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しくじる男
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私はこれまで失敗し続けてきた。願い事が叶ったことがないのである。
幼い頃、私は仮面ライダーになりたかった。しかしその夢は叶わなかった。
小学校の頃、野球クラブに入った私は同じクラブの子たちと同じようにプロ野球選手になりたかった。
しかしプロ選手になるどころか小さなクラブのレギュラーになることすら叶わなかった。
中学生になり、私はできるだけ偏差値の高い高校に行こうと考え周りの子が遊びや部活に打ち込む中、塾に入った。
しかし受験に失敗し滑り止めの高校に進学することになった。
高校生の頃バンドをやりたいと思い立ち、ギターを買った。
しかし仲間が集まらず演奏することは叶わなかった。
その後も大学受験に失敗し、就職活動でも食品メーカーを目指したがひたすらお祈りが続き、結局地元の工場に就職した。そしてその工場も働き始めて三ヶ月あまりでやめてしまった。
神様なんていやしないと考えたこともあった。しかし神様は確かに存在し私を見ているのだ。要するに私は今まで願うばかりで努力をしていなかったのである。
幼少期仮面ライダーになりたいと言いながらも自転車に乗る練習すらしなかった。
小学生の頃周りの子が練習をする中サボって家でゲームをしていた。
受験勉強も塾に行くだけで満足していたし、バンドメンバー集めの声かけもせずにギターも一週間でやめた。就職活動もどうにかなるとたいした対策も行っていなかった。
つまり神様は努力した者に良い結果をもたらすのではない、怠け者に対してそれに見合う結果をもたらすだけなのである。
しかしそんな私には今1つの願いがある。妻を殺すのだ。
妻とはよく行く喫茶店で出会った。一目惚れだった。
そんな運命的な出会いからわずか半年で妻が他の男の家通っているのを見つけてしまい、現在その浮気者を殺す算段を立てているのだ。
私はこの度、この願いを叶えるための努力を惜しまなかった。
まず男が何者かを調べるよう探偵に依頼をした。この依頼に探偵は最初不穏な表情を浮かべた。しかし相場の倍の額を払うと言うと受けてくれた。
次に凶器の選定と殺した後にどのように隠蔽工作をするのかの手順を整えた。凶器はシンプルに包丁を選んだ。その方が裏切られた憎しみを込められると思ったからだ。
隠蔽工作はネットで調べた代行サービスに依頼した。この類いは経験豊富なプロに頼むのが一番だ。
こんなに時間とお金をかけたのだ、今回こそは怠惰の神様も見逃してくれるだろうと思った。
決行の当日、妻が男の家に入るのを見届けてからドアノブに手をかけた。
鍵はかかっていない。基本的に家にいる時は鍵をかけないことは探偵の調査で把握済みである。
音を立てないように扉を開け、二人がいるであろうリビングへと向かう。
廊下を移動しながら人生初めての成功を想像し胸が高鳴る。
包丁を掲げながらリビングに飛び込む。
男が私に気がつき「誰だ、お前!」とおびえた顔で叫ぶ。無理もない、こちらは調査で知り尽くしているが向こうは何も知らないのだ。
そのままゆっくりと妻を見る。妻も男とそっくりな表情で「誰なの?」と小さな声で言う。おいおい、浮気しているからといって誰はないだろうと思いつつ包丁を振り上げる。
ん?そこで私はある事に気がつき、つい笑ってしまった。
嗚呼また私は失敗したのだと私は思った。今回の願いは「妻」を殺すことであった。
しかし私は今目の前でおびえている女性を「妻」にするための努力をまた怠ってしまったのだ。
幼い頃、私は仮面ライダーになりたかった。しかしその夢は叶わなかった。
小学校の頃、野球クラブに入った私は同じクラブの子たちと同じようにプロ野球選手になりたかった。
しかしプロ選手になるどころか小さなクラブのレギュラーになることすら叶わなかった。
中学生になり、私はできるだけ偏差値の高い高校に行こうと考え周りの子が遊びや部活に打ち込む中、塾に入った。
しかし受験に失敗し滑り止めの高校に進学することになった。
高校生の頃バンドをやりたいと思い立ち、ギターを買った。
しかし仲間が集まらず演奏することは叶わなかった。
その後も大学受験に失敗し、就職活動でも食品メーカーを目指したがひたすらお祈りが続き、結局地元の工場に就職した。そしてその工場も働き始めて三ヶ月あまりでやめてしまった。
神様なんていやしないと考えたこともあった。しかし神様は確かに存在し私を見ているのだ。要するに私は今まで願うばかりで努力をしていなかったのである。
幼少期仮面ライダーになりたいと言いながらも自転車に乗る練習すらしなかった。
小学生の頃周りの子が練習をする中サボって家でゲームをしていた。
受験勉強も塾に行くだけで満足していたし、バンドメンバー集めの声かけもせずにギターも一週間でやめた。就職活動もどうにかなるとたいした対策も行っていなかった。
つまり神様は努力した者に良い結果をもたらすのではない、怠け者に対してそれに見合う結果をもたらすだけなのである。
しかしそんな私には今1つの願いがある。妻を殺すのだ。
妻とはよく行く喫茶店で出会った。一目惚れだった。
そんな運命的な出会いからわずか半年で妻が他の男の家通っているのを見つけてしまい、現在その浮気者を殺す算段を立てているのだ。
私はこの度、この願いを叶えるための努力を惜しまなかった。
まず男が何者かを調べるよう探偵に依頼をした。この依頼に探偵は最初不穏な表情を浮かべた。しかし相場の倍の額を払うと言うと受けてくれた。
次に凶器の選定と殺した後にどのように隠蔽工作をするのかの手順を整えた。凶器はシンプルに包丁を選んだ。その方が裏切られた憎しみを込められると思ったからだ。
隠蔽工作はネットで調べた代行サービスに依頼した。この類いは経験豊富なプロに頼むのが一番だ。
こんなに時間とお金をかけたのだ、今回こそは怠惰の神様も見逃してくれるだろうと思った。
決行の当日、妻が男の家に入るのを見届けてからドアノブに手をかけた。
鍵はかかっていない。基本的に家にいる時は鍵をかけないことは探偵の調査で把握済みである。
音を立てないように扉を開け、二人がいるであろうリビングへと向かう。
廊下を移動しながら人生初めての成功を想像し胸が高鳴る。
包丁を掲げながらリビングに飛び込む。
男が私に気がつき「誰だ、お前!」とおびえた顔で叫ぶ。無理もない、こちらは調査で知り尽くしているが向こうは何も知らないのだ。
そのままゆっくりと妻を見る。妻も男とそっくりな表情で「誰なの?」と小さな声で言う。おいおい、浮気しているからといって誰はないだろうと思いつつ包丁を振り上げる。
ん?そこで私はある事に気がつき、つい笑ってしまった。
嗚呼また私は失敗したのだと私は思った。今回の願いは「妻」を殺すことであった。
しかし私は今目の前でおびえている女性を「妻」にするための努力をまた怠ってしまったのだ。
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