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おまけ
立場逆電
しおりを挟む「ナツ、これまだ要るかな?」
真秋の手には黒色のアナルパール、俺の後ろで遊んでいた時のオモチャだ。
あの頃はセックスまでの到達を考えてなかったから「慣らす」目的ではなかった。しかし結果的に俺の後ろはそれらで慣らされて、真秋を迎え入れやすくなったという…今思えばお役立ちグッズだったのだろう。
「んー…アキが使いたいんなら、持っといても良いんじゃね?」
「あー…そうだね…コレ挿れて、悶えるナツを眺めながら製図とかしたいもんね」
「捨てちまえ」
本日は休日。俺は私物の整理をしており、見物していた真秋がアダルトグッズの容器を開けたところだった。
それらは俺の持ち物として俺の部屋のクローゼットに収納されてはいるが、俺が買ったものではない。「これ使お♡」と真秋が買って、俺に使ったものだ。
なので処分するにしても、俺よりは真秋の判断で行う方が妥当だと思っていた。俺はもう貫通してしまったし、他に用途が無い。
なので真秋はどうしようと俺に尋ねてくれたのだが…俺はふと、「使う人、もうひとりいるじゃん」と思い当たる。
「…アキ、お前使ってみれば?」
「はぁ?やーだよ」
「まだ処女なんだろ?試してみろよ」
「ナツ、僕はタチなんだよ。そういう願望は無い」
口調こそ穏やかだが、目が本気で嫌がっている。
でも試してみたら良いことがあるかもしれないのにな、俺は箱の中の一番小ぶりなアナルプラグを手に取った。
「いや、最終的にチンコ挿れるためとかじゃなくて、あくまで遊びというか。女でも後ろ弄ったりする人はいるんじゃね?」
「…嫌だ、痛いのはヤダ」
「それが理由かよ…俺には散々突っ込んでるくせに」
「だって、ナツはネコだし」
ごにょごにょと唇を尖らせて、真秋は話題を変えようと俺に右手を差し出す。
「…なに?」
「いや、ソレ。片付けるから」
「…挿れてみねぇ?アキ、」
「ヤダ」
「俺も挿れるから」
「何でだよおっ」
休日であまりに暇だったからか、嫌がりながらも真秋の態度には若干余裕がある。ここからカップルのイチャイチャに移行させるつもりなのかもしれない。
「(新たな発見、もあるかも)」
真秋は仕事の納期のせいでこの連日連夜働き詰めで、珍しく俺に「ごめん、ご飯作って」と頼んで来た。普段自主的に料理することが許されてない俺は、レトルトや冷凍食品でなんとか二人の胃を保持させた。
洗濯は入れて回すだけ、近くのコインランドリーに乾燥はお任せしてハンガーに掛けて片付けるだけ。
俺ひとりの家事なら適当にするのだが、真秋の求めるレベルに近付けるには時間を惜しんで金を投入するのが最良だった。
スパダリ真秋はそれらを負い目に感じており、これをネタに言うことを聞かせることは可能かと思われる。押せばいけるかな、そこまでしてプラグを詰めたい理由も無いのだが。
「アキ、一生のオネガイ」
「こんな局面で軽々しく使うなって」
「家事、アキがするって約束だった家事、俺もやってあげただろ」
「ぐぬぬ」
俺はアキより小柄だけど、力はある。細い手首を押さえて普段より甘えた声で、いじらしく迫ればその珍しさに真秋はたじろぐ。
接近して、首筋に口付けて。まるでタチの真似事…いや、これは真秋の真似だ。真秋が俺にするように優しく、わざとらしく息を吹き掛けつつ。
「アキ、ちょっと、先っちょだけで良いから」
「や、だ、」
「俺も脱ぐ、ほら、俺はこっちの大きい方挿れるから」
「何の得も無いでしょ…もー、やめて、ナツ」
ラブな空気を醸して、ズボンの腰に手を掛ける。ラフなスウェットは簡単に床に落ちて、俺も自分でパンツを露出した。
この積極性が、真秋にはツボなのだ。最終的にセックスに行き着くとして、俺が張り切って準備する姿に感動しているに違いない。そしてそのためなら少しは付き合ってあげても良いかな、と逡巡していることだろう。
ボクサーを脱がして、ベッドに座らせて。M字に開脚して、脚の間に俺は収まった。
「アキ、ちょっとだから」
「…ナツのは、誰が挿れるのさ」
「え、あー…これはアキが挿れろよ」
「僕、たぶん挿れたら動けないよ…」
「そっか…なら、先に俺に挿れて」
体勢は逆転、俺がM字開脚に替わり真秋がプラグを持つ。ローションで滑らせて、慣れた手つきで俺に収めた。
「んあ♡」
「……もう、これで終わりにしない?」
「いいや、アキも…な、たまには良いだろ」
「……」
認められないよな、タチなんだから。
でも内心は好奇心でワクワクしてるんじゃないのか、違うかな。
今、この場にスキンの在庫が無いから、真秋は俺を襲えない。だってここは俺の部屋、俺はセックスにスキンを使わない。
オモチャに着けることはあったが、それも全て真秋の持ち込み品だった。真秋はエチケットは絶対に守ってくれるから、俺はそれもあって強気なのだ。
中座すれば俺はプラグを手に追い掛けるだろうし、不本意な場所と体勢では痛みも大きいだろうし。比較的穏やかに受け入れた方が得策なのかな、と疲れた真秋の脳みそを誘導して行く。
「ほら、アキの番。開いて」
「…よく、それ挿れて動けるね……あ、恐いよ」
「試したことは?無い?」
「無いんだよ、僕は挿れたいとしか思ったこと無いから…ヤダ、ナツ、」
「こんな小さいんだぜ?浅いし大丈夫だよ。脚の力抜いて、キレイなピンクだなぁ、アキ♡」
「お、覚えてろよ…」
先端を押し当てて、にるっと挿し込む。
真秋は腰から飛び上がりそうだったが、堪えたようだ。
「…アキ、見て…ほら、俺らお揃い♡」
「ほ、んと…あの、もう、抜いて」
「何か感じない?」
「何も、トイレしてるみたい」
「そっか」
それはつまらないな、しかし抜いてはやらずにまじまじと真秋の股を眺める。
「…ナツ、」
「アキ、勃ってんじゃん」
「あんまり考えないようにしてるからじゃないのかな…」
「にしても、感じてんじゃないの?」
「ナツのお尻見てるから!興奮するに決まってるでしょ」
「あとは疲れ摩羅?はは…これしとこうか」
「あ♡」
シーツの上を虫みたいににじり寄って、両太ももを真秋のそれと合わせる。男同士にしか出来ないセックス未満の触れ合い、兜合わせだ。
「こうして並べると、やっぱ大きいよなぁ、アキのチンコ」
「やめ、不用意なこと、言わないでよ…」
「まぁ、俺は挿れてると勃たねぇしな…新鮮、アキが弱ってる」
「人間、寝ないと思考力も判断力も落ちちゃう」
「勃起力は、正常じゃん」
アナルプラグのヘタ同士が、ちょんちょんと打ち合う。
気を遣りそうな真秋は腕に力が入らなくなったのか、上半身を倒してくったりしてしまった。
「アキ?大丈夫?」
「僕は、納期明けで、溜まった家事と片付けをして、夜にしっぽりナツを抱くつもりだったんだよ、それなのに、それなのに…」
真秋はオーバーリアクション気味に、両手で顔を覆う。
「まさかケツの開発されちまうなんてな」
「開発まではされてない…ショックだよ、僕はタチなのに」
「ごめん、こんなに簡単に従うなんて思わなかった」
「だって、家事をしてもらった負い目があるんだもの…」
これって家庭内暴力になるんだろうか、オイオイ嘆くアキは可哀想だ。
そして加害者は明らかに俺、体を起こして真秋のプラグに手を掛ける。
「アキ、力抜いて。取るから」
「…ゆっくり、ねぇ、ナツに抱かれるのは嫌だよ、」
「分かってる、これはただの遊びだから…俺はタチじゃねぇから、アキのことは抱けねぇよ……ん、抜けた…えっろいな、ははは」
腰を浮かせて悶えて、栓が抜けると真秋はパタリと静かになった。
俺はプラグを挿したままだったので自分でヨイセと引っこ抜いて、脱いだズボンの上に2つとも投げる。
「…ナツ、抜いて欲しい」
「ん?いま抜いた…あ、そっち?良いよ、どうする?」
俺はここ数日で頼み事をたくさんされて、自信が付いていた。さすがに真秋をいじめ過ぎた自責の念はあったし、自慰行為も注文してくれるなら張り切ってしてやろうと思った。
「…こっち、来て」
「うん、手コキで良いか?久しぶりに舐めようか?……ぅわっ⁉︎」
それなりにワクワクして真秋に近寄れば、覗き込んだ首ごと絡め取られて下敷きにされた。
妖艶なマウントポジション、ゆらゆら揺れているのは疲れと眠気のせいもあるのか。
「…ナツ、もう、家事を頼んだ分の借りは返せたと思うんだけど」
「あ、うん、それは思う。あの、悪かったよ、タチの後ろ開発するとか、アイデンティティ破壊みたいなもんだよな、」
「そこまでじゃない、でも、こんな情けない姿をナツに晒すなんて想定外だった。僕はね、スパダリな自分に自負があったんだよ」
「いや、それはアキが勝手に目指してることだろ」
「そうだけど。でもこの反乱は、捨ておけない…ナツ、躾だよ、お尻出して♡」
もう出てるけど、俺は怖気付いて真秋の下敷きのまま脚をバタつかせる。開く意思はありますと伝えたつもりだった。
真秋は一旦腰を上げて俺の脚の間に入り直す。
「なに、アキ………アキ?あ、あギぃッ‼︎」
俺は指で遊ぶつもりなのかなと予測していたから、真秋の滾りが一気に入って来て…金切り声を上げた。
スキンは要らないのか、エチケットはどうした。
やっぱりアイデンティティを壊してしまったのか、スパダリで紳士な真秋は人が変わったように俺を責め立てる。
「……」
「アギっ、ごめ、ん、あ、そんなに、嫌って、思、」
「それは、怒ってない、性感帯のひとつとして、弄る人は、いるだろうから、」
「アっ、はァ♡お、おホっ…んあ♡どーせなら、笑って、シよーぜ、アキ、」
蔑むみたいな目つきは嫌だな、俺の提案はすんなり受諾された。
真秋は見た目に分かるくらい肩の力を一瞬で抜いて、いつもの切なそうな攻め顔に変わる。
「痛くなかった?」
「平気」
「激しくって難しいよね、ナツが痛かったら意味無いし」
「それより、ゴム着けてないけど」
「…お仕置き、だよ」
ゆるゆる動きを再開させた真秋は先程とは一転、感触を確かめるようにじっくり挿す。奥まで到達すれば何か納得して、すすとこれもじっくり抜く。
俺は「あはァ♡」「ほふゥ♡」と快楽に痺れて、真秋の快感の後押しをした。
「アキ?」
「ん、ゴム無しって初めてで…凄いね…あ、外に出すから安心してよ、何かあるといけないからね」
「う、ンっ…アキ、きもちー?」
「ナツの中、気持ち良い……好きだよ、これからは家事は僕に任せてね」
「無理だけはすんなよ、アキ」
替えの効かないパートナーだから、助け合っていきたいんだ。
下手なりに家事は楽しかったし、俺を支えてくれた時に真秋はこんな気持ちだったんだなって追体験できた。
色んな恩返しとか貸し借りとか、仕返しも含めて…互いに関わっていけたら良いな。
「ナツもね……んー、早いけど、もうイキそう」
「ん、はふ…」
「ナツ、ベロチュ、ん、ん、んッ♡」
「ンごッ♡ふゴっ♡」
「んー、ん、んん、んんッ♡♡♡」
達する瞬間に真秋は引き抜いて、しかしモタついたのか射精直前のモノが俺のソレに直撃した。大きくしなってフェンシングみたいに打ち合って、真秋のザーメンは俺のてっぺんから麓まで白い道を作った。
「はぁ…おい、どこに掛けてんだよ、アキぃ」
「ご、め…当たっちゃった、ハァ……あー、超気持ち良かった…拭くから、もうちょっと待って」
「良いよ、ゆっくりな」
香るのは馴染みのある匂い。まるでマーキングなそれに俺は悪い気はしなかった。
「あー…ナマでしちゃった…ごめんね、次は絶対着けるから」
「良いよ、ビョーキ持ってないことは分かってるし」
「ううん、エチケットだし…ナツ、ここにすぐゴムが無いから襲われないと思ったんでしょ。普通、あんな挑発しない」
「うん、純粋な興味もあって…ほんとごめんな。もうしない」
お互いショボンとなるピロートーク、真秋は「良いよ」と告げて俺の腹へと降りて行く。俺がイってないからしてくれるんだろう、こんな時も律儀で紳士な奴だ。
虚な目で天井を眺める俺のモノをぱくり、真秋は「んふふ」と笑う。
「なに、咥えて喋んなよ」
「ん、ふふっ♡だって」
「あんだよ…」
あんまり反省し過ぎも滑稽だったかな、それともアナルプラグの太さと俺のを比べて可笑しくなったか。
肩を震わせる真秋に不信感を抱いて体を起こせば、真秋は湿ったストロークを2回して口を離す。
そして
「ナツのここ、僕の味がするから嬉しくて」
と、蕩けるように笑った。
本日も、俺のスパダリはイケメンである。
おわり
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