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第3章 混沌な煩忙
8
前回の失敗を教訓に、徹は酔いつぶれる前にさっぱりして置けといいつけた。
帰宅途中、橙子に連れられるように夜間営業中のスーパーに引っ張り込まれ、あれこれ買い込んだ。コンビニより商品が多く、安かったように思う。たまに行ってみてもいいかもしれない。買い物の選択肢が増えた。
返却されたばかりのスエットを着込んだ橙子と交代して出ると、つまみのチーズや菓子類の包装を開けて待っていた。
「そういや、グラスない」
「直飲みでいいよ」
橙子は迷わずワインのボトルに口をつける。こういう気取らないところを、徹は気に入っている。
「マグならある」
「ちょ、早く言ってよ」
「待ってろ」
「もういいよ。今更だもん」
「凛々しいな」
「これでも可愛い子ぶってますー」
「ほう?」
「女子大好きロゼ」
「すまん。わからん」
徹が正直に謝ったのは、ロゼに対して「色の薄い酒」という認識しかしていないからだ。女子用アイテムという考えはない。橙子は不満そうだが、そのどこかズレた思考回路と、うるさくない程度の世間話や会社の話が酒の宛てに丁度いい。
750㎖も2本目に入ろうというころには酔いが回ってきたようだった。橙子は安酒のボトルキャップが開けられず、何度かスエットで手を拭っては挑む。
「本気で浴びるつもりか」
「泣けるか試してみる」
「泣いてないのだから諦めたらどうだ」
「やっぱダメかー」
橙子の口調も会話もしっかりしている。が、上気した頬ととろんとした眼つきは酔っ払いそのもだ。ほろ酔いの上限に留めて置くが最良だろう。
徹は開かず終いのボトルを受け取った。
「これだと記憶飛ばない」
「飛ばそうとすな」
「このご迷惑をまた引きずることになっちゃうもん」
「誘ったのは俺だ。気にするな」
「つまんない話聞かせて、ご自宅にまで押しかけてるのに?」
「むしろ、今後はそうしろ」
「え?」
「外で酔うぐらいなら、ここで飲め」
「あー気軽にそんなこと言っちゃって。通いつめてやるんだから」
「そうしろ」
徹には冗談のつもりはないが、橙子は真意を測りかねているのか徹を凝視している。
「なんだ」
「硬派な大人と見せかけて実は遊び人? もしくは真正タラシ?」
橙子はまたしても突拍子のない感想を繰り出した。
一つずつ説くしかないのであれば、まずは遊んでいないところからだ。すかさず誑し認定が待っていた。謎の経緯で結論づけられてはたまらない。
「あのなぁ」
「優しさをはき違えないで要所にぶっこんでくるの、人タラシじゃん」
「わからんこと言うな」
「ほら! 無意識なところが真正」
「褒められてないな?」
「完全にツボってんだから大絶賛! まったく私をどうしたいんだか」
独り言になっていた後半部分を耳にした徹は動きを止めた。
どうしたいもこうしたいもない。ずっと抱きたいと思っている……などとは口が裂けてもってやつだ。
期せずして垣間見た仕事に取り組む姿勢、本人から聞き出した傷に、人となり、橙子を知れば知るほど手に入れたい欲望が募る。頼らないから頼られたい。甘えないから甘やかしたい。女性に対してそんな風に思うのは初めてのことだった。
「はい、久我島さん。これ最後、わけっこね」
橙子が差し出した一欠のチョコレートを反射で咥え、そのチョコを差し出した手首を捕まえた。強引に引き寄せ、橙子に口移しで送り込む。
じっくり味わうように舌で転がすと、ふたりの熱でじんわり溶けていく。彼女お勧めのビターチョコは確かにうまい。
「通いつめるのやめるか?」
後頭部を押さえ唇を合わせたまま、逃すつもりのない逃げ道を用意する。
「……これもツボです」
橙子は自ら徹の首筋に頭を寄せた。
アルコールの匂いと苦みが交わったキスはチョコより甘美な味わいを残す。
「酔いが足らない。記憶に残っちゃう」
「忘れたいか?」
徹は物詫びしさを感じた。自分の憂いを含んだ眼差しを橙子が読み取るか賭けてみる。
「期待して通っていいの?」
目線を交わせたまま、橙子の指が遠慮がちに徹の顎のラインに乗せられた。
「しっかり誑し込んでおくか」
後頭部の支えを解いて、橙子の冷たい指先を包んだ。長くじっとり舌を絡ませ合って、横向きに抱き直し膝に乗せる。橙子の手を自分の首に回させて、スエットの裾から手を忍ばせた。
そっと下着の上から胸に触れた。
「ちょっと待った」
「どうした」
「急にとんでもなく恥ずかしくなってきた」
今更な台詞に笑いが鼻から漏れた。拒絶反応でない限り──いや、突っぱねられても引き寄せるだけだ。
橙子の頬に流れる髪を一房、そっと耳に掛けてやると、耳まで真っ赤にさせた。女心はわからずとも、酒のせいではないことはわかる。至近距離で見上げる潤んだ目は気恥ずかしさより期待の方が勝って映るのは、都合のいい解釈だろうか。
「どっちがタラシだか」
「だから久我、んっ」
異論は塞いで黙らせる。
言葉遊びの類はお開きだ。
「大人しく掴まってろ」
横抱きの体勢をいいことに、橙子を抱えたまま立ち上がった。
前回の記憶から足腰に力を溜めたが空振りに終わった。こう簡単に持ち上がるとは、どれだけ痩せたのか気になる。
それもこれからじっくり確認だ。
「この歳でお姫様抱っこの夢が叶うだなんて」
「前もした」
「いつ?」
「フワフワしたんだろ?」
「あのフワフワ!」
ベッドに下ろして遠慮なく覆いかぶさった。
耳朶を甘咬んで「暗けりゃマシだろ」と囁くと、こくりと頷いたのが分かった。
帰宅途中、橙子に連れられるように夜間営業中のスーパーに引っ張り込まれ、あれこれ買い込んだ。コンビニより商品が多く、安かったように思う。たまに行ってみてもいいかもしれない。買い物の選択肢が増えた。
返却されたばかりのスエットを着込んだ橙子と交代して出ると、つまみのチーズや菓子類の包装を開けて待っていた。
「そういや、グラスない」
「直飲みでいいよ」
橙子は迷わずワインのボトルに口をつける。こういう気取らないところを、徹は気に入っている。
「マグならある」
「ちょ、早く言ってよ」
「待ってろ」
「もういいよ。今更だもん」
「凛々しいな」
「これでも可愛い子ぶってますー」
「ほう?」
「女子大好きロゼ」
「すまん。わからん」
徹が正直に謝ったのは、ロゼに対して「色の薄い酒」という認識しかしていないからだ。女子用アイテムという考えはない。橙子は不満そうだが、そのどこかズレた思考回路と、うるさくない程度の世間話や会社の話が酒の宛てに丁度いい。
750㎖も2本目に入ろうというころには酔いが回ってきたようだった。橙子は安酒のボトルキャップが開けられず、何度かスエットで手を拭っては挑む。
「本気で浴びるつもりか」
「泣けるか試してみる」
「泣いてないのだから諦めたらどうだ」
「やっぱダメかー」
橙子の口調も会話もしっかりしている。が、上気した頬ととろんとした眼つきは酔っ払いそのもだ。ほろ酔いの上限に留めて置くが最良だろう。
徹は開かず終いのボトルを受け取った。
「これだと記憶飛ばない」
「飛ばそうとすな」
「このご迷惑をまた引きずることになっちゃうもん」
「誘ったのは俺だ。気にするな」
「つまんない話聞かせて、ご自宅にまで押しかけてるのに?」
「むしろ、今後はそうしろ」
「え?」
「外で酔うぐらいなら、ここで飲め」
「あー気軽にそんなこと言っちゃって。通いつめてやるんだから」
「そうしろ」
徹には冗談のつもりはないが、橙子は真意を測りかねているのか徹を凝視している。
「なんだ」
「硬派な大人と見せかけて実は遊び人? もしくは真正タラシ?」
橙子はまたしても突拍子のない感想を繰り出した。
一つずつ説くしかないのであれば、まずは遊んでいないところからだ。すかさず誑し認定が待っていた。謎の経緯で結論づけられてはたまらない。
「あのなぁ」
「優しさをはき違えないで要所にぶっこんでくるの、人タラシじゃん」
「わからんこと言うな」
「ほら! 無意識なところが真正」
「褒められてないな?」
「完全にツボってんだから大絶賛! まったく私をどうしたいんだか」
独り言になっていた後半部分を耳にした徹は動きを止めた。
どうしたいもこうしたいもない。ずっと抱きたいと思っている……などとは口が裂けてもってやつだ。
期せずして垣間見た仕事に取り組む姿勢、本人から聞き出した傷に、人となり、橙子を知れば知るほど手に入れたい欲望が募る。頼らないから頼られたい。甘えないから甘やかしたい。女性に対してそんな風に思うのは初めてのことだった。
「はい、久我島さん。これ最後、わけっこね」
橙子が差し出した一欠のチョコレートを反射で咥え、そのチョコを差し出した手首を捕まえた。強引に引き寄せ、橙子に口移しで送り込む。
じっくり味わうように舌で転がすと、ふたりの熱でじんわり溶けていく。彼女お勧めのビターチョコは確かにうまい。
「通いつめるのやめるか?」
後頭部を押さえ唇を合わせたまま、逃すつもりのない逃げ道を用意する。
「……これもツボです」
橙子は自ら徹の首筋に頭を寄せた。
アルコールの匂いと苦みが交わったキスはチョコより甘美な味わいを残す。
「酔いが足らない。記憶に残っちゃう」
「忘れたいか?」
徹は物詫びしさを感じた。自分の憂いを含んだ眼差しを橙子が読み取るか賭けてみる。
「期待して通っていいの?」
目線を交わせたまま、橙子の指が遠慮がちに徹の顎のラインに乗せられた。
「しっかり誑し込んでおくか」
後頭部の支えを解いて、橙子の冷たい指先を包んだ。長くじっとり舌を絡ませ合って、横向きに抱き直し膝に乗せる。橙子の手を自分の首に回させて、スエットの裾から手を忍ばせた。
そっと下着の上から胸に触れた。
「ちょっと待った」
「どうした」
「急にとんでもなく恥ずかしくなってきた」
今更な台詞に笑いが鼻から漏れた。拒絶反応でない限り──いや、突っぱねられても引き寄せるだけだ。
橙子の頬に流れる髪を一房、そっと耳に掛けてやると、耳まで真っ赤にさせた。女心はわからずとも、酒のせいではないことはわかる。至近距離で見上げる潤んだ目は気恥ずかしさより期待の方が勝って映るのは、都合のいい解釈だろうか。
「どっちがタラシだか」
「だから久我、んっ」
異論は塞いで黙らせる。
言葉遊びの類はお開きだ。
「大人しく掴まってろ」
横抱きの体勢をいいことに、橙子を抱えたまま立ち上がった。
前回の記憶から足腰に力を溜めたが空振りに終わった。こう簡単に持ち上がるとは、どれだけ痩せたのか気になる。
それもこれからじっくり確認だ。
「この歳でお姫様抱っこの夢が叶うだなんて」
「前もした」
「いつ?」
「フワフワしたんだろ?」
「あのフワフワ!」
ベッドに下ろして遠慮なく覆いかぶさった。
耳朶を甘咬んで「暗けりゃマシだろ」と囁くと、こくりと頷いたのが分かった。
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漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
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漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
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