♡スパート掛けてんだ、あ、)」
 超絶の至近距離でうっすら目を開けて、動きの中でも二人は見つめ合えた。心平は最後の力でもって腰を振り、悠里は受け止めようと脚に力を入れる。
「(イく)」
「(イって)」
 速く一定に、自分本位に抜き挿しを繰り返し。
 そしていよいよとなると心平は唇を離して一層奥で、
「ッあ…♡ゆーり、んあ、あ♡♡♡」
と声を裏返し、果てた。

「…ッ…あ…」
「…ごめ…悠里…重く、な、い…」
「平気だよ、」
「すっ…ごい……気持ち良かった…」
「良かった、嬉しいよ」
 悠里は二人の体でサンドされたモノからちょっぴり発射してしまったことを、笑顔で隠す。そうそう連発なんてしないと思っていたが、前立腺を刺激されてまんまと勃ち、心平のイキ顔に当てられて後追いをしてしまった。
「悠里、好き…だよ、事後に言うことじゃないかもだけど」
「ううん、僕も好き…嬉しい…僕でイってくれた…幸せ…」
 窓から差し込む光はぼんやりオレンジが濃くなって、爽やかさの中にも侘しさみたいなものが漂う。
 幸いにも賢者タイムの短い心平は、ウェットシートで悠里の尻周りを拭いてやる。自分の腹に悠里の精液が付いているなんて考えもせず、自身のが散ったのかと軽く掃除して寝転んだ。
「悠里くん、勉強頑張ってるね」
「うん…覚えることいっぱいで、充実して…る」
 本棚には真新しい教科書がぎっしり、机の上にもノートが置かれている。
 大学の偏差値からしてもレベルの高さは瞭然で、心平はねぎらいのつもりで悠里の後ろ頭を撫でてやった。
「実家には?帰らない?」
「バイト入れちゃってて…社員さんもバタついてたから、多めに出ることにしたんだ」
「そっか。なら夏休み、帰っておいでね」
「うん…母さんの料理、食べたいな…」
悠里は心平の薄い胸に頬を付けて、ボソボソ呟く。
「…もしかして、ホームシック?」
「ちょっとね。僕、ひとりっ子だけど家で独りになることなんて無かったからさ、やっぱ、寂しいんだよね」
「そう…だよね…いつでも連絡してね、電話も」

 薄暗くなる部屋で、二人はちゅっちゅと唇をついばみ合った。
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 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

義兄が溺愛してきます

ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。 その翌日からだ。 義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。 翔は恋に好意を寄せているのだった。 本人はその事を知るよしもない。 その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。 成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。 翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。 すれ違う思いは交わるのか─────。

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