111 / 137
第三話
第九十五節 響き渡る泣き言
しおりを挟む
業腹だがスグリの計算はほぼ正しかった。
彼の言う通り、ヤク自身も初めの頃にマナの枯渇する時期の大体の予想が出来ていた──使用する術と、その術を発動させるために必要なマナを計算しながら。それに全ての村を同じように破壊し、同じような惨状を作り上げていたのだから。
大気中のマナからの補給を加えたとして、それはごく僅かな差でしかない。そしてその計算上、最後になる村を襲撃したら、体内に貯蓄していたマナも全て尽きてしまうという結果を出していた。
それが森の村フォルストだろうが何処であろうが、実際のところ関係がなかった。同じように村を破壊するのであれば、いずれにしろ尽きることに変わりはない。
ただそれでもスグリに対して、これだけ術を展開することはできた。自分がこの村を襲撃するより前に襲われていたことが、幸か不幸かこの状況を作り出していた。
「はぁ……は……」
事実、術を放つごとに肩で息をし始めている。マナが回復しきっていない。体力も限界に近い。それでも立っていられるのは、気力以外に他ならない。
スグリに、人間に負ける訳にはいかない。
憎悪や憤怒ではなく、最早意地だった。負けたくない、負けるわけにはいかない。その思いだけで自分を奮い立たせている。それこそ、憎んでいる女神の力で負けるなんて。屈辱もいいところだ。
そんな力はないと、認めないと叫ぶはずなのに。
その力に自分が劣っていると感じている。
「この……!!」
何度目かの凍結の魔術を展開するも、スグリに途端に斬り伏せられる。
足元がふらつく。それでもこの膝は、絶対に折るわけにはいかない。
「わからないか?術を使うたびにお前は不利になっていく。それこそ続けていたら、お前は自分の大嫌いな"何の力も持たない人間"になるぞ」
「うるさい!!」
氷の牙が宙を舞う。
「ああそれこそ、そうなったらお前は戦える術がなくなるか?それならこれ、貸してやるよ」
そう言って、スグリは差していた小刀をヤクの目の前に放り投げた。トサリ、と地面に落ちた小刀。
それならマナが使えなくても、ただ突き出すだけで人を殺せると煽られる。
彼の言葉は、魔術師である自分にとって最大限の侮辱の言葉だった。
「ふざ、けるなぁあっ!!」
残りのマナを総動員させる。
もういい。この男だけは、許さない。
無数の氷の槍を放っていく。感情が静脈に乗って逆流しそうだ。
何も知らないくせに、知ろうとしなかったくせに。
「貴様に……貴様に何がわかる!普通の家庭に生まれ、家族に愛され、幸せに生きれる人生を選べた貴様に!!」
怒りも悲しみも、全てが混ざり合う。過去の記憶が走馬灯のように駆け巡る。
自分が繰り出す攻撃を、スグリは何も言わずにただ一刀に両断していく。
「私は何も知らなかった!誰も教えてくれなかった!愛することも信じることも幸せを感じることも!!ただ人よりマナが扱える、ただそれだけで実験台にされて無理矢理体を弄り倒されて!!」
痛かった辛かった苦しかった。
何度もやめてと叫んだ。
何度も許してと頼んだ。
それこそ喉が潰れても。
血反吐を吐きながらも。
牙が鋭さが増していく。
「私を助けてくれた彼を、お前たち人間は奪ったじゃないか!自分たちの好奇心と欲望ために!手を差し伸べてくれた人だって、私の前から消えていく!!なんでだ、なんで私ばかりがこんな目に遭わねばならない!?私だって、ただ普通に生きていたかっただけなのに!!」
慟哭が木霊する。
どうして、なんで。
自分が受けた苦しみを、女神は仕方のないことだと切り捨てた。残酷な人生を送るのは運命だから諦めろと。感じた痛みも苦しみも、嘆きも怒りでさえ。全部決められていたことなのか?
「私には何一つ『私』なんてものはないと思えと、人形のようにただ敷かれたレールの上を女神に思うようにただ歩けと!?そんなの認められるか!信じるものか!私からこれ以上『私』を奪って、まだ足りないのか!?」
時間は決して逆戻りしない。取り返しがつかない。
だからこそ送らせられた人生を、運命を、強く憎み呪った。こんな人生送りたくなかった。こんな人生を送るせいになった全ての原因を、許さない。
「貴様だって私から逃げたじゃないか!!私の恨みを怒りを知っていて、放置したのは貴様だ!私を助けたつもりで、自分が助かりたいだけなんだろう!?村を出る時も、今も!自分が他人に良く見られたいだけで、貴様も私を利用しようとしているだけじゃないか!貴様の父親を私が殺してしまったから!」
ブルメンガルテンが死に村となった、あの十二年前の事件。その事件に、スグリの父親は巻き込まれて命を落とした。彼の父親が死んだ原因は、自分だった。自分の力の暴走が引き金だったと。それに気付いたとき、何度も己を殺そうとした。死のうなんて思ったことは毎日だった。
私は自分に関わった人物を全員、殺してしまう。そう考えいざ首に刃を這わせても、心臓を一刺ししようとしても、自分が奪ってきた命を考えると死ねなかった。
「でも自分の憎しみを消し去るなんてできない!!人間を許すなんてできない!そんな苦しみをわかろうとしなかった貴様に、私の一体何を理解できたと言うんだ!!」
ひと際鋭い槍を投擲する。
スグリは、やはりそれも同じように斬り伏せた。
そして──。
「知るか、そんなこと」
自身の愛刀の切れ味と同じように、鋭い言葉を吐き捨てた。
彼の容赦のない言葉に、思わず面食らう。
「自分は人間たちのせいで、女神のせいで、生きたかった人生を送れなかった。死のうとしても怖かった。死ねなかった死にたくなかった。それは自分のせいじゃなくて、全部周りのせいだ。そう言いたいなら、ごちゃごちゃと御託並べ立てるより、ハッキリそう言えばいいじゃないか」
自分は悲劇のヒロインだ、とでも言いたいのかと。
スグリは一切の同情を、決してこちらに向けなかった。
全て、たらればじゃないかと。
「き、さま……!」
「それともあれか?俺の父上はお前のせいで死んだって責めればよかったのか?そう言ってくれれば、自分は贖罪の気持ちを感じて生きることができるからって?冗談じゃない。それこそ、お前は俺の父上の死を利用しようとした」
「違う!私は──」
「違わない。結局お前は自分が弱いってことを認めたくなくて、全部を周りのせいにしているだけだ。自分は悪くない、自分の考えは正しい、間違ってなんかいないと。呆れた話だ。それって、お前が忌み嫌っている人間と同じ思考じゃないか」
力を持たない、人間と。
スグリの言葉に、言葉が詰まる。
「な……」
「喜べよ、晴れてお前も意地汚い人間たちの仲間入りだ」
ようこそ、とスグリがこちらに手を差し出す。
「ついでに言っておく。俺は、お前のせいで父上が死んだなんてこれっぽっちも思っていない。あれは事故だった。父上も覚悟のうえで、お前を生かしたんだ」
はっきりと断言され、反論の言葉が思い浮かばない。
「確かに俺はお前から逃げた。お前が苦しんでいるとわかっていても、お前自身なら乗り越えてくれるだろうと甘えてしまった。それは俺の落ち度だ。でもな、だからこそもう逃げないと決めたし、過去は振り返らないと誓った。受け入れて前へ進まなきゃ、成長しないんだよ」
スグリは冷静に言葉を並べていく。
「否定ばかりしたって、何も変わらない。過去の自分が救われたいからって、そればかり見つめて必死に守ろうとして。そんな生き方俺はまっぴらだし、そんなのは生きているんじゃない。ただ生かされているだけだ」
彼のその言葉は、これまでの自分を全否定するのもだった。
「あとな、何も言わないくせにわかってくれなんて、傲慢なんだよ。そんな察してちゃんに構っていられるほど、時間なんてないんだ大馬鹿野郎」
吐き出される言葉の羅列に、感情がドロドロに混ざり合う。
この男は、いつもそうやって。
綺麗なままで、凛として。
「っ……」
マナは確かに限界だ。もう術は展開できそうにない。
でも──。
「どうした。ここまで言われて悔しいか?たかが人間に馬鹿にされて、相当頭にきてるだろう?」
この、男だけは。
「術が使えないなら、ほら。その小刀貸してやるって言っただろ。ただそうなったら、俺とて容赦しないがな」
もう、ここで、殺してやる。
目の前に落ちている小刀を拾う。鞘から刃を抜く。
きらりと、美しく輝きを放っている。
「……だったのに……」
ぐ、と柄を握った。
一つの思いが、心の中に落ちる。
●●だったのに。
「それを……お前は……!」
感情の鬩ぎあいで、表情が定まらない。
何かと決別するように、駆け出した。
「あぁああ──!!」
スグリも構えたようだったが、最早知ったものか。
氷の空間に、鮮血が舞った。
彼の言う通り、ヤク自身も初めの頃にマナの枯渇する時期の大体の予想が出来ていた──使用する術と、その術を発動させるために必要なマナを計算しながら。それに全ての村を同じように破壊し、同じような惨状を作り上げていたのだから。
大気中のマナからの補給を加えたとして、それはごく僅かな差でしかない。そしてその計算上、最後になる村を襲撃したら、体内に貯蓄していたマナも全て尽きてしまうという結果を出していた。
それが森の村フォルストだろうが何処であろうが、実際のところ関係がなかった。同じように村を破壊するのであれば、いずれにしろ尽きることに変わりはない。
ただそれでもスグリに対して、これだけ術を展開することはできた。自分がこの村を襲撃するより前に襲われていたことが、幸か不幸かこの状況を作り出していた。
「はぁ……は……」
事実、術を放つごとに肩で息をし始めている。マナが回復しきっていない。体力も限界に近い。それでも立っていられるのは、気力以外に他ならない。
スグリに、人間に負ける訳にはいかない。
憎悪や憤怒ではなく、最早意地だった。負けたくない、負けるわけにはいかない。その思いだけで自分を奮い立たせている。それこそ、憎んでいる女神の力で負けるなんて。屈辱もいいところだ。
そんな力はないと、認めないと叫ぶはずなのに。
その力に自分が劣っていると感じている。
「この……!!」
何度目かの凍結の魔術を展開するも、スグリに途端に斬り伏せられる。
足元がふらつく。それでもこの膝は、絶対に折るわけにはいかない。
「わからないか?術を使うたびにお前は不利になっていく。それこそ続けていたら、お前は自分の大嫌いな"何の力も持たない人間"になるぞ」
「うるさい!!」
氷の牙が宙を舞う。
「ああそれこそ、そうなったらお前は戦える術がなくなるか?それならこれ、貸してやるよ」
そう言って、スグリは差していた小刀をヤクの目の前に放り投げた。トサリ、と地面に落ちた小刀。
それならマナが使えなくても、ただ突き出すだけで人を殺せると煽られる。
彼の言葉は、魔術師である自分にとって最大限の侮辱の言葉だった。
「ふざ、けるなぁあっ!!」
残りのマナを総動員させる。
もういい。この男だけは、許さない。
無数の氷の槍を放っていく。感情が静脈に乗って逆流しそうだ。
何も知らないくせに、知ろうとしなかったくせに。
「貴様に……貴様に何がわかる!普通の家庭に生まれ、家族に愛され、幸せに生きれる人生を選べた貴様に!!」
怒りも悲しみも、全てが混ざり合う。過去の記憶が走馬灯のように駆け巡る。
自分が繰り出す攻撃を、スグリは何も言わずにただ一刀に両断していく。
「私は何も知らなかった!誰も教えてくれなかった!愛することも信じることも幸せを感じることも!!ただ人よりマナが扱える、ただそれだけで実験台にされて無理矢理体を弄り倒されて!!」
痛かった辛かった苦しかった。
何度もやめてと叫んだ。
何度も許してと頼んだ。
それこそ喉が潰れても。
血反吐を吐きながらも。
牙が鋭さが増していく。
「私を助けてくれた彼を、お前たち人間は奪ったじゃないか!自分たちの好奇心と欲望ために!手を差し伸べてくれた人だって、私の前から消えていく!!なんでだ、なんで私ばかりがこんな目に遭わねばならない!?私だって、ただ普通に生きていたかっただけなのに!!」
慟哭が木霊する。
どうして、なんで。
自分が受けた苦しみを、女神は仕方のないことだと切り捨てた。残酷な人生を送るのは運命だから諦めろと。感じた痛みも苦しみも、嘆きも怒りでさえ。全部決められていたことなのか?
「私には何一つ『私』なんてものはないと思えと、人形のようにただ敷かれたレールの上を女神に思うようにただ歩けと!?そんなの認められるか!信じるものか!私からこれ以上『私』を奪って、まだ足りないのか!?」
時間は決して逆戻りしない。取り返しがつかない。
だからこそ送らせられた人生を、運命を、強く憎み呪った。こんな人生送りたくなかった。こんな人生を送るせいになった全ての原因を、許さない。
「貴様だって私から逃げたじゃないか!!私の恨みを怒りを知っていて、放置したのは貴様だ!私を助けたつもりで、自分が助かりたいだけなんだろう!?村を出る時も、今も!自分が他人に良く見られたいだけで、貴様も私を利用しようとしているだけじゃないか!貴様の父親を私が殺してしまったから!」
ブルメンガルテンが死に村となった、あの十二年前の事件。その事件に、スグリの父親は巻き込まれて命を落とした。彼の父親が死んだ原因は、自分だった。自分の力の暴走が引き金だったと。それに気付いたとき、何度も己を殺そうとした。死のうなんて思ったことは毎日だった。
私は自分に関わった人物を全員、殺してしまう。そう考えいざ首に刃を這わせても、心臓を一刺ししようとしても、自分が奪ってきた命を考えると死ねなかった。
「でも自分の憎しみを消し去るなんてできない!!人間を許すなんてできない!そんな苦しみをわかろうとしなかった貴様に、私の一体何を理解できたと言うんだ!!」
ひと際鋭い槍を投擲する。
スグリは、やはりそれも同じように斬り伏せた。
そして──。
「知るか、そんなこと」
自身の愛刀の切れ味と同じように、鋭い言葉を吐き捨てた。
彼の容赦のない言葉に、思わず面食らう。
「自分は人間たちのせいで、女神のせいで、生きたかった人生を送れなかった。死のうとしても怖かった。死ねなかった死にたくなかった。それは自分のせいじゃなくて、全部周りのせいだ。そう言いたいなら、ごちゃごちゃと御託並べ立てるより、ハッキリそう言えばいいじゃないか」
自分は悲劇のヒロインだ、とでも言いたいのかと。
スグリは一切の同情を、決してこちらに向けなかった。
全て、たらればじゃないかと。
「き、さま……!」
「それともあれか?俺の父上はお前のせいで死んだって責めればよかったのか?そう言ってくれれば、自分は贖罪の気持ちを感じて生きることができるからって?冗談じゃない。それこそ、お前は俺の父上の死を利用しようとした」
「違う!私は──」
「違わない。結局お前は自分が弱いってことを認めたくなくて、全部を周りのせいにしているだけだ。自分は悪くない、自分の考えは正しい、間違ってなんかいないと。呆れた話だ。それって、お前が忌み嫌っている人間と同じ思考じゃないか」
力を持たない、人間と。
スグリの言葉に、言葉が詰まる。
「な……」
「喜べよ、晴れてお前も意地汚い人間たちの仲間入りだ」
ようこそ、とスグリがこちらに手を差し出す。
「ついでに言っておく。俺は、お前のせいで父上が死んだなんてこれっぽっちも思っていない。あれは事故だった。父上も覚悟のうえで、お前を生かしたんだ」
はっきりと断言され、反論の言葉が思い浮かばない。
「確かに俺はお前から逃げた。お前が苦しんでいるとわかっていても、お前自身なら乗り越えてくれるだろうと甘えてしまった。それは俺の落ち度だ。でもな、だからこそもう逃げないと決めたし、過去は振り返らないと誓った。受け入れて前へ進まなきゃ、成長しないんだよ」
スグリは冷静に言葉を並べていく。
「否定ばかりしたって、何も変わらない。過去の自分が救われたいからって、そればかり見つめて必死に守ろうとして。そんな生き方俺はまっぴらだし、そんなのは生きているんじゃない。ただ生かされているだけだ」
彼のその言葉は、これまでの自分を全否定するのもだった。
「あとな、何も言わないくせにわかってくれなんて、傲慢なんだよ。そんな察してちゃんに構っていられるほど、時間なんてないんだ大馬鹿野郎」
吐き出される言葉の羅列に、感情がドロドロに混ざり合う。
この男は、いつもそうやって。
綺麗なままで、凛として。
「っ……」
マナは確かに限界だ。もう術は展開できそうにない。
でも──。
「どうした。ここまで言われて悔しいか?たかが人間に馬鹿にされて、相当頭にきてるだろう?」
この、男だけは。
「術が使えないなら、ほら。その小刀貸してやるって言っただろ。ただそうなったら、俺とて容赦しないがな」
もう、ここで、殺してやる。
目の前に落ちている小刀を拾う。鞘から刃を抜く。
きらりと、美しく輝きを放っている。
「……だったのに……」
ぐ、と柄を握った。
一つの思いが、心の中に落ちる。
●●だったのに。
「それを……お前は……!」
感情の鬩ぎあいで、表情が定まらない。
何かと決別するように、駆け出した。
「あぁああ──!!」
スグリも構えたようだったが、最早知ったものか。
氷の空間に、鮮血が舞った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
クロワッサン物語
コダーマ
歴史・時代
1683年、城塞都市ウィーンはオスマン帝国の大軍に包囲されていた。
第二次ウィーン包囲である。
戦況厳しいウィーンからは皇帝も逃げ出し、市壁の中には守備隊の兵士と市民軍、避難できなかった市民ら一万人弱が立て籠もった。
彼らをまとめ、指揮するウィーン防衛司令官、その名をシュターレンベルクという。
敵の数は三十万。
戦況は絶望的に想えるものの、シュターレンベルクには策があった。
ドナウ河の水運に恵まれたウィーンは、ドナウ艦隊を蔵している。
内陸に位置するオーストリア唯一の海軍だ。
彼らをウィーンの切り札とするのだ。
戦闘には参加させず、外界との唯一の道として、連絡も補給も彼等に依る。
そのうち、ウィーンには厳しい冬が訪れる。
オスマン帝国軍は野営には耐えられまい。
そんなシュターレンベルクの元に届いた報は『ドナウ艦隊の全滅』であった。
もはや、市壁の中にこもって救援を待つしかないウィーンだが、敵軍のシャーヒー砲は、連日、市に降り注いだ。
戦闘、策略、裏切り、絶望──。
シュターレンベルクはウィーンを守り抜けるのか。
第二次ウィーン包囲の二か月間を描いた歴史小説です。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる