Butterfly

花森 雲空

文字の大きさ
上 下
5 / 9

奈也との繋がり

しおりを挟む
無事に換金を静流と済ませ、外に出ると奈也が警戒しながら待っていてくれた。

静流に礼を言い、奈也の車に乗ると、スーパーの袋が二袋あった。

「先に手を回しておいて間違いはなかった。俺達のチームは13人でできている。野郎ばかりだから、手荒いがすまないな」

車を走らせながら、奈也は話を続けた。

「深雪のことは小さなときから知っている。義理のお父さんが悪い人だからな。まだ、俺も若かったから、父さんに言われていたんだ。大きくなったら、この子を守る警察官になりなさいってな」

そう言うと、片手で写真を渡された。




幼い時の私だ。昔は明るかった気がする。


「俺の片想い、嫌、初恋だ。みいちゃんを守りたいと思って、飼ってもらったウサギに名前をつけたくらいだ。綺麗に育った。そのままの優しい心で」

胸が苦しいのは何故だろうか。

奈也に写真を返し、私はスーパーの袋を覗いた。

「奈也は、奈也は料理するの?」

苦し紛れというより、恥ずかしさを隠すために聞いた。

「1人だからな、料理はする。目玉焼きとシチューは作る。カレーもな!これは、深雪に作ってもらうのに買ったんだ。料理得意なんだろ?」

プロフィールをくまなく読まされたんだろうな。

そっか。なら、サイコロステーキご飯と、スープを作るか。

「あと、勝手ですまないが、引っ越しをさせてもらったからな。ついたぞ!荷物は持つから、離れないように歩くこと」

周りを警戒する奈也の手には、スーパーの袋が2つ。

少し笑いそうになったが、部屋の中に無事に入った。

「うわあ!本当に引っ越ししてくれたんだ!ありがとう。いくらかかった?」

部屋を見渡しながら、冷蔵庫に野菜類等を片付けた。

「金はいらない。深雪がいてくれるならな」





私は赤面し、咳き込みながら料理をすることにした。


~30分くらい~


「お待たせしました!お口にあうかな?」





「なかなか美味いな!ニンニクが効いている。そうだ。目撃したイメージでしかないが、こんなやつにButterflyで見ていないか?こいつが蝶(ちょう)、Butterflyのトップだ」





私は全く知らず、首を横に振って見せた。

「知らなくていい!ごちそうさま。そうだ、紹介しとかないとな。おいで、みいちゃん。黒猫のみいちゃんが5歳だ。俺が25歳だ。ちなみにイヴで26歳になる。深雪とは4つ上になる」

お魚の匂いを嗅ぎつけたのか、みいちゃんはこっそり現れて、私を見上げ見てくれた。

お兄さんと、みいちゃんがいるなんて素敵。

久しぶりに心が和らいだ気がした。



しおりを挟む

処理中です...