I wanted to see the moon

花森 雲空

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陰口叩くなら目の前で言え

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4月2日で20歳になった私は、散った桜の悲しみを見ながら、後片付けも、ありがとうもいえないなら、花見をするなと思った。

何時もの8時にロッカーを見る。

【どうやって上司につけいったの?影山!】

こんな張り紙は破り捨てて捨てればいい。

「おはよう、影山さん。可哀相に。誰がこんなことをしたのかしら?」

塚原のお局に、顔をぞうきんで拭かれた。

笑う馬鹿に見る阿呆。

私は、雑巾でお局の顔を拭きに拭いた。

「若くないと、化粧が濃くて大変ですね?上司の愛人だからって、些細な言葉で頭にのると、盛った髪も重たいでしょうに!」

私は、バケツの汚水を頭からかけてやった。

それを見ていたのは、上司だった。

「私はこの会社に未練も何もありません。辞めさせていただきます。どうぞ、後ろの奥様と話し合ってください。失礼します」

お弁当汚されなくてよかった。

一旦、家に帰り、ぽっちゃんがはしゃいで走ってきた!

「ごめんね、何時もお留守番で。三日後から、違う会社に行くけどね」

さっさとシャワーに入り、服を着替え、ぽっちゃんと、残り桜を見ながら、食事をすることにした。

「ぽっちゃん、春は気持ちいいね!」



「ハルウララって馬いたよね!私、競馬好きなんだ!
タメフサさんも好きだよ!サラブレッドって、競技用!?にできた馬なんだけど、パドックみながら、馬や騎手を見るのが醍醐味よ!」

ぽっちゃんは、ワンワンと吠えた。

「私は、ぽっちゃんいるからいいんだよ!」

ちょっと毛長になってきたかな?

ぽっちゃんのトリミング中に、一週間分の買い物をすることにしよう。

愛車のアウディに乗り、ケースにいれたぽっちゃんを後部座席に乗せた。

「時間が空いてて、よかったね!」

ペットショップに付き、なるべく短くと伝え、紙に書いた。

大型スーパーに付き、賞味期限を見ながら、大量の買い物を済ませた。

「今日はすき焼きにしよう!」

車に乗り、ぽっちゃんを迎えに行き、おもちゃとご飯を買った。

さあ、帰ろうとした時、話し掛けられた。

「ごめん、腹ぺこで死にそうなんだ。車は友達に乗り逃げされたし。できたら、何もしないから、一泊させてほしい。頼めないか?俺は勝部武士(かつべたけし)で、23歳。頼みたい。

ずるずると、滑り落ちていく。

「ぶし!ぶし!乗せるから!乗って!」

ハードな仕事なのか、家に着くまでぐっすり寝ていた。
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