甘美な毒-トリカブト-

雨鬥露芽

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甘美な毒-トリカブト-

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友人があいつを好きだと言った。
だから私は身を引いて
それで全てがうまくいくと思ってた。


●甘美な毒-トリカブト-


「俺、お前のこと好きだよ」

放課後の教室。
赤い景色は闇と混じり合い、影を負う。

断りたいのに、声は出ない。
鋭い視線は私を縛る。
まるで心を見透かすように。

「ねえ、お前は?」

そう言いながらニヤリと笑う。
そんなあいつにドクンと跳ねる。

近づく手。

逃げられない。

「お前は俺のことどう思ってる?」

苦しさが全身を支配していく。
苦くて、痛くて、狂おしい。

触れたところから溶けていく。
苦しみは次第に快楽へと変わる。

まるで甘い誘惑。

気付いてる。

わかってる。

近づく吐息に呼吸が止まる。
意識ごと、深く落ちて
甘く痺れる耳元の声。

「教えて?」

毒が全身に駆け巡る。
何も分からなくなっていく。

全てが麻痺していく。

何もかも。

「私も、好き」

麻痺していく。

END
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