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2018・爽秋
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しおりを挟む正直、潤は今夜のセックスに乗り気ではない。解決してない問題がモヤモヤと、ずっと胸の浅いところに漂って居座って気になってしまう。それでも、励ましてくれた飛鳥の気持ちに応えたく、切り替えてエッチな気分になろうと頑張ってみるのだった。
「所長、今日は抱っこして寝るだけにしようか。その気になんないでしょ」
飛鳥は潤の気持ちを察して、珍しい提案をしてくれた。
「いや、あの…あ……ごめん…」
「所長が謝らないでよ、ケンタが悪いんだよ。こわいよね」
「うん…」
ふかふかのベッドへ尻からダイブし、飛鳥は天井の鏡に気付いて「おぉ」と驚く。
「所長、おいで」
その彼に手を引かれ潤も隣に寝そべり、同じく鏡に映った自分たちを見て「わぁ」と驚いた顔をした。まるで人に見られている様な感覚、どぎまぎとしながら飛鳥とキスをして、伏し目がちに舌をその唇へ沿わせる。
「ほんっと、ケンタは罪な男だね…」
「ウン?」
「別れて1年以上経つってのに、ずっと所長を悩ませて、心の中に居続けちゃってさ…ずるいよ」
飛鳥はハムハムと潤の唇を啄みながらそう呟いた。
「そんな事言っても、先生だって元カノとかいたでしょう?」
「まぁね」
「ほらぁ、私ばっかり責められるのは…ずるいじゃない」
「だね」
元カレ・ケンタのキモメールの威力たるや絶大で、飛鳥も脱力してしまいどうも唇を合わせても興奮しきれないでいた。
「ねぇ、」
弱った顔でため息を吐く飛鳥に、潤は元カノのエピソードなどをねだって聞かせてもらった。
その人数は意外に少なくて2人、学生時代の彼女が最後で、社会人になってからは特定の恋人は作らず、割り切った関係の女性と遊んでいたらしい。
「面倒でね…ボクはほら、虐めるの好きでしょ。Mな子と付き合いたいけどなかなかねぇ、調教済みじゃ意味無いしさ。しばらくはプロのお姉さんと遊んでたよ」
「うーん…ヤキモチやく気にもなんない…プロかぁ…ずっと同じ人?」
「そうだね…その人が…んー…引っ越すまでは…シてたね」
少し遠い目をして、飛鳥は「別れた」と言いたくないのか言葉を選んだようだった。
「そっか…遠いの?」
「なかなかね。ははっ」
「むー…」
「なに?妬いてくれるの?」
「いや…私はケンタの事でいつも詰められるのに…」
「ボクの元セフレは『ショウコ』さんだったよ」
「あっそう…」
案外、潤はヤキモチを妬いてくれているのかも、そう感じた飛鳥はかねてより考えていた事を打ち明ける。
「……所長さぁ、ボクらって付き合うより先にセックスしちゃったじゃない?それで相性がいいから…というかボクが離さないから一緒にいるんだけどさ…」
「うん?」
「ボク自身の事はどう思ってる?ボクがもしセックスが下手だったら、今頃こんな事になってないでしょう?」
「あー………」
潤はしばらく黙り込み、続ける。
「生理の血が付いちゃったのを助けてくれたのは打算だった?私の事が好みじゃなかったらスルーしてた?」
そもそもの仲良くなるキッカケは、彼女の経血が染みてそれを彼が助けたことに始まっている。
「…………いや……誰だろうと助けたと思うけど…」
「んー、そういう所だと思うなぁ…。お世話焼きでしょ、家事能力高いでしょ、女子力も高いでしょ、あと……体もまぁ……」
「相性がいいよね」
「うん、そういうこと……上手い下手はよく分かんないけど……大切にしてくれるなら一緒にいたと思う。私に無いものをたくさん持ってて…んー………好き、よ」
「ふふっ………嬉しいな……所長、ん、キスしよう、は…」
腕を、指を、脚を、腰を、絡めあってほぐれ合って、潤が上になるようにコロンと体を回す。
身体だけの爛れた関係ではなかった。それをやっと確認できた飛鳥は嬉しくて潤を抱く手に力を込めた。
「ずっと聞きたかったんだよ。ボクじゃなきゃ駄目な理由って所長にはあるのかなって…」
「うん…」
「ボクはねぇ、所長じゃなきゃいけない理由って正直無いんだよ」
「ぇえ⁉︎無いの⁉︎」
ここまで言わせておいてなんて事を言うのか、潤は遊ばれたような感覚になり難しい表情になってしまう。
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