“彼”

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1.友達からのメール

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“彼”と出逢ったのは、私が高校二年生の時。

一つ上の彼が部活を引退した秋のある日、友達からの一通のメールが始まりだった。

《れいちゃん、駿くんに興味なぁい?♡》

正直、興味ないどころか名前と顔だけはわかるかな?くらいの私。
しかもその時の私は、前の彼と別れて間もない頃だった。

《東さん?なんで?》

一応先輩だし、はっきり興味ないとも言えず、曖昧に返した。
それがたぶん友達にはOKと捉えられたんだろう。

《駿くんがれいちゃんとメールしたいみたいだから、嫌じゃなければメアド教えとくね♡とりあえず話してみてくれたらいいから♡》

《よくわかんないけど、私は何もしなくていいんだよね?》

《大丈夫!駿くんにメール送るように言っておくから!》

この友達は小さい頃からいつもこんな感じ。
強引なようなそうじゃないような。
押しつけてくるわけじゃないんだけど、結局YESに持っていく。
それが彼女の魅力でもあって、優柔不断な私はそんなところも好きだったりする。


だけど、それから数日…
彼からのメールは未だに来なかった。

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