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第3章 [新]連合国エスアール

102話 建国と戦話と[2]

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「ううん、それは違うよ。
だってさ、攻撃系に特化した身体能力だと防御はそこまででしょ?」

「ああ、まぁそうだが…そのせいで負けたんだがな」

「そう、そこが問題なの。
あの時、身体強化なしで殴ったとはいえ、私の方がボロボロになったんだよね。
しかも、殴った時は…大岩を殴った時みたいに、こちらにダメージが入ったんだよね…
その時は、治癒で治したんだけど…多分、あの一瞬で無意識の内に攻撃から防御に切り替わったの」

「そう言われても…」

「うーん、そうだね。それじゃあ、私の今の身体能力で…
訓練用の鎧ってある?」

「ん?ああ、それなら…ここに、ミスリルの鎧がある」

「これ、壊しても大丈夫?」

「ああ、ミスリルは地下ではかなり採掘できているからな。
いくらでも壊していい…が、ドワーフの技術でかなり硬なっているから、人間では…」

私は、その話の途中で身体強化無しで思いっきりその鎧を殴ると、殴ったところから広がるように穴が開き、そのまま倒れていった。

「…さっき言った通り、ドワーフの技術で硬くしていても貫けるほど、一応今の身体能力は高くなっているんだよね。
もちろん、身体強化も使ってないよ。
んで、これを無防備状態で受けたのに、軽く治療しただけ治ったガオウさんは…ほんとうに、攻撃だけかな?」

「ビクッ…た、確かに…そのようだ。
まさか、本気で殺しに来ていたとは思わなかったが…」

「まぁ、死なないでしょって思いながら本気でやってたから、別に殺す気はなかったよ?
ただ、事故で誤って殺しちゃう可能性はあったけど…
まぁ、そんな話は置いといて…
私の鑑定でも、魔獣王の威厳っていう能力には、鑑定が効かないんだよね。基本的にはどんなものでも閲覧可能なのに…
それで、私が鑑定出来ないのはいくつか条件があって…
1つは、私がその相手と戦っ勝つ確率が存在しない時…
今はちょっとだけ見れるけど、これは創造神を鑑定した時に判明したことかな?
んで、2つ目は…一度に膨大な量の知識を取り入れようとする時。
例えば、本を鑑定したら私はその内容を記録できるけど、
図書館の鑑定をして全ての本の知識を鑑定すると、脳が一気にパンクするから制限が掛かって見えなくなるの。
んで、今回の場合、私はガオウさんに勝っているから、後者となる…
ってなると、ガオウさんの能力が攻撃以外見えないのは、多分私が当てた能力は表示されるようになるけど、それ以外は閲覧不可となっている…
まぁ、能力による効果が複数ある場合だね」

「なるほど…だが、そうなると確認する方法がないのだが…」

「一つだけあるよ。私の仮説が正しければ…そうだね、先代の魔獣王の能力はなんだったの?」
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