いつだって、そばに。

茜琉ぴーたん

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ブルマ

10・成田と香澄の場合

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香澄かすみチャン、これ、ほら、穿いてみて」
 悠一ゆういちが紙袋から取り出したのはビニル包装のままの衣類、嫌な予感しかしない香澄は
「…イヤやん」
と顔を背ける。
 ねっとりとした呼び方をする時は、彼は決まって何かを企んでいるからだ。
「えー、見て、ひと昔前はこんなんで体育しとってんで、絶対似合うからやぁ、着てみて」
「イヤ」
 ここはホテルで二人は恋人同士で、セックスにちょっとしたテコ入れをするくらいは香澄も許容範囲なのである。
 しかして悠一の手の中のそれが小学生用の体操服上下、しかも下がブルマなのだから彼女は拒否感を全面に出して抵抗した。
 童顔で低身長で短い手足、小学生に間違われることもまだあるのだから敢えてそんなコスプレをしたいとは思わない。反対に大人っぽいセクシーなドレスなら着るかと言われればそれも困るのだが…とにかく香澄は望んで小児に寄せるような格好をしたくないのだった。
「ええやん、可愛いよ」
「絶対笑うやんか」
「笑わ…笑うやろうけど、そら愛らしいから笑ろてまうやん」
「笑うなら着いひん!」

 ぷぅと膨らませた頬の斜め後ろからのアングルは悠一の大好物、彼は絨毯じゅうたんの上を忍び足で歩み可愛い風船をちょんとつついた。
「香澄ちゃん、上か下かどっちかだけでも」
「イヤやて…悠ちゃんが着ればええやろ」
「はみ出るやんか…そない嫌か?」
「…悠ちゃんが人に『ネヤガワラのネタして』て言われるくらいイヤや」
 そこを引き合いに出された悠一はブルマを掴んだ手を降ろし、
「そらぁ、なかなかやな」
と呟く。

 人によって嫌なことはそれぞれだが、こと悠一に関しては双子の弟・陽二ようじと関連付けられることがいまだに地雷だった。自分から意識して似せて女性を釣ったりしたこともあったが、人から要求されるのは不本意なのである。
 見た目・愛想・愛嬌を比べられてイラつきっぱなしだった少年期を思い出して、悠一は歯ぎしりが止まらない。

「……悠ちゃん、イヤなんは辞めとこ、な?」
「……分かった…いつか…いつか、着てくれるか?」
「何でそないこだわんの…いつかな、酔ったりして…気分がええときに」
「んー……分かった…」

 さてどうしたら彼女はブルマを穿いて可愛い肢体を見せてくれるのか…しかしそれにはこちらも何かを差し出さねばならない。
 想像でだって楽しめるがせっかく買ったのだし着せて触って味わいたい。

「香澄チャン、コホン、あ、あー…コホン、」
 香澄が望んだ訳ではないが自分における最上級のサービスだ、悠一は水のペットボトルをセンターマイクに見立てて右手で握る。
 そして
「どうもー、ネヤガワラですー」
と弟そっくりに背中を曲げて見せた。



おしまい
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