君は、裸の王子さま—イタズラ御曹司は気弱な幼馴染みが欲しくてたまらない!

茜琉ぴーたん

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 夜。
「…ねぇ、もうオバケ出た?」
薄目になった悠里は、心平の腕に寄り添う。
 全米で人気というその映画は、有名監督が手掛けたホラー作品だった。悠里は自分が観たいと選んだくせに、予想を上回る恐怖にビビり倒しているのだ。
「出てない…怖いなら他の映画にしようよ」
「やだ、話題作って書いてたもん、こういうのは良い会話のネタになるんだ」
「…観なきゃ意味無いじゃない……あ、オバケ出たよ」
「ひいぃ…なんで心平くんは、こういうのには弱くないの」
「作り物って分かってるから」
 悠里はひんひん鳴きながらも90分映画を完走し、その後は慰められるように心平に抱かれた。


「悠里くん、こうしてもらうためにホラーにしたんじゃないの?」
事後の心平は、粘液を拭いてティッシュを捨てる。
 甘えたいセックスをしたいがためのホラー鑑賞だったのでは、心平はそう踏んだが違うらしい。
「…心平くんが怯えるとこ、見たかったんだ」
「あ、そう」
「甘えたいなら、恋愛映画にしてるよ…嫌いじゃないんだ、ロマンチックなやつとかも」
 悠里は心平との仲を考え始めた時から、男女の恋愛を描いた作品を読んだり観たりするようになった。女性は嫌いだが心理は共感できて、歳を重ねるごとに間口が広くなって来ている。母以外の女性とも談笑できるくらいには成長した。なので、デート前に女性向けの胸キュン作品で気持ちを高めたりなどもしている。
 しかし今夜は単純にイタズラ心が疼いて、心平を怖がらせようと思っただけだった。そしてその結果の返り討ち、あわよくば弱った心平に騎乗してやろうと思ったのに叶わなかった。
 呆れと励ましの混じったセックスは悠里にとっては悔しいもので、けれどビビり倒した後だったので温もりが心地良かった。
「…じゃあ今度は、そういうの観てからシようね」
「うん…」
 すっかり頼もしくなった心平に、悠里は内心「つまんな~い」と思わなくもない。
 昔は辛そうな顔をするだけで腰を止めていたのに、今では「んん?」と試すようにわざとゆっくり動いたりする。実際、悠里はセックスで痛がることはもう無いので、その反応が"快感"だと分かっていて焦らすのだ。
「(心平くんの余裕、ムカつく…もう僕とのエッチはルーティーン化してない?僕はいつまで経っても勝手に早々出しちゃって恥ずかしい思いばっかりしてるのに)」
「悠里くん?」
「…心平くんは余裕だなって思っただけー、こなれちゃってさ」
「…気持ち良くなかった?」
「良かったけど、僕ばっかりドキドキしてる気がする!」
 久々の王子さまっぷりに、心平はヤレヤレと寝転び悠里に背を向ける。
「…怖がってる悠里くんは、見てて辛かったよ。だから優しくしたつもりだったんだけど…エッチは慣れちゃったから、照れとかは流石さすがに無いし…あ、新鮮さを取り戻すためにセックス断ちしてみる?」
「いーやーだ、やだ!」
「ワガママ悠里」
「だって、だ…」
 追いすがっていた背中が、振り向いて胸板に変わる。
 支えを失い悠里はうつ伏せに倒れ、その背後を取られて尻に湿りがピタと当たる。数秒前に耳から入った「悠里」の意味が、遅れて実感に変わる。
「じゃあ、激しくするよ。僕もドキドキしてるって、心臓の音でも聴いたら良いよ」
 拓かれる、筋肉が強張る。でも慣れた体が、すんなりと侵入を許してしまう。
「待ッ、あ、おふッ♡」
「ワガママ悠里、ガキンチョ悠里ッ」
「あ、ごめ、なさッ♡おぅ、ほッ♡」
「謝らないで、胸が痛むから」
「らッ、てぇ♡あ、心平くんッ♡あ、きもちい♡」
 きしむベッド、頭がぐわんぐわんと揺れる。脚の開き具合で、締まりも当たる場所も変わる。
 悠里は熱情をこぼさぬよう食らい付いて、しかし持ち上がりそうな体を必死にマットレスへ貼り付ける。
「僕はね、悠里の、不満そうな顔は、嫌いじゃない、スッキリ、する、」
「ひど、い、」
「ギャフンと言わせた、みたいな、」
「ふえッ♡」
 悠里の背中が真っ赤に染まって首が持ち上がらなくなれば、心平は一旦腰を止めて引く。
「脚、こっち、」
「うごッ♡おッ」
 高々と掲げた左脚は帆柱マストのよう、それを抱く心平はアスレチック遊びを思い出して愉快になった。
「これ、いーね、すごい、締まる、」
「ほッ…ほォっ♡おッ♡おッ♡」
「悠里、気持ち良いなら、ね、」
「あ、ん、んッ♡」
悠里は斜めの体で、ダブルピースを作り顔の横に並べる。
 辛くないことを示すサインはもはや本来の意味を成しておらず、ただただ見た目に卑猥なだけだった。だって悠里はどんな抱かれ方をしたって嫌がらないし、心平は辛くなる抱き方はしない。互いの信頼関係があるから、それは今やただの形だけの"アヘ顔ダブルピース"でしかないのだった。
「(口がムニムニしてる…気持ち良いね、)」
「(すんごい深い…心平くんのち◯ぽ、いっぱい…すごい…)」
 なんて淫靡で美しいのか…しばらくスコスコした後、心平は脚を離して倒れ込み、悠里の両手首を捕まえた。
「ちょっと休憩…屈した悠里、かわいい」
「抵抗、れきないよ…」
「僕の心臓の音、聴こえる?」
「ん…バクバクしてる…」
 胸筋を隔てて心音が伝わる、自分由来でこんなにドキドキしてくれていることが嬉しい。
「僕だって、悠里でドキドキ、してるんだ…」
「うん…嬉しい…心平くんの感じてる顔、心臓の音も、全部嬉しい」
「…悠里、好きだよ…」

 うっとりとダブルピースを決めるエロティックさに心平は参り、口付けて数回腰を振ったらすぐにイってしまった。

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