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第三話
第四十六節 深い愛を認識する
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メルダーの意識がなくなってから、数日たったある日のこと。ヴァダースの元に、ある朗報が届く。今まで意識不明だったメルダーが、目を覚ましたとのことだ。その知らせに、ようやくヴァダースは胸を撫で下ろすことができた。
意識が回復した今は、他に後遺症がないか検査をしているそうだ。しばらくは任務に復帰することはできないが、怪我が完治すれば無事に前線に復帰することができるだろう、というのが医務室の部下の報告だ。その報告を受け、引き続きメルダーの介抱を命ずる。全力を尽くすと言葉を受けたヴァダースは、書類整理の仕事に戻る。
メルダーが抜けていたときの現場指揮は、カサドルに任せていた。彼にもそろそろ、任務をメルダーへ引き継がせる準備してもらう必要があるだろう。なんにせよ、今日も仕事漬けの日になりそうだ。そんなことを考えながら、ヴァダースは新たな書類に羽ペンを滑らせるのであった。
それからまた数日たったある日。治療の経過を知るためにと、ヴァダースはメルダーのいる医務室の個室に、足を運んでいた。ちなみに仕事は終わらせてきている。時間帯は夜近くだが、個室の部屋の明かりは点いている。あくまでも怪我人なのだから安静にしているようにと小言の一つもぶつけたくなったが、とりあえずそれは飲み込んでドアをノックした。
「どちら様ですか?」
声のトーンからしても、彼の体調は元に戻っているだろうと予想できた。ヴァダースが、来訪者が自分であることを告げると中から嬉しそうな声が返ってくる。入りますよと短く答えて入室すると、満面の笑みのメルダーに出迎えられた。
「まさかお見舞いに来てくれるなんて思ってなかったです!嬉しいですよ!」
「ここは一応個室ですが、ここ以外には貴方の他にも怪我人がいるのですから。静かにしなさい」
「あ……すみません。あまりにも嬉しかったものですから、つい」
頭に手をやり苦笑するメルダー。顔色もよくなっていて、人工呼吸器はもう必要としていないほどに回復していた。様子を尋ねれば、まだ多少感覚はマヒしているようだがリハビリを行えば、元に戻ると報告を受けた。
その言葉で安堵の息を吐くヴァダースに対して、メルダーは一度顔を曇らせて頭を下げた。その行為にどうしたのかと問えば、彼はゆっくりと答えていく。
「俺のせいで、最高幹部の名前に泥を塗ることになってしまいました。本当に、ダクターさんには申し訳ない気持ちでいっぱいです……!」
彼が言うには、相手が格下ということで何処か驕っていたそうだ。そしてその驕りが原因で今回傷を負った、と。カーサの最高幹部であるのにもかかわらず失態を犯したことで、自分の顔にも泥を塗ることになってしまったことに、意識を取り戻してから気付いたらしい。そのことについての謝罪だと告げるメルダーに、まずは頭を上げるように声をかける。
「……報告は既にもらっています。それにただの驕りであるならば、咄嗟に部下たちを庇うなんてことはできません」
「えっ……でも、俺は……」
「幸い貴方が庇ったお陰で、同行した部下たちの中に傷を負った者はいません。だから胸を張りなさい。それに私は別に、貴方のせいで自分の顔に泥を塗られたとは思っていないので、あしからず」
そうなのだ。メルダーが意識を失った後、例の任務にあたっていた部下たちが報告に訪れたときに、そのことを知ったのだのである。
彼らの報告によると、こうだ。最後の相手の一撃が放たれた瞬間、メルダーはその攻撃を一身に受ける代わりに、部下たちの周りに防御術を展開した。咄嗟のことで部下たちは反応に遅れたが、その結果彼らが攻撃を受けることはなかったのだ、と。
結果的にメルダーは負傷したが、部下たちは無事だった。ゆえにメルダーを責める理由はない、というのがヴァダースが下した判断だ。
そう説明してもどこか煮え切らない表情のメルダーに、いつまでも引きずっていられる方が迷惑だと告げる。
「この話はここで終わっているんです。いいですね?」
「……、わかりました。ありがとうございます、ダクターさん」
「別に礼を言われる筋合いはありません。そう判断した、というだけですから」
「わかってますよ。俺が言いたくなっただけなんです」
「……そうですか」
それからメルダーは、当時の任務のことについて話す。自分に一矢報いた士官学生の少年がもし生きているのなら、将来的には自分たちの脅威になり得る存在かもしれないと。そう話すメルダーではあるが、その顔はどこか楽しそうだ。
「敵ながらあっぱれ、というものです。もし彼が無事にミズガルーズ国家防衛軍の軍人になったら、真っ先に俺が倒してやりたいですね」
「貴方がそこまで言うのなら、確かに遠い未来で我々の壁になるかもしれませんね」
「そうですね。でも彼らに負けないよう、こっちも強くなれば問題ありませんよ!」
「簡単に言いますね。ですが、まぁ……貴方の楽観的な考えも、悪くありません」
それから軽い雑談を交わした後、タイミングを見計らったヴァダースは懺悔をするように、メルダーに告げた。
「……メルダー」
「なんですか?」
「私は……貴方に謝らなければならないことがあります」
「えっ?」
ヴァダースの言葉に疑問を感じたのだろう。困惑の色を浮かべたメルダーが、狼狽しながらどうしたのかと尋ねてくる。ヴァダースは一呼吸おいてから、ゆっくりと彼に語り始めた。
「私は……正直、貴方のことを恨んでいました。この間貴方が言ったように、私は最初貴方に、自分が手にした最高幹部の立場や誇りを軽んじられた気になっていたんです。出自も不明なのに、ボスに認められたからという一点で、その椅子に座った貴方を……疎ましく思っていた」
ヴァダースの言葉に、メルダーも口を閉ざして彼の話を聞く姿勢になる。それからヴァダースは、メルダーにそれまで抱いていた負の感情を次々に吐露していく。
初対面から彼のことが気に食わなかったこと。自分のこれまでの努力も知らないで呑気な態度をとっていたことに対して、怒りしか湧かなかったこと。自分にはないメルダーの能力に嫉妬して、妬んでいたこと。
どれもこれも醜い感情だが、ヴァダースの言葉をメルダーは真摯に受け止めているようで、静かに彼の話に耳を傾けている。
「私は貴方が大嫌いでした。貴方を認めたくない一心で、ひどく冷たい態度しか取ることができなかった。ですが……闇オークション任務での一件で、私は貴方にどう感情を向ければいいのか、分からなくなりました」
「分からなくなった、とは?」
「貴方が、自分が怪我をすることも顧みずにその血の能力を使って私を助け出してくれたことが、理解できなかったんです。あれほどまでに、貴方に対して辛辣にあたっていた私を、どうして助けたのかと……」
そう、その日からヴァダースのメルダーに対する行動に、自分自身理解できずにいたのだ。嫌いで憎たらしい存在だと考えていたはずなのに、気付けばメルダーの身を案じている自分がいた。人体実験にメルダーを差し出そうとしたローゲに反抗し、その実験で倒れそうになった彼を介抱し、ひどい傷を負い帰還してきたところに、即座に医務室へ運び処置を命じていた。
今考えれば、自分の失態のせいで彼に怪我を負わせてしまったという、負い目もあったのかもしれない。しかしそれだけでは、胸の痛みの答えにならなかった。
「気付けば、貴方の安否を考えている自分がいたんです。そして貴方が無事に意識を取り戻したと報告を受けたとき、ようやく安心できた。……そこまでしてようやく、私は貴方を失いたくないんだと気付かされました」
それと同時に、これまでの自分の態度に申し訳ないも感じたと告白する。そしてメルダーに対して深く頭を下げて、謝罪の言葉を述べた。
「本当に今まで、申し訳ありませんでした。許してくれ、とは言えません。それだけの態度をとっていた事実に、変わりありませんから」
メルダーにすべての懺悔を終えて、彼の言葉を待つ。しばしの沈黙の後、まるで諭すような優しい声色でメルダーが答える。
「……ダクターさん。頭を、上げてください」
彼の言葉に従って頭を上げれば、まるですべてを許していると言わんばかりの、慈しみに溢れている表情に迎えられる。そんな表情を向けられるとは思わず、思わず居心地の悪さに目を逸らしてしまう。しかしメルダーは気にしないという様子で、ヴァダースの手を握った。
「確かに最初の頃は俺も、自分は何もしてないのにどうしてそんな態度を取られなきゃならないんだって思ってました。自分よりカーサにいた時期が先だからって、何を偉そうにって思ったこともあります。だけど一緒に仕事をこなして共に過ごしていくうちに、そんな考えは間違っているって知ったんです」
現場指揮の任務で偶然シャサールと共に行動することがあった時に、メルダーはヴァダースのことについて彼女に愚痴を零したことがあるそうだ。その時に彼はシャサールから、カーサに所属してからのヴァダースのこれまでの経緯を聞いたのだと。
そこでメルダーは、ヴァダースが最高幹部という立場を鼻にかけているわけではないこと、彼が必死に努力を積み重ねた結果掴み取った地位だということを知った。
それと同時に、己への冷たい態度にも納得したそうなのだ。そして自分がヴァダースと同じ立場でも、彼と同じようなことを感じて行動してしまうだろうと考えた。
「そんな必死に努力をしてきた人のことを、純粋に尊敬したんです。この人ともっと一緒にいたい、もっと一緒に任務をこなしたいって。そう思ったから、あの時も俺は貴方を助けたくて行動したんですよ」
だから自分のせいでと負い目を感じてほしくない、とメルダーは笑う。そんな彼を前に、ヴァダースもおずおずと言った様子で顔を上げる。
「メルダー……」
「だから俺は、貴方のすべてを許しますよ。その代わりと言っちゃなんですけど、これからは俺ともっと仲良くしてほしいです。俺、ダクターさんのこと好きですから」
そう告げて満面の笑みを見せるメルダー。そんな彼に対して改めて謝罪の言葉を告げてから、重ねられているメルダーの手を優しく包んだ。
「……ありがとうございます」
「どういたしまして」
その日初めて、ヴァダースはメルダーに対して小さく笑ってみせた。
意識が回復した今は、他に後遺症がないか検査をしているそうだ。しばらくは任務に復帰することはできないが、怪我が完治すれば無事に前線に復帰することができるだろう、というのが医務室の部下の報告だ。その報告を受け、引き続きメルダーの介抱を命ずる。全力を尽くすと言葉を受けたヴァダースは、書類整理の仕事に戻る。
メルダーが抜けていたときの現場指揮は、カサドルに任せていた。彼にもそろそろ、任務をメルダーへ引き継がせる準備してもらう必要があるだろう。なんにせよ、今日も仕事漬けの日になりそうだ。そんなことを考えながら、ヴァダースは新たな書類に羽ペンを滑らせるのであった。
それからまた数日たったある日。治療の経過を知るためにと、ヴァダースはメルダーのいる医務室の個室に、足を運んでいた。ちなみに仕事は終わらせてきている。時間帯は夜近くだが、個室の部屋の明かりは点いている。あくまでも怪我人なのだから安静にしているようにと小言の一つもぶつけたくなったが、とりあえずそれは飲み込んでドアをノックした。
「どちら様ですか?」
声のトーンからしても、彼の体調は元に戻っているだろうと予想できた。ヴァダースが、来訪者が自分であることを告げると中から嬉しそうな声が返ってくる。入りますよと短く答えて入室すると、満面の笑みのメルダーに出迎えられた。
「まさかお見舞いに来てくれるなんて思ってなかったです!嬉しいですよ!」
「ここは一応個室ですが、ここ以外には貴方の他にも怪我人がいるのですから。静かにしなさい」
「あ……すみません。あまりにも嬉しかったものですから、つい」
頭に手をやり苦笑するメルダー。顔色もよくなっていて、人工呼吸器はもう必要としていないほどに回復していた。様子を尋ねれば、まだ多少感覚はマヒしているようだがリハビリを行えば、元に戻ると報告を受けた。
その言葉で安堵の息を吐くヴァダースに対して、メルダーは一度顔を曇らせて頭を下げた。その行為にどうしたのかと問えば、彼はゆっくりと答えていく。
「俺のせいで、最高幹部の名前に泥を塗ることになってしまいました。本当に、ダクターさんには申し訳ない気持ちでいっぱいです……!」
彼が言うには、相手が格下ということで何処か驕っていたそうだ。そしてその驕りが原因で今回傷を負った、と。カーサの最高幹部であるのにもかかわらず失態を犯したことで、自分の顔にも泥を塗ることになってしまったことに、意識を取り戻してから気付いたらしい。そのことについての謝罪だと告げるメルダーに、まずは頭を上げるように声をかける。
「……報告は既にもらっています。それにただの驕りであるならば、咄嗟に部下たちを庇うなんてことはできません」
「えっ……でも、俺は……」
「幸い貴方が庇ったお陰で、同行した部下たちの中に傷を負った者はいません。だから胸を張りなさい。それに私は別に、貴方のせいで自分の顔に泥を塗られたとは思っていないので、あしからず」
そうなのだ。メルダーが意識を失った後、例の任務にあたっていた部下たちが報告に訪れたときに、そのことを知ったのだのである。
彼らの報告によると、こうだ。最後の相手の一撃が放たれた瞬間、メルダーはその攻撃を一身に受ける代わりに、部下たちの周りに防御術を展開した。咄嗟のことで部下たちは反応に遅れたが、その結果彼らが攻撃を受けることはなかったのだ、と。
結果的にメルダーは負傷したが、部下たちは無事だった。ゆえにメルダーを責める理由はない、というのがヴァダースが下した判断だ。
そう説明してもどこか煮え切らない表情のメルダーに、いつまでも引きずっていられる方が迷惑だと告げる。
「この話はここで終わっているんです。いいですね?」
「……、わかりました。ありがとうございます、ダクターさん」
「別に礼を言われる筋合いはありません。そう判断した、というだけですから」
「わかってますよ。俺が言いたくなっただけなんです」
「……そうですか」
それからメルダーは、当時の任務のことについて話す。自分に一矢報いた士官学生の少年がもし生きているのなら、将来的には自分たちの脅威になり得る存在かもしれないと。そう話すメルダーではあるが、その顔はどこか楽しそうだ。
「敵ながらあっぱれ、というものです。もし彼が無事にミズガルーズ国家防衛軍の軍人になったら、真っ先に俺が倒してやりたいですね」
「貴方がそこまで言うのなら、確かに遠い未来で我々の壁になるかもしれませんね」
「そうですね。でも彼らに負けないよう、こっちも強くなれば問題ありませんよ!」
「簡単に言いますね。ですが、まぁ……貴方の楽観的な考えも、悪くありません」
それから軽い雑談を交わした後、タイミングを見計らったヴァダースは懺悔をするように、メルダーに告げた。
「……メルダー」
「なんですか?」
「私は……貴方に謝らなければならないことがあります」
「えっ?」
ヴァダースの言葉に疑問を感じたのだろう。困惑の色を浮かべたメルダーが、狼狽しながらどうしたのかと尋ねてくる。ヴァダースは一呼吸おいてから、ゆっくりと彼に語り始めた。
「私は……正直、貴方のことを恨んでいました。この間貴方が言ったように、私は最初貴方に、自分が手にした最高幹部の立場や誇りを軽んじられた気になっていたんです。出自も不明なのに、ボスに認められたからという一点で、その椅子に座った貴方を……疎ましく思っていた」
ヴァダースの言葉に、メルダーも口を閉ざして彼の話を聞く姿勢になる。それからヴァダースは、メルダーにそれまで抱いていた負の感情を次々に吐露していく。
初対面から彼のことが気に食わなかったこと。自分のこれまでの努力も知らないで呑気な態度をとっていたことに対して、怒りしか湧かなかったこと。自分にはないメルダーの能力に嫉妬して、妬んでいたこと。
どれもこれも醜い感情だが、ヴァダースの言葉をメルダーは真摯に受け止めているようで、静かに彼の話に耳を傾けている。
「私は貴方が大嫌いでした。貴方を認めたくない一心で、ひどく冷たい態度しか取ることができなかった。ですが……闇オークション任務での一件で、私は貴方にどう感情を向ければいいのか、分からなくなりました」
「分からなくなった、とは?」
「貴方が、自分が怪我をすることも顧みずにその血の能力を使って私を助け出してくれたことが、理解できなかったんです。あれほどまでに、貴方に対して辛辣にあたっていた私を、どうして助けたのかと……」
そう、その日からヴァダースのメルダーに対する行動に、自分自身理解できずにいたのだ。嫌いで憎たらしい存在だと考えていたはずなのに、気付けばメルダーの身を案じている自分がいた。人体実験にメルダーを差し出そうとしたローゲに反抗し、その実験で倒れそうになった彼を介抱し、ひどい傷を負い帰還してきたところに、即座に医務室へ運び処置を命じていた。
今考えれば、自分の失態のせいで彼に怪我を負わせてしまったという、負い目もあったのかもしれない。しかしそれだけでは、胸の痛みの答えにならなかった。
「気付けば、貴方の安否を考えている自分がいたんです。そして貴方が無事に意識を取り戻したと報告を受けたとき、ようやく安心できた。……そこまでしてようやく、私は貴方を失いたくないんだと気付かされました」
それと同時に、これまでの自分の態度に申し訳ないも感じたと告白する。そしてメルダーに対して深く頭を下げて、謝罪の言葉を述べた。
「本当に今まで、申し訳ありませんでした。許してくれ、とは言えません。それだけの態度をとっていた事実に、変わりありませんから」
メルダーにすべての懺悔を終えて、彼の言葉を待つ。しばしの沈黙の後、まるで諭すような優しい声色でメルダーが答える。
「……ダクターさん。頭を、上げてください」
彼の言葉に従って頭を上げれば、まるですべてを許していると言わんばかりの、慈しみに溢れている表情に迎えられる。そんな表情を向けられるとは思わず、思わず居心地の悪さに目を逸らしてしまう。しかしメルダーは気にしないという様子で、ヴァダースの手を握った。
「確かに最初の頃は俺も、自分は何もしてないのにどうしてそんな態度を取られなきゃならないんだって思ってました。自分よりカーサにいた時期が先だからって、何を偉そうにって思ったこともあります。だけど一緒に仕事をこなして共に過ごしていくうちに、そんな考えは間違っているって知ったんです」
現場指揮の任務で偶然シャサールと共に行動することがあった時に、メルダーはヴァダースのことについて彼女に愚痴を零したことがあるそうだ。その時に彼はシャサールから、カーサに所属してからのヴァダースのこれまでの経緯を聞いたのだと。
そこでメルダーは、ヴァダースが最高幹部という立場を鼻にかけているわけではないこと、彼が必死に努力を積み重ねた結果掴み取った地位だということを知った。
それと同時に、己への冷たい態度にも納得したそうなのだ。そして自分がヴァダースと同じ立場でも、彼と同じようなことを感じて行動してしまうだろうと考えた。
「そんな必死に努力をしてきた人のことを、純粋に尊敬したんです。この人ともっと一緒にいたい、もっと一緒に任務をこなしたいって。そう思ったから、あの時も俺は貴方を助けたくて行動したんですよ」
だから自分のせいでと負い目を感じてほしくない、とメルダーは笑う。そんな彼を前に、ヴァダースもおずおずと言った様子で顔を上げる。
「メルダー……」
「だから俺は、貴方のすべてを許しますよ。その代わりと言っちゃなんですけど、これからは俺ともっと仲良くしてほしいです。俺、ダクターさんのこと好きですから」
そう告げて満面の笑みを見せるメルダー。そんな彼に対して改めて謝罪の言葉を告げてから、重ねられているメルダーの手を優しく包んだ。
「……ありがとうございます」
「どういたしまして」
その日初めて、ヴァダースはメルダーに対して小さく笑ってみせた。
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