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飼い主と飼い猫のクリスマス

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 窓から見える街並みは賑々しく、色とりどりの明かりで飾られている。ここ数日、ぐっと気温が下がった。
「明日は雪、降るでしょうか」
 リビングのソファでそれを眺めながら、樹は颯真の肩に頭を預けた。颯真は樹を撫で、顎を取ってキスをする。
「ホワイトクリスマスは憧れる?」
 楽しげに細められた目に、樹は照れたようにはにかんだ。
「我ながら子供みたいだなって思いますけど……」
 唇が触れる程の至近距離。颯真の口角が上がるのを、視界ではなく気配で感じる。
「颯真さんとの初めてのクリスマス、だから」
 普段の距離なら届かない囁きも、この距離では隠せない。颯真は一瞬瞠目し、甘く微笑んだ。
「そんな可愛い事を言ってると……外の景色も分からないままのクリスマスになるよ?」
 くい、とチョーカーに付けられた鎖を引かれ、樹の顔が蕩ける。
「それでもいいですよ……」
 好きだという感情のまま颯真にキスをする。それはすぐに深くなり、甘い吐息が漏れた。
「そんなに飼い主を誘惑して……悪い猫だ」
 颯真の手が樹の頬を撫でる。そこに飾られたブレスレットから下がる鎖は、樹のチョーカーに繋がっていた。
「お仕置きを、くれますか?」
 樹は鎖を手に取り、愛しげに口付けた。颯真は喉の奥で笑うと、鎖を強く引いた。
「お仕置きと……上手に誘惑できたご褒美をあげるよ」

 普段はチョーカーとブレスレットを繋ぐだけの鎖を、颯真が手にして引いている。ただそれだけなのに、樹の身体はどうしようもないほど熱を持っていた。ざらつく薄い生地に包まれたペニスの先がルームウェアに擦れ、後孔に埋められたディルドが前立腺を抉る。その度に上がる喘ぎ声は、ディルドが取り付けられた口枷にせき止められた。
 薄暗い階段を降り、颯真が樹を振り返る。
「セーフワード、忘れないでね」
 地下室へ続く扉の前。告げられた言葉に頷きながら、苛烈な夜への期待に樹はとろりと瞳を蕩けさせた。

 扉を潜った二人は、鉄格子の前で向かい合う。颯真が樹の首からチョーカーを外し、樹は颯真の手首からブレスレットを外す。それらを脇机に乗せると、鎖が固い音を立てた。
「脱いで」
 腕を組み、格子に凭れながら颯真が言う。樹はゆっくりとワイシャツと肌着を脱ぎ、ベルトに手をかけた。カチャリと音を立ててバックルを外し、ベルトを引き抜く。ズボンのボタンを外し、ファスナーを下げる。
「……んっ」
 樹の口には、まだ枷が嵌められたままだ。そこに取り付けられているのは、多少小さめに作ってあるとはいえ、颯真のペニスの形をしたディルド。
「もうそんなに勃たせてるんだ?……ほら、乳首もこんなに」
 ファスナーを外す振動が、樹のペニスを責め立てる。それを嘲るように声を掛けながら、颯真が樹の乳首を弾く。
「ほら、早く」
 顎を取られ、上を向かされた樹の喉を、ディルドが抉る。閉じられない口から垂れた唾液が、首筋に流れていく。
 くすりと笑った颯真が、見せつけるようにゆっくりと、自らのワイシャツのボタンに手を掛けた。
「俺が先に脱ぎ終わったら、お仕置きね?」
 颯真は樹の目を見つめたまま、ぷつり、ぷつりとボタンを外す。開かれたワイシャツから、颯真の素肌と、そこに散らされたキスマークが顕になる。
 ――欲しい。
 色気に当てられた樹は、ズボンを脱ぎ去り、靴下を脱ぐ。ざらつく下着の紐を解き、そこからペニスを引き抜いた。
「……っ、んんっ…!」
 先端を擦られて仰け反る樹を見ながら、颯真はゆっくり服を脱いでいった。
 
 颯真が樹の下着を決めたように、颯真の下着は樹が決めている。それは下生えが見えるほど履き込みの浅いもので。元々のペニスのサイズの都合で上向きにして履いているそれは、硬く勃ち上がったペニスを覆うことはできない。
 颯真はペニスに樹の視線を感じながら、樹を見つめたまま下着を脱いだ。
「お待たせ。ご褒美は……何が良いかな」
 かちゃりと口枷が外される。つ、と垂れた、口枷と樹を繋ぐ銀の糸が、どれだけ深い場所まで塞いでいたかを示すようだ。颯真は樹を抱き寄せ、互いのペニスを擦り付ける。仰け反る樹の口を颯真のそれで塞ぎながら、指先で背筋を撫で下ろした。
「開いて」
 樹の後孔に埋まるものを指で示され、樹は両手で臀部を開く。いい子、と囁かれると同時、颯真が腰を押し付けながらディルドを引き抜いた。
「っあ、あぁ……っ」
 樹が身体を震わせて達する。白濁をせき止められたペニスが、雫を垂らす。
「ご褒美に、とびきり甘く抱こうか?」
 颯真の指が樹の頬を撫でる。甘やかすような仕草に、樹の頬が熱を持った。
「それとも……、クリスマスが終わるまで、監禁して犯し尽くそうか」
 甘い表情のまま、颯真の声が低く掠れる。その目にギラりと宿る欲に当てられた樹が、高く喘いだ。
「ね。選ばせてあげる」
 くすくすと笑いながら樹の肩を押し、首輪が飾られる棚に向けさせる。
「好きな首輪をもっておいで」

 とん、と軽く押し出された樹は、燻るばかりの熱を持て余しながら、棚を開く。鎖を繋ぎっぱなしのチョーカーに華奢な首輪。ここに越したときに渡された、頑丈な首輪もある。
 ――どう犯されたいか、なんて。
 樹の手は迷うことなく、南京錠の下がる頑丈な首輪を手にした。視界の端に映り込む鉄格子と、その先にある器具と。
 ――あぁ、ダメだ。
 空っぽの後孔が切なさにわななく。縛られたペニスが、刺激を求めて震える。喉が、白濁の味を求めてごくりと鳴った。
「選べたら、ここにおいで」
 鉄格子の入り口で、颯真が壁に凭れて腕を組んでいる。臙脂に飾られたペニスは太く長く、重力に逆らって勃ち上がっていた。
 颯真の元に戻った樹は、颯真に首輪を差し出した。
「外の景色を気にする余裕もないくらい……、俺を、狂わせてください」
 樹の言葉に颯真は微笑み、褒めるように頬を撫でる。そのまま首輪を受け取り、南京錠を開いた。
「それがご褒美で、いいんだね?」
 首輪を樹の首元に添わせながら問うと、樹はうっとりと微笑む。
「颯真さんをずっと独り占めできるなら、何よりの褒美です」
 陵辱とも言えそうな責め苦も、そこには樹への執着が見えるから。二人きりのこの場所で、互いしか見ないで過ごせるから。
「俺、……颯真さんが思ってるよりずっと、幸せですよ」
 拘束を強請るように颯真の首に腕を回し、顎を上げて急所を晒す。颯真はふっと笑うと、首輪を付けて南京錠を掛けた。
「鍵は……暫くは要らないね?」
 その意味を察した樹は、小さく頷いた。颯真は笑って、鍵を棚に置いてある、颯真のチョーカーに繋ぐ。
「これを外すのは……樹が俺に首輪をつける時だ」

 おいで、と手を引かれるままに、樹が鉄格子を潜る。ベッドでとぐろを巻く鎖で首輪とベッドを繋ぐと、颯真は扉に鍵をかけて樹に鍵を見せつける。
「来て」
 樹を連れて部屋の隅へ向かう。壁の手前で、樹は鎖に引かれて進めなくなった。
「ここは、樹には届かないね?」
 どうやっても届かないことを樹に試させ、颯真はそこに鍵を引っ掛けた。
「あ……」
 颯真の行動の意味。樹がこの鎖に繋がれている以上は、鉄格子の向こうに自力では戻れない。
「逃げたくても逃げられなくなっちゃったね?」
 颯真は期待に震える樹を撫で、肩を押さえて膝をつかせる。
「セーフワードを言わない限り、鎖は解かないから覚悟してて」
 指先で口を開けるよう命じる。従順に開かれたそこへ、颯真は一気にペニスをねじ込んだ。
 喉の奥を抉られた樹の目に、涙が滲む。颯真は樹を褒めるように優しく撫でる。樹が颯真の腰に腕回して抱きつくと、颯真の指先に力が込められた。
「突き破ってみようか」
 くす、と笑う颯真の目が、支配の色を深める。首輪が締め付ける場所を内側から突き、ここだ、と示せば、樹の目がとろりと蕩けた。
「クリスマスパーティの始まり、だな」
 陵辱と狂乱。樹が、ペニスを咥えさせられたまま頷いた。
 ――来て。
 樹が体勢を変え、喉を開く。根元まで突き刺される準備を整えた樹に、颯真が喉の奥で笑った。
「っぐ、ん、……っ」
 ぐぽ、がぽ、と、重く湿った音が響く。揺さぶられる樹に繋がれた鎖がジャラジャラと鳴る。隘路をこじ開ける颯真が、時折吐息を漏らす。颯真が真上から体重をかけると、樹は微笑んで颯真の腰を引く。
 ――欲しい。もっと、感じたい。
 酸欠にならないギリギリでふわふわと意識を漂わせながら、颯真を飾る臙脂の紐を解いて指に絡ませる。
 ――俺を、颯真さんに縛り付けて……。
 太さを増したペニスを喉の奥で締め付ける。嘔吐反射を押さえ込んで竿を舌で舐め、うっとりと目を閉じる。
「……零すなよ」
 低く呻くような颯真の声に。樹の熱が昂る。息もできないほど強い抽挿の後、颯真のペニスが膨張した。
「……っ、く、……っ!」
 勢いよく喉の奥を通り抜ける白濁の感触に、縛られたままの樹のペニスが震える。
 ゆっくり、ずるりと引き抜かれるペニスに吸い付き、舌を這わせて白濁の残滓をすすれば、すっかり馴染んだ匂いが口に広がった。
 はぁ、と息を漏らしたのはどちらだったか。颯真は膝をついて樹を抱き寄せ、髪を撫でて褒めた。樹は颯真の胸元に擦り寄り、鎖骨の上にキスを落とす。
「痕、付けていいですか?」
 掠れた声で樹が問うと、颯真は勿論だと告げて樹の頭を抱き寄せた。
 ちゅ、と音が鳴る。薄い皮膚を吸われる感触に、颯真が甘く息を漏らした。
「……ふふ。綺麗に付きました」
 紅く色付いたそこを樹が舐めると、颯真は擽ったそうに笑う。
「ああ。すっかり上手になったな」
 颯真はゆっくり樹を立たせ、ベッドへと導いた。今の樹に付けられたのは、首輪と革紐だけだ。
「さて、樹。……犯し尽くすよ」
 ぎらりと光る颯真の目に、樹はゆっくり頷いた。
 
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