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しおりを挟む「ほう…いや、てっきり毎週パコパコしてたのかと」
「そんなんじゃない…でも、都合良く使われた感はあるかな」
「そうか、ヌキだけで真綾は気持ち良くしてもらえなかったってことか」
「そ、そんなとこ…ごめんなさい、気持ち悪いかな」
「んー?そこまで…誰しも同じようなことはしてるだろ…」
「和樹くん、笑い過ぎ」
猥談が弾んでしまい、和樹は自身のキモさを浴室の鏡で見て自覚する。
丸腰で真綾の胸を掴み、ぐふぐふ笑う成人男性の姿がそこにあった。
「あ、ごめん…変な優越感が湧いちゃって」
「…和樹くんは?私の前に、彼女はいた?」
「…2人、いた。歳上の大人な感じのお姉さんだったな」
「ふーん…どれくらい、エッチしてた?」
真綾は和樹の手を引いて、脱衣所へ出ようとする。
「どっちも、月に2回くらいかな」
「私よりヤってるじゃん、なんか、私のことすごい不良扱いしてなかった?サセコみたいな見方してなかったぁ?」
ぷんぷん怒る真綾の頬を後ろから眺めて、「そだな」と和樹はタオルを取る。
「真綾が週1って言うから、俺よりは多いと思っただけだよ。俺、大人になってそこまで恋愛に重きを置いてないのよ。だから真綾がアプローチして来ても何もしなかったろ?」
「他の、キレイな女の人だったら?」
「好みなら受けたかもしれないけど…飢えてもなかったし、仕事も充実してたし、求めてなかったんだよ」
好みどストライクな女性に迫られたらお願いしていたかもしれないが、あの時の和樹は積極的な恋愛を求めてはいなかった。
なので他の女性だろうと真綾だろうとほぼ同じ結果だろうと和樹は主張する。
なんでもない状態に真綾が加わったから、和樹の世界が今のように変わったのだ。
他の誰かなら、別でそれなりにベストな環境に落ち着いていたはすだ。
けれど真綾は、自分との出逢いに特別なものを感じて欲しかった。
自分でなければならない理由、運命的なことを和樹に言って欲しかった。
「…なら、なんで私と付き合ってくれたの?」
「…真綾が、俺の世界に入り込んで来たんだろ?恩返しって…順当に仲良くなったところで告白してくれたから、受け入れたんだよ。道のりとしては正統だろ」
バスローブを羽織り、和樹はタオルでわしわし髪を拭く。
「……」
脱衣所が静かになって再び視界が開けたら、びしょ濡れのままの真綾が泣きそうになっていた。
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