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42.最後までいい人
しおりを挟むGWは、それぞれ進学のために地元を出ていた友達も帰ってきていて、私は毎日のように遊び歩いていた。
夜中3時頃に帰った時は、さすがに父に叱られた。
その時間まで起きていた父にもビックリしたが、自分が親になった今なら心配かけていたことがよくわかる。
そんなこともありつつそれはそれで満喫していたが、ヤットとの約束の日が近づくにつれ、何て言えば納得してくれるのかを考えていた。
そして約束の日。
あまり長引かせたくなくて、ヤットとの約束の後に友達との約束も入れていた私。
そうすることで、この重たい現状からの逃げ道を作っていたのだと思う。
本音を言えばヤットには会いたくない気持ちの方が強かった。
でも、会うことがせめてものケジメだと思った。
会って、むしろこんな自分勝手な私を嫌ってくれたらいい…と。
今思えばそんなことばかり考えて全然真摯に向き合えず、最低だったなと思えるけれど。
いよいよ待ち合わせの時間になった。
ヤットは私の家の近くまで来てくれていた。
めちゃくちゃ気まずいけれど、ヤットはこんな状況でも久しぶりに会えて嬉しいと言った。
そんな風に言われて、私はどう切り出せばいいか戸惑った。
それと同時に、早く言ってしまわなければとも思った。
「…私、考えたよ。」
「うん、ありがとう。」
「でもやっぱり気持ちは変わらない。」
「やっぱり東さんが忘れられん?」
「ううん、東さんは関係ない…」
「…そっか。ごめんな。俺が忘れさせるって言ったのに、有言実行できなかった。」
「それは違うよ!ヤットに救われた事は確かだから!」
駿二は関係ないと言ったけれど、たぶんヤットは私の心のどこかにまだ駿二がいることを感じたんだと思う。
ヤットは何も悪くないのに自分が悪いかのように、私に罪悪感を持たせないようになるべく明るく色々言ってくれた。
沈黙さえ作らないように。
こんなにいい人なのに…
それでも私はヤットに戻る気はなかった。
ここで戻れば、それこそ失礼だ。
そして最後にヤットは「別れても友達でいてくれるか?」と言ってくれた。
考えていたことは何一つ言えず、その上を言ってきたヤットには本当に感謝だった。
少しだけネタバレすると、今でもヤットとはお互いの誕生日にはメールを送り合う仲だ。
そして未だに私のことを「俺にとっての(タッチの浅倉)南ちゃんだ」と言う。
その例えはよくわからないし、真意も謎なのでスルーしている(笑)
ちなみにヤットも今は既婚者(再婚)です。
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