負けないふたり、勝てないふたり〜最強剣士の弱いとこ〜

茜琉ぴーたん

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1・負けず嫌いのめぐとめぐ

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「ふッ…あー…気持ち良い…萌、可愛い…」
「ふぐッ……ふぅ…」
「もうちょっとね、頑張ってみてね、」
「(頑張る?なに……え、え?あ、)」
 ずぶずぶと侵攻が始まって、いつもならこれくらいで周がひと息つくはずなのにそれが無い。
 はらはいっぱい、きっと周の形が分かるくらいに膨らんでいるはず。
「全部、挿れるから…」
「(全部?あ、え、じゃあ今まで…)」
 周のソレは、体格に見合った大きさである。日本人にしては大きめらしい、私は他者のものと見比べたことは無いけれど。
「萌…」
「あッ…あ、あ⁉︎」
「奥、ここかな、どう、根元まで…ね、痛くない?喋れる?」
「めぐ、これッ…なに、オっ…なんか、違う、」
 目を白黒させる私を、読めない瞳が見下ろす。私をいっぱいに映して、それらは爛々と輝いていた。
「何って…遠慮してたのを、全部挿れたんだよ…全部、」
「な、なんで、遠慮、」
「萌の細い体と子宮が裂けちゃいそうで、恐かったから…将来的には、子供も欲しいし…負担があるといけないなと思って」
 「子宮まで入るかーい」とツッコミたかったが、本当に入って来そうで恐ろしい。
 今までは途中で勘弁してくれていたということか、果たして周はそれで気持ち良かったのだろうか。
「ごめん、周、我慢、してた、の?」
「そこまでじゃないよ、全部挿れなくても感覚はそう変わんない…体勢はキツいから長持ちしなかった…でも気持ち良いから、平気だったよ…萌のナカが良いから、実際すぐイっちゃうし…あー、でもこれ、すっげぇな…全部入って…満足感が凄い……ナマでここで出したら、萌がすぐ孕んじゃいそう」
「はら、ん、」
「妊娠しちゃいそう、」
 「ほらほら」と、周の腰が愉快に動き出す。
 彼は恐らく自前の筋力で己を制限していたのだと思う。全挿ししないように、そちらに気を回していて私に集中できていなかったかもしれない。
「めぐ、ひッ…変なとこ、当たって、」
「ポルチオかな、痛い?」
「いた、きもち、ちょっと、恐い」
「引っ掻いて良いから、最後までさせて、もう止まれないから」
「ごふぅ」
 体を貫かれる恐怖を、快感がギリ上回る。
 シーツを握っては指が滑り、握り締めた拳は周に捕まった。
「萌、気持ちー…可愛い、萌、めぐ、」
「おッ…ぐぅ…オっ…ほッ…」
「女騎士、陥落、って感じ、」
「ひゃ?わがんな、い、」
「強いさ、女騎士が、敵国に捕まってさ、陵辱されるの、でも、『負けない』って気持ちで、耐えるの、」
「ゔん?」
 周は少し動きを緩やかにして、説明してくれる。
 私は良く知らなかったのだが、中世などを舞台にしたエッチなお話の中ではそのようなことがあるあるなのだそう。史実にもありそうなことだな、とぼんやり思った。
「聖騎士とか、オークとか、ゴブリンとか、そういうのに、犯されんの、でも心は負けないのね、」
「(そういうエロコンテンツが好きなんだね)」
「普通のAVでもそう、生意気な女子とかね、最後には負けんの、その折れるところが、堪んねぇの、」
「(私、そんな気丈を売りに生きてないけど)」
 ともかく、剣道で負け無しの私が屈するところが見せ場らしい。
 けれど彼は私に痛い思いはさせたくないと言っていたし、だからこそ長年辛抱を続けていた。
 それが今日ついに破られるのか、私が「やめて」と言っても聞き入れないつもりなのか。

 私の困惑が見えたのか、周は顔がしっかり見えるように密着して
「壊れないようにするから、安心して」
と…ちっとも安心できない言葉をくれた。
 身体か精神のどちらか、もしくはどちらもが壊れる前提らしい。それを防いでくれるとは言うが、不安しか無い。
 体は鈍く痛む、恐怖に押し潰されそうになる。でも信頼のある周だから任せよう、しがみ付くように彼の背中に脚を回した。
 瞬間、周は両目を見開き明らかに笑った。
「もう折れたの、チョロいね、」
「らって、周だし、気持ち良いし、まだ、ちょっと、痛い、けどぉ、」
「もっと、抵抗するかと思ったのに」
「信じてるんだもん、周のこと、痛くしないって、酷くしないって…ちょっとは痛いけど、慣れるかもだし、これから、回数重ねて、あの、」
 揺さぶられながらの演説に、周は切なげな顔つきになる。趣向に背いただろうか、引かれただろうか。
 セックスに貪欲だと思われたのも恥ずかしく、こちらも下がり眉になってしまう。
「…僕が萌との試合稽古で加減してたのは、」
最奥で周は動きを止める。
「…ふぅ?」
「体格差に遠慮したってだけじゃない」
「…うん、」
「萌の悲しい顔を、見たくなかったからなんだよ」
「……そうなんだ」
 私を弄った指で、私の縦皺の入った眉間を擦る。辛い顔、苦しがる顔を見たくないということだろうか。
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