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「セッティングはこんなもんかね」
匠が汗を拭うような仕草をして、一息吐く。
「てめえ何もしてないだろ」
「なーんか裏でハンモック吊って寝てましたよね」
「いやいや、しっかりやってたぞ? お前ら何、幻でも見たか? げぷう」
「酒臭っ! よく見たら顔真っ赤っスよ!?」
「てめ! うわ、ビールがごっそり消えてる!」
「がはは、いやあ野外で飲む酒は美味いねえ」
クーラーボックスを見ると買い込んでいたビールの大半が消えており、匠が寝ていたというハンモックの下には空き缶が大量に転がっている。
隠す気の無い犯人は悪びれもせず、クーラーボックスに手を伸ばし再びビールを掴んでいる。
上機嫌なのか大五郎のおっさんの笑い方を真似しており、憎たらしい事この上ない。
「お前……料理これからだぞ」
「大丈夫だいじょーぶ。難しいのなんて作らねーんだからさ」
「それで失敗したらマジで許さないからな」
「モーマンタイモーマンタイ。がっはっは」
下手クソな物真似をしているかと思えば、手にした缶のプルタブを開けて飲み始める。
酒繋がりでおっさんの真似をしているのだろうと思うが、面白くもなんともない。
「なんか意外っス。タクミ君こんなキャラだったっけ?」
康平が俺に小声で耳打ちしてきた。
「たまーに悪ふざけでやらかすんだよ。とりあえずビールだけ避難させとくか、もう五本しか無いし」
「……っスね。他の酒飲めない体質で助かりましたね」
「まったくだ」
酔っているとは言え、その程度の自制心はある筈だ。大学時代にやった時は、次の日は二日酔い程度では済まないぐらいに酷い目に遭っている。
ビールだけ隠しておけばこれ以上酒が入る心配は無いだろう。
匠に関しては火の番だけやらせる事にする。
今回は二口のアウトドア用のガスコンロ一台、炭焼きグリル一台と焚火台で調理する。
何せ初キャンプの康平が居るのだ。焚火も是非経験してもらいたい。薪も一束買ってきており、今日は火を使う気満々だった。
と言っても既に暦の上では初夏にあたる季節だ。夜はあまり冷え込まないし、虫も多くなってきているので程々にする予定でいる。
「まずは何からやります?」
「炭の火熾しからだな。匠、米に水吸わせたり食材出すのよろしく」
「うーい、げえっぷ! おい! 酒がねーぞ!」
文句を垂れている匠は無視して準備を始める。
まずは火起こし器という筒状の金属の道具を取り出し、適当に炭を詰めていく。
次に焚火台の上に固形の着火剤を数個置き、マッチで火を点け、その着火剤に覆い被さるように火起こし器を置く。
「よし」
「え? これだけっスか?」
「そうだよ。これで十分十五分ぐらい放置で炭に火が点く」
「俺もバーベキューとかでやった事ありますけど、炭ってなかなか火が点かないイメージが……」
「そういう悩みを解決してくれるのがこの火起こし器なわけよ。煙突効果ってやつで、下の空洞から空気を吸い込んで上に熱を送り込んでくれるの」
「へえー……」
俺も誰かの受け売りで聞いた話なので偉そうな事は言えないのだが、要は小型版の竈(かまど)と言えば分かると思う。
構造的にはほぼ同じで、竈も効率良く熱を上方に伝えるものだ。
「油塗ったりバーナーで必死に炙ってましたけど、今度それ使ってみよう」
康平は感心したようで興味深そうに火起こし器を見つめている。
匠も渋々準備を始めたのを横目に見つつ、献立を整理する。
とは言ってもほぼ肉だ。鶏と牛。それに米。野菜は少々。他は明日。
男三人なのだからこれで良いだろう。
後は妖怪達につまみ食いされる分もあるが、嵩増しできる汁物での対応を考えている。
「とりあえず飯盒(はんごう)とメスティン二つに米と水入れといたぞ」
「了解。そんじゃ鶏の方から準備始めるか」
匠の報告を受けつつ大型のクーラーボックスから食材を出す。
「おお、丸々一羽っスか! すげえ!」
康平がこちらを見て驚いている通り、取り出したのはそれが鶏だと分かる形状をした丸鶏だ。
「キャンプと言ったらこういう豪快な肉料理があった方が良いと思ってな」
「これで何作るんですか?」
「このダッチオーブンを使ってだな……簡単ローストチキンだ!」
「おおお! ……お、おお!」
「イメージできないなら無理してリアクション取らなくていいぞ」
苦笑いしながら取り出したのは、真っ黒な大鍋。キャンパーの間では知らない者は居ないだろう、鉄製調理道具ブームの一角を担った存在だ。
見た目の通り鍋としてでも、名前の通りオーブンとしても使う事ができ、大人数で食べるキャンプ飯を作るのに適している。
そして今回はこのダッチオーブンでの料理の代表格であるローストチキンを作る。
軽く水洗いをしてから水分を拭き取り、塩と胡椒を擦りこむ。内臓は出してあるものを買ってきたので中もよく洗い、同じく塩胡椒。
本当はこの状態で寝かせておいた方が良いらしいのだが、ここでは気にせず続ける。
次にニンニクと人参、じゃがいも、玉ねぎ、パセリを一口大に大雑把に切っていく。皮むきは康平にやらせた。
そしてこれらの野菜とローズマリーを丸鶏の尻からどんどん詰め込んでいく。
「うは、なんかエグいっスね」
「何で嬉しそうなんだよ……」
「いやあ……えへへ」
康平の意味深な照れ笑いはスルーし、作業に没頭する。
パンパンに膨れるまで詰め込み、最後に爪楊枝を数本刺して中身が零れないように塞ぐ。
「結構野菜余りましたけど」
「余ったのは周りに敷き詰めるから大丈夫。こっちもまたちょっと味が変わって美味いんだよ」
ダッチオーブンをテーブルに置いて底網を敷き、その上にアルミホイルを二枚。そしてその上に丸鶏を乗せ、周囲に野菜とローズマリーを敷き詰めていく。
「最後に全体にまた塩胡椒を振って、オリーブオイルを表面に塗ったら下準備終了だ。後は焼くだけ」
「へえー、なんか簡単っスね。リョースケ君の手際が良いのもありますけど」
「お前も手順さえ覚えれば簡単にできるよ。さてさて、炭の具合は……おっ、熱くなってるな」
手を洗って炭の点き具合を見ると、熱気と赤々と光る木炭が確認でき、すっかり着火した事が分かる。
これらの炭をグリルの下段に置き、そして上段にダッチオーブンを置く。そして蓋の上にも数個炭を乗っけてやる。
「これで一時間半ぐらいかな。今四時過ぎだし、丁度いいだろ。米もちょっと水の吸い足りないかもしれないけど炊き始めるか」
「ういッス! 米も炭で?」
「メスティンの方は炭で、飯盒の方は焚火で炊こうか」
「焚火かあ……キャンプファイヤーのイメージしか無いッス」
「あんな盛大にやったら消防車呼ばれるわな。ついでだし、少し手間の掛かる火熾しもやってみるか?」
「ちょっと興味ありまッス。あれっスか? 木の棒ゴリゴリやる奴」
「今日の湿度であれは無理だよ。正直乾燥してる冬でも難しいぞ」
焚火台へ移動しつつそんな話をする
。康平の言うやり方は”きりもみ式”という奴で、よくテレビ番組の火熾しの企画なんかで見た影響だろう。
テレビ内でも苦労する姿が描かれる事が多いが、現実にやるのでは更に難易度が高く、まず板や棒を適した形状に加工するのも難しい。
挑戦した事があるが、結局二時間を無駄にしただけで何一つ成果を得られなかったものだ。
そんな事もありマッチやライターよりも原始的で、きりもみ式よりも格段に現代に進み、かつそれなりにコツの要る着火方法。となれば答えは一つ。
「ファイアスターターだ」
手のひらサイズの金属の棒を取り出す。
「何スか? これ」
「マグネシウムの棒なんだよ。理科の実験とかでマグネシウムを着火させるのやった事ないか?」
「あー……なんかあるような無いような。炎色反応? とかでそんなのあったような?」
「懐かしいな、それ」
「よく覚えて無いッスけどね。で、これどうやって使うんス?」
手渡したファイアスターターをまじまじと見つめ、首を傾げている。
「まあそんな難しい話じゃないんだけどさ」
康平の手からひったくり、付属している金属の板のような物を当てがい、下向きに擦る。
すると一瞬だけパチパチと音を鳴らしながら火花が散った。
「うお、なるほど」
「仕組み的にはマグネシウムを削って粉状にして、それに摩擦熱で火が点くって感じかな。でも一瞬だからこれだけじゃ薪には火が点かない」
かつて自分も苦労した記憶を懐かしみつつ、康平へのレクチャーを続ける。
「この太い薪に火が点くまでには結構段階を踏む必要がある。まず、この火花を着火させる物だけど……枯草とか麻紐も無いし、ティッシュでいいか。これに火を点けて徐々に大きな物に着火させていくイメージだ」
「ふうん?」
「まあやってみれば分かるよ。細かく割いた薪もあるから、自分なりにやってみな。コツとしては火が点いたら次の段階の物を乗せて、安定したらその上にまた乗せていく。それの繰り返しだ。あとはキャンプファイヤーも参考なるかな」
「なるほど? まあやってみまっス」
ファイヤスターター一式とナイフ、ティッシュを手渡し離れる。付きっきりで見てやった方が早いだろうが、面倒さや火が点いた時の達成感など、自分で考えながら体感した方が良いと思っている。
こういう不便さもまた、キャンプを構成し楽しむ要素の一つなのだ。
しばらく悪戦苦闘する事が目に見えているので俺は料理の方へと戻る事にする。
そう言えば匠は……あいつ、またハンモックで寝てやがる。
しかしよく見ると食器類など出されており、自分で散らかしたゴミも片づけてある。あいつなりに仕事をしていたようだ。
後は野菜を切るのと汁物の準備程度なのでそれ程手間も掛からない。
米と康平の様子を見つつ、準備を進める。
匠が汗を拭うような仕草をして、一息吐く。
「てめえ何もしてないだろ」
「なーんか裏でハンモック吊って寝てましたよね」
「いやいや、しっかりやってたぞ? お前ら何、幻でも見たか? げぷう」
「酒臭っ! よく見たら顔真っ赤っスよ!?」
「てめ! うわ、ビールがごっそり消えてる!」
「がはは、いやあ野外で飲む酒は美味いねえ」
クーラーボックスを見ると買い込んでいたビールの大半が消えており、匠が寝ていたというハンモックの下には空き缶が大量に転がっている。
隠す気の無い犯人は悪びれもせず、クーラーボックスに手を伸ばし再びビールを掴んでいる。
上機嫌なのか大五郎のおっさんの笑い方を真似しており、憎たらしい事この上ない。
「お前……料理これからだぞ」
「大丈夫だいじょーぶ。難しいのなんて作らねーんだからさ」
「それで失敗したらマジで許さないからな」
「モーマンタイモーマンタイ。がっはっは」
下手クソな物真似をしているかと思えば、手にした缶のプルタブを開けて飲み始める。
酒繋がりでおっさんの真似をしているのだろうと思うが、面白くもなんともない。
「なんか意外っス。タクミ君こんなキャラだったっけ?」
康平が俺に小声で耳打ちしてきた。
「たまーに悪ふざけでやらかすんだよ。とりあえずビールだけ避難させとくか、もう五本しか無いし」
「……っスね。他の酒飲めない体質で助かりましたね」
「まったくだ」
酔っているとは言え、その程度の自制心はある筈だ。大学時代にやった時は、次の日は二日酔い程度では済まないぐらいに酷い目に遭っている。
ビールだけ隠しておけばこれ以上酒が入る心配は無いだろう。
匠に関しては火の番だけやらせる事にする。
今回は二口のアウトドア用のガスコンロ一台、炭焼きグリル一台と焚火台で調理する。
何せ初キャンプの康平が居るのだ。焚火も是非経験してもらいたい。薪も一束買ってきており、今日は火を使う気満々だった。
と言っても既に暦の上では初夏にあたる季節だ。夜はあまり冷え込まないし、虫も多くなってきているので程々にする予定でいる。
「まずは何からやります?」
「炭の火熾しからだな。匠、米に水吸わせたり食材出すのよろしく」
「うーい、げえっぷ! おい! 酒がねーぞ!」
文句を垂れている匠は無視して準備を始める。
まずは火起こし器という筒状の金属の道具を取り出し、適当に炭を詰めていく。
次に焚火台の上に固形の着火剤を数個置き、マッチで火を点け、その着火剤に覆い被さるように火起こし器を置く。
「よし」
「え? これだけっスか?」
「そうだよ。これで十分十五分ぐらい放置で炭に火が点く」
「俺もバーベキューとかでやった事ありますけど、炭ってなかなか火が点かないイメージが……」
「そういう悩みを解決してくれるのがこの火起こし器なわけよ。煙突効果ってやつで、下の空洞から空気を吸い込んで上に熱を送り込んでくれるの」
「へえー……」
俺も誰かの受け売りで聞いた話なので偉そうな事は言えないのだが、要は小型版の竈(かまど)と言えば分かると思う。
構造的にはほぼ同じで、竈も効率良く熱を上方に伝えるものだ。
「油塗ったりバーナーで必死に炙ってましたけど、今度それ使ってみよう」
康平は感心したようで興味深そうに火起こし器を見つめている。
匠も渋々準備を始めたのを横目に見つつ、献立を整理する。
とは言ってもほぼ肉だ。鶏と牛。それに米。野菜は少々。他は明日。
男三人なのだからこれで良いだろう。
後は妖怪達につまみ食いされる分もあるが、嵩増しできる汁物での対応を考えている。
「とりあえず飯盒(はんごう)とメスティン二つに米と水入れといたぞ」
「了解。そんじゃ鶏の方から準備始めるか」
匠の報告を受けつつ大型のクーラーボックスから食材を出す。
「おお、丸々一羽っスか! すげえ!」
康平がこちらを見て驚いている通り、取り出したのはそれが鶏だと分かる形状をした丸鶏だ。
「キャンプと言ったらこういう豪快な肉料理があった方が良いと思ってな」
「これで何作るんですか?」
「このダッチオーブンを使ってだな……簡単ローストチキンだ!」
「おおお! ……お、おお!」
「イメージできないなら無理してリアクション取らなくていいぞ」
苦笑いしながら取り出したのは、真っ黒な大鍋。キャンパーの間では知らない者は居ないだろう、鉄製調理道具ブームの一角を担った存在だ。
見た目の通り鍋としてでも、名前の通りオーブンとしても使う事ができ、大人数で食べるキャンプ飯を作るのに適している。
そして今回はこのダッチオーブンでの料理の代表格であるローストチキンを作る。
軽く水洗いをしてから水分を拭き取り、塩と胡椒を擦りこむ。内臓は出してあるものを買ってきたので中もよく洗い、同じく塩胡椒。
本当はこの状態で寝かせておいた方が良いらしいのだが、ここでは気にせず続ける。
次にニンニクと人参、じゃがいも、玉ねぎ、パセリを一口大に大雑把に切っていく。皮むきは康平にやらせた。
そしてこれらの野菜とローズマリーを丸鶏の尻からどんどん詰め込んでいく。
「うは、なんかエグいっスね」
「何で嬉しそうなんだよ……」
「いやあ……えへへ」
康平の意味深な照れ笑いはスルーし、作業に没頭する。
パンパンに膨れるまで詰め込み、最後に爪楊枝を数本刺して中身が零れないように塞ぐ。
「結構野菜余りましたけど」
「余ったのは周りに敷き詰めるから大丈夫。こっちもまたちょっと味が変わって美味いんだよ」
ダッチオーブンをテーブルに置いて底網を敷き、その上にアルミホイルを二枚。そしてその上に丸鶏を乗せ、周囲に野菜とローズマリーを敷き詰めていく。
「最後に全体にまた塩胡椒を振って、オリーブオイルを表面に塗ったら下準備終了だ。後は焼くだけ」
「へえー、なんか簡単っスね。リョースケ君の手際が良いのもありますけど」
「お前も手順さえ覚えれば簡単にできるよ。さてさて、炭の具合は……おっ、熱くなってるな」
手を洗って炭の点き具合を見ると、熱気と赤々と光る木炭が確認でき、すっかり着火した事が分かる。
これらの炭をグリルの下段に置き、そして上段にダッチオーブンを置く。そして蓋の上にも数個炭を乗っけてやる。
「これで一時間半ぐらいかな。今四時過ぎだし、丁度いいだろ。米もちょっと水の吸い足りないかもしれないけど炊き始めるか」
「ういッス! 米も炭で?」
「メスティンの方は炭で、飯盒の方は焚火で炊こうか」
「焚火かあ……キャンプファイヤーのイメージしか無いッス」
「あんな盛大にやったら消防車呼ばれるわな。ついでだし、少し手間の掛かる火熾しもやってみるか?」
「ちょっと興味ありまッス。あれっスか? 木の棒ゴリゴリやる奴」
「今日の湿度であれは無理だよ。正直乾燥してる冬でも難しいぞ」
焚火台へ移動しつつそんな話をする
。康平の言うやり方は”きりもみ式”という奴で、よくテレビ番組の火熾しの企画なんかで見た影響だろう。
テレビ内でも苦労する姿が描かれる事が多いが、現実にやるのでは更に難易度が高く、まず板や棒を適した形状に加工するのも難しい。
挑戦した事があるが、結局二時間を無駄にしただけで何一つ成果を得られなかったものだ。
そんな事もありマッチやライターよりも原始的で、きりもみ式よりも格段に現代に進み、かつそれなりにコツの要る着火方法。となれば答えは一つ。
「ファイアスターターだ」
手のひらサイズの金属の棒を取り出す。
「何スか? これ」
「マグネシウムの棒なんだよ。理科の実験とかでマグネシウムを着火させるのやった事ないか?」
「あー……なんかあるような無いような。炎色反応? とかでそんなのあったような?」
「懐かしいな、それ」
「よく覚えて無いッスけどね。で、これどうやって使うんス?」
手渡したファイアスターターをまじまじと見つめ、首を傾げている。
「まあそんな難しい話じゃないんだけどさ」
康平の手からひったくり、付属している金属の板のような物を当てがい、下向きに擦る。
すると一瞬だけパチパチと音を鳴らしながら火花が散った。
「うお、なるほど」
「仕組み的にはマグネシウムを削って粉状にして、それに摩擦熱で火が点くって感じかな。でも一瞬だからこれだけじゃ薪には火が点かない」
かつて自分も苦労した記憶を懐かしみつつ、康平へのレクチャーを続ける。
「この太い薪に火が点くまでには結構段階を踏む必要がある。まず、この火花を着火させる物だけど……枯草とか麻紐も無いし、ティッシュでいいか。これに火を点けて徐々に大きな物に着火させていくイメージだ」
「ふうん?」
「まあやってみれば分かるよ。細かく割いた薪もあるから、自分なりにやってみな。コツとしては火が点いたら次の段階の物を乗せて、安定したらその上にまた乗せていく。それの繰り返しだ。あとはキャンプファイヤーも参考なるかな」
「なるほど? まあやってみまっス」
ファイヤスターター一式とナイフ、ティッシュを手渡し離れる。付きっきりで見てやった方が早いだろうが、面倒さや火が点いた時の達成感など、自分で考えながら体感した方が良いと思っている。
こういう不便さもまた、キャンプを構成し楽しむ要素の一つなのだ。
しばらく悪戦苦闘する事が目に見えているので俺は料理の方へと戻る事にする。
そう言えば匠は……あいつ、またハンモックで寝てやがる。
しかしよく見ると食器類など出されており、自分で散らかしたゴミも片づけてある。あいつなりに仕事をしていたようだ。
後は野菜を切るのと汁物の準備程度なのでそれ程手間も掛からない。
米と康平の様子を見つつ、準備を進める。
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