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飼い主と飼い猫のクリスマス

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 樹はその言葉で、それを想像しただけで、甘く達した。
 ――俺は、颯真さんのものだって……もっと、思い知らせて欲しい……。
 樹の後孔が期待に震えると、颯真はくすりと笑って腰を揺らす。
「どうしようか。樹が選んで」
 颯真の指が口を塞ぐディルドを引き抜き、代わりとばかりに最奥を突く。 
「仕事中でも眠る時も外せないし、シャツ越しにバレるかもしれないけど――」
「欲しい、です。颯真さんが贈ってくれるなら、見せびらかしたいくらい」
 被せ気味の返事に颯真は吹き出し、腰を激しく揺らし始めた。
「わかっ、た。……ありがとう、俺の……飼い猫最愛
 ふ、と笑んだ樹が大きく口を開く。颯真はそこに唾液を流し込み、ディルドで塞いだ。嬉しそうに笑む樹を撫で、白濁を最奥へぶちまけた。

 ペニスを引き抜いた颯真は、代わりにディルドを突き刺してから、樹の動きを封じていた鎖を解く。乳首の吸盤を外し、リングを嵌めて勃ったままにすると、首輪の鎖を引いて立たせた。
「俺の飼い猫は淫乱で可愛いだろ?」
 導かれた先は、鏡の前。背後に立った颯真のペニスが、樹の腰に触れる。
 あ、と喘ぐ代わりに腰をくねらせ、鏡越しに颯真にねだる。
 それに気付かないふりをして、颯真は腰を擦り付けながら、樹の乳首を捏ねた。
「これ、ずっと付けて早く育てような」
 くびりだされた乳首は敏感で、僅かな刺激にも身体が跳ねる。
「樹の身体は貰ったよ。壊さないよう、大事にするから」
 ぎゅ、と背後から抱きしめられ、樹は幸せそうに身を委ねる。すり、と甘え、腕に触れる。口枷を軽く叩いて示すと、颯真がそれを引き抜いて樹に持たせた。
「ありがとうございます……俺を受け取ってくれた事も。颯真さん、愛してます」
 口枷は、自由になった手で外すこともできた。それをしない事で、樹の身体を自由に扱えるのは颯真だけだと示した樹は、渡されたディルドを眺めた。
 つんと突くと、芯のある柔らかさだ。不思議な触感。先端はぷにっとしていて、竿よりも芯に触れる感じは少ない気がする。色は淡い褐色。先端は赤みが強い。
 ――なんと言うか……、妙にリアルだ。
 樹は思わず体勢を変え、颯真のペニスと見比べた。その態度に、視線の動きに、颯真が可笑しそうに吹き出した。
「しげしげと観察してるのは可愛いけど……、さすがに、比べられたら恥ずかしいな」
 熱烈な告白との温度差に、颯真は肩を震わせて笑った。緩く立てた膝に片腕を預け、半身になった樹の背をさりげなく支えている。樹の肩に額を押し当ててしばらく笑った後、樹の手からディルドをそっと奪う。
「樹の喉を塞ぐものだから。形は譲れないけど、せめて素材とか作りは負担の少なそうなものにしたつもりだったんだけど……」
 先端を押すと、ディルドがしなる。自分で試してはいないから、実際の負担感は分からないけど、と、颯真が樹を見る。
「なんて言うか……、凄くリアルだったから、つい」
 顔を赤くしてボソボソと言う樹に、颯真がにやりと笑う。
「ふぅん……。じゃあ、どこまでリアルなのか、比べてみないとね?」
 颯真はふっと笑って、首輪の鎖を引く。
「俺の精液をいっぱい飲み込んだ、下の口で」

 風呂場の滑車に樹の両手を吊り、両脚を開かせて前屈みにさせる。鏡に映る姿に、樹の顔が赤くなった。
「差し込むのは、竿の中ほどまでにしようか。何回か入れ替えるから、どっちか当てられたらご褒美。外れたら……」
 お仕置きだ、と。低く掠れた声が樹の耳に吹き込まれ、視界を奪われた。
 颯真は焦らすように、湯船にお湯を張り始める。その音に紛れるように、ディルドをローションを溶かしたお湯に付けた。
 ――お仕置もご褒美も、変わらないんだけど。
 颯真はくす、と笑う。どちらにしても、樹を虐めるのに違いはない。
「抜くよ」
 後孔からディルドを引き抜くと、注ぎ込んだ白濁が糸を引いて垂れる。
「コレは、どっち?」
 ディルドを漬けたお湯にペニスを漬け、滑りを帯びたそれを樹の後孔に当てる。左手で樹の腰を掴み、先端で前立腺を抉るように押し込んだ。
「っ、あぁあ……」
 深く突き刺したい衝動を誤魔化すように、腰を小さく揺らして前立腺を刺激してやると、樹の身体が面白いくらい跳ねた。
「ほら、喘いでないで答えて。どっち?」
 腰を支えていた左手で、今度は乳首を引っ張る。
「っ、あ、そ、うまさ、……っああぁあ」
 イき続ける樹の中の感触を楽しみながら、颯真がクスクス笑う。
「ん、呼んだ?」
 しらばっくれる颯真に、樹の目に涙が滲む。
「颯真、さんの……、ペニス……っ」
 口にした瞬間、羞恥で達した樹を褒めるように、颯真が奥まで突き刺した。
「ん。正解」
 よくできました、と中を擦って褒める。
「あ、っ、ぁあ、颯真さ、イっちゃう……っ」
 びくびくと震える樹の中から、颯真はペニスを引き抜いた。達せなくて震える樹の、ひくつく穴を撫でてやりながら、颯真はペニスを洗って再び滑りを纏わせる。
「コレは?」
 再びペニスで前立腺を抉る。
「っあぁああ……!」
 仰け反って達する樹を容赦なく責め立てながら、混乱する樹を眺める。
「あ、れ、これ、も……颯真さ、んの?でも、また……?」
 二度続けてなんてあるのかと、樹の戸惑いが手に取るように分かる。颯真は喉の奥で笑いながら、前立腺を細かく突いた。
「どっちだと思う?俺?偽物?」
「颯真さ、の、ペニス……っ」
 颯真は樹のペニスから貞操帯を外し、尿道に挿した棒に触れた。
「うん。正解。俺のだよ」
 深く突くと同時に、樹のペニスの先端にローションを垂らし、棒を抜き差しする。
 叫ぶように喘ぐ樹の中からペニスを引き抜き、棒を深く挿し直し、今度はディルドを手にした。
「次。コレは?」
 左手で腰を支え、ディルドの角度を慎重に調整したあと、樹の後孔を先端でゆっくり押し開く。似た動きになるように前立腺を揺らすと、樹が背をしならせる。
「どっち?」
 前立腺の位置は把握している。動きは変わらないはずだけど、と、樹を伺うと、樹はふっと微笑んだ。
「これ、は、ディルド、ですね」
 確信と共に告げられた答えに、颯真の支配欲が満たされる。
「そう。これは、偽物。よく分かったね?」
 颯真はディルドを勢いよく引き抜き、ペニスを突き刺す。散々拓いた最奥への膜を、先端で撫でた。
「間違えたく、なかったので……、うれし、です」
 微笑む樹が、背を反らせて腰を揺らす。
「ご褒美、ください。俺の、一番奥に」
 おねだりに息を飲んだ颯真は、褒めるように樹の背を撫でる。滑らかな臀部を両手で割り開き、腰を押し付けた。
「良い子。樹の、お望みのままに」
 ぐぽっ、ぐちょっ。樹のお腹の奥から、重く湿った音が鳴る。快感に叫ぶ樹の結腸を犯しながら、颯真は首筋に噛み付くようなキスを贈った。

 颯真はディルドを綺麗に洗い、消毒をする。その間、樹は湯船に貼り付けられたディルドを後孔に差し込まれ、壁に付けられた鉄輪に腕を、手摺に脚を固定されている。
 目隠しはされたまま。お湯が乳首を撫でるたび、樹の口から喘ぎ声が漏れた。
「これ、まだ俺のとそっくりになってなかった?」
 あっさりと正解されたことに嬉しいような、悔しいような気分になった颯真は、ディルドで樹の唇を突く。
「動きで分かっちゃいました」
 苛烈に前立腺を責め立てたのが逆効果だったようで、颯真はそうか、と頷いた。
「動かなかったら?」
 樹はうーん、と上を見て、ふっと幸せそうに微笑む。
「颯真さんのは、動かなくても多分、分かりますよ」
 ディルドの先端にちゅ、と吸い付き、張り出したカリをペロリと舐める。
「動かない時も俺の中でぴくぴくしてるから。動きたい、イきたいって言ってるみたいで可愛いんです」
 颯真の表情が見えないからこそ、ディルドにじゃれながら本音を漏らす。颯真は一瞬真顔になり、次いでニヤリと笑う。
「じゃあ、樹の中でイけなかった可哀想なこれを、可愛いお口で慰めて?」

 じゃぶじゃぶとお湯を揺らしながら、颯真は動けない樹の口を犯す。首輪も鎖も、枷さえもつけたままの樹を。白濁を吐き出せない樹のペニスが、お湯に嬲られて揺れる。目隠しのまま揺さぶられる樹の喉は、甘く震えたままだ。
「俺と見分けがつかないモノがあれば、もっと樹を犯せるのに」
 悔しそうな颯真を宥めるように、樹の舌が竿を撫でる。
「両手、口、下の口。全部俺ので犯して、狂わせてみたいのに」
 颯真の見せる独占欲が嬉しくて、樹は身体をふるりと震わせる。吐精をねだるように口内を締めれば、颯真が喉の奥で笑う。
「おねだりが上手になったな。……飲め」
 ごぶ、と突き込まれたペニスが、樹の喉の形を変える。仰け反らせた首に押し込み、樹の髪を撫で梳いて。
 く、と息を詰めた颯真は、白濁を勢いよく吐き出した。

「これは、口の中に溜めて」
 射精の途中でペニスを喉の奥から引き抜き、樹の口内を白濁で満たす。ちゅ、と先端を吸い出され、颯真の息が甘く乱れた。
「口、開けて見せて」
 ペニスを引き抜いて唇を撫でると、樹は従順に口を開く。吐き出したばかりの白濁が、樹の口内で糸を引いた。
「そのままこれ付けて。入りにくかったら飲み込んでもいいよ」
 柔らかいディルドを口内に差し込めば、樹は白濁を少しずつ飲みながらディルドを深く咥え込む。飲み込みきれなかった白濁がつと流れた。
「どう?辛くない?」
 颯真が樹を覗き込むと、樹ははっきりと頷いた。
 ――ぴくぴくしないだけで、それ以外は本当に颯真さんのを咥えてるみたい……。
 ディルドを舌で押し、喉の奥で締め付けてみる。弾力といい、感触といい、達した直後の颯真のペニスによく似ていた。
 ――これは、やばい。癖になりそう。
 達した直後のわずかな間しか味わえない感触。吐き出されたばかりの白濁の味。
「……っ、ん……!」
 指先一本、触れられないまま。颯真に口を犯される感触を思い出しただけで、樹は達した。
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