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しおりを挟む「う、ん、」
「あの…私、和樹くんのこと、好きなの。出逢ってすぐから…助けてくれて嬉しかったし、自立した大人でカッコ良くて。真面目だし、わ、私が好きオーラ出しまくっても嫌わないでいてくれたし、過去のこととか、しっかり聞いてくれて…好きだなって」
「…うん」
「おじさんの言ってた、爆発みたいなキッカケ、私にとっては初対面がそれなの。単純だから、私、それで和樹くんがヒーローに見えて、気になっちゃった。い、今は…ちょっと落ち着いて、ここに来てまったり過ごすことが楽しくて…でも和樹くんが居たら嬉しいし、やっぱりカッコいいって思うし……出来る範囲で頑張って働くから、あの…わ、私と、け、結婚して、欲しいの!」
「ぶはっ」
喉を通り過ぎて行くお茶がジャンプして、おかしなところに入る。
和樹はゴホゴホと派手に咳き込み、真綾は膝立ちになりその背中を摩った。
「大丈夫⁉︎和樹くん、」
「らい、ごぶ…げふっ…け、結婚とか、言うから、」
「だって、本音なんだもん、付き合いたいけど、フられたくないんだもん、最初から結婚が良い、こんなに好きになった人、初めてだから」
「げフん……んあー…そう、ごめ、待ってね、んんっ…」
鼻の奥に逃げた水分をすんすん吸って喉に落として、和樹は答えを考える。
安定が大切だが、交際もせずに結婚は無かろう。
もちろん受諾しても即入籍にはしないが、早急感が否めない。
しかし幼なげな思考を残す真綾の決死の覚悟に、和樹は絆されそうになっていた。
まだ若いのでイチャイチャした恋愛もしてはみたいが、二人のキャラクターには合ってない気がする。
共に同じ目標を目指し働く、その合間を関係性で埋めて繋いでいければ理想かなと思えた。
「恋人を得る」のではなく「所帯を持つ」、それを達成するのが今の自分に合う願望のような気がする。
もちろん夜には夫婦のそれらしい時間を設けるだろうが、真綾相手にそこまで興奮しないというのが正直なところだ。
圧倒的な小娘感、自身の妹と重ね合わせてしまうのも要因かもしれない。
しかし顔を真っ赤にしてプルプル震えている真綾を見ていると、健気で守ってあげたい気持ちにもなる。
庇護というよりは保護、和樹は犬猫を囲うような感覚だった。
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