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盗人は猛々しく居直って*(全7話)
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しおりを挟む「ごちそーさまー」
ようやく食べ終わった舞は片付けをしながらもその脚は少しふらついて、シンクになかなかの音を立てて丼を置く。
「もう酔うてんのか?座っときや、」
彼はその音に反応してリビングから声を投げるも返事が無い、テレビから目を離して顔を向けると舞はもう柳の隣、ぺたんとラグにへたり込むところだった。
「おおい、おい!」
くったりと前傾する舞の両肩に手を掛けるには時間が足りなかった。
脚は正座を崩した形で、柳の腹に覆い被さるように彼女の体は落ち着いた。
「おい、吐くか⁉︎」
「………」
返事無し、柳は心配そうに舞の背中を摩る。
「イッキするからやで……回るん速いな…おい、大丈夫か、」
声に対してムニャムニャと何か返ってきて、吐くような緊急性は無さそうだと分かり、柳はそのままぽんぽんと舞の背中を叩いた。
その手に干渉するデコボコ、これは彼女の胸をきつく縛ってるに違いない、それを緩めてやる為に一応の許可を取る。
「おい、コレ外すで…後で怒んなよ…」
柳は舞の部屋着の背中を捲って、ブラジャーの三段ホックに手をかける。
外してやると彼女は大きく息を吸い、またムニャムニャと顔を彼の腹へ擦り付けた。
「おぉい、生きてるか?」
緩めたとはいえうつ伏せで圧迫されては意味が無い、せめて仰向けにしてやりたいが脚が動きそうにないし柳の部屋着をぐっと握って離しそうにもない。
首元は既に緩んだ服だし、柳は思案の挙句に舞の腹に手を差してスウェットのズボンの腰紐を解く。
そして頭を撫でたり背中を摩ったりしてテレビで気を紛らわせるのだった。
・
30分ほど経って、ようやく舞は覚醒した。
「……ん…あ、ごめん…」
おそらく倒れ込む記憶はあるのだろう、彼女はまず柳へ謝罪した。
むくりと起き上がって髪を直し虚な目で状況を整理しながら、なおも立ち上がりはせずに彼の肩に寄り添ってコタツへ足を入れる。
「ええよ、びっくりしたわ…吐かへん?」
「大丈夫ぅ~ふふ」
やっとほろ酔い、舞は上機嫌で彼の肩にスンスンと鼻を付ける。
「……そこ?」
「うん?どこ?」
「ココやん」
柳がその分厚い唇を人差し指で触りニィと挑発的に笑むと、
「ん」
二人は顔を申し合わせて近付け、ちゅっちゅとキスを繰り返した。
付き合いはもう二年以上、勝手に家に入られたのは初めてだったが目くじら立てて怒るほどの大事ではなかった。
「あれ?ちょっと、ブラ外れてるんだけど」
「吐きそうやったから外したよ、怒んなよ」
あの時下心が全く無かったと言えば嘘になるが、確かに介抱するつもりで緩めてやったのは間違いないのだ。
「そう…?ありがと………え、ここでいいの?」
柳は舞の部屋着の裾から手を差し入れ背中を直接摩り、そのまま背骨に沿ってショーツの中の尾骶骨に触れた。
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