おもちゃ箱

コユメ

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ほんのちょっとの好奇心

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好奇心で人を殺してみた。
その結果俺は少年刑務所に服役中だ。
どうやら罪を償っている最中らしい。
俺の殺した奴等の冥福を祈れと言うが馬鹿じゃないのか?
くだらねー、俺には贖罪の気持ちなんて、これぽっちもねぇよ。
それに俺だって馬鹿じゃねーよ
ちゃんと考えて10代でやってやった。
顔名前は未成年で出ない事ぐらい知ってたし、更生の余地ありで罪も軽い。
殺した数も二人。
死刑になんて、な、ら、な、い。
それに数年間此処で我慢していれば、そのうち出れるしなー。
まぁ多少の精神鑑定ぐらいは我慢してやるよ。
そしたら!晴れて新しい戸籍と名前をゲットして新しい人生の始まりだ!
あー俺って頭が良い!

数日経ったある日俺は他の施設に移動が決まった。
そこは白い壁が印象の綺麗な建物だった。
とても刑務所とは思えない造りだった。
前に居た少年院とは雲泥の差だった。
こんな綺麗な所で暮らせるなんてラッキーだ。
すると奥から、ここの職員だと言う男が出て来た。
俺は
「あの、今日からお世話になります。」
そう言うと男は無表情で
「そう云うのは結構です。この施設の案内するので付いて来てください」
この偉そうな態度にイラッとしたが俺は我慢した。
折角此処まで心証良く来たんだ、ここでフイにしたくない。
俺は黙って男の後ろを歩いてると男は前を向きながら俺に一言
「少しは…考えた方がいいですよ。」
と、はぁ?何が言いたいんだこいつは?
ああ、もしかして俺が殺した奴等の事か?だったら、くだらねーと思ったが
「分かりました。」
いい子風で答えた。
なんせ、ここは厚生施設だ取り敢えずは従順に従っている振りをした。
すると男は俺に
「この施設内であれば何時でも自由に歩き回れます…」
ビックリした前の少年院では許され無かったのに内心俺は笑いが止まらなかった。
ヤッパリ俺はついてる!
男は一通り内部を説明すると他に仕事が有ると行ってしまった。
俺は早速散歩がてら外歩くことに決めた。
まぁ外と言ってもデカイ塀に囲まれてはいるが天気も良く散歩するには丁度いいし監視が居ないのは楽だ
それにしても他の受刑者いねーな?
部屋にでも籠もってんのか?
引きこもりとかマジウケるな。
ふと人が視界に入った。
そこは塀の日陰にベンチと椅子が置いて有りそこで男が静かに本を読んでいた。
オレは意気揚々とその男に近き愛想良く
「はじめましてー!俺今日から此処でお世話になりますー!」
馬鹿にしたように言うと。
男はチラッと視線を上げただけで、また本を読み出した。
流石にイラッとし男の持っていた本を払って捨ててやった。
どうする?
おこるか?
ワクワクと待ってたのに男は本を拾い、また読み出した。
何だコイツ気持ち悪!
もう、いいや他の所にでも行くかー。
今度は施設内のプレイルームに着いた。
そこでは人形と遊んで居る男が居た。
後ろから近寄り見ると、
「ほら、お腹が空いたでしょ?ごはんだよ?」
いい年の男がおままごとをしていた。
コイツもヤバイな。
関わるのをよそうとしたが、いつの間にか男はオレを見ていた。
そしてニコニコ笑った。
さっきの奴とは打って変わって、コイツは気味が悪い。
オレは仕方無く自分の部屋に行くとドアにネームプレートが俺の名前では無くて
「おもちゃ」
と書かれてる何だこれ?俺を馬鹿にしているのか?あの男!
と考えて居るとたまたま通りがかった職員に
「おもちゃっておかしくないですか?」
言ってやった。
すると職員は言葉少なに
此処の施設の名前が「おもちゃ箱」だと言われているだそうだ。
何だそりゃ此処を造った奴は相当おめでたい奴だったんだろう。
馬鹿馬鹿しい
俺は疲れてベッドに倒れ込みそのまま眠ってしまった。
夕方18時ご飯だと起こされた。
朝案内した職員だった。
どうやらここの施設の職員は数人だけで管理していると、それも夜になると帰ってしまうらしい、どういった放任主義なんだか
「へー!だったら夜に出歩いてても良いよな?」
馬鹿にするように聞くと、職員は淡々とした口調で
「怖くないのであれば良いのでは?」
その言葉にカチンと来て
「ああ?怖くねーよ。オレが何をして此処に居ると思ってんだ?お前!良いぜ深夜にお散歩でもしてやるよ?」
俺の言葉に男が鬱蒼と笑った。

深夜を過ぎたあたり。
部屋を出て廊下に出ると暗く非常灯がついているだけだった。
これぐらいだったら歩けるし。
なんだよ全然怖くねーじゃんか。
オレは肝試しでもするかの様に廊下に出たはいいが、どうするか?
このまま部屋に戻るのは癪に障るし、あの職員の男がもし監視カメラでも確認でもして俺が直ぐに部屋に戻ったのを見たら良い笑い者だ。
少し考えて、そうだ昼間あの男が座って本を読んでいた居たベンチ迄行って引き返すか!
目的が有るのと無いのでは意味が違うしなー
そんな事を考えてながら歩いているとだいぶ暗闇にも大分慣れて来た。
遠くに白いベンチが見える。
おお!後もうちょっとでゴール。

ん?………あれは、なんだ?

何か見える。
なんだあれ……。
人?
そこには、どうしてか昼間の男がまだ居た。
男はそこで本を読んでいた。
この暗闇で。
そして本から顔を上げるとオレを見た。
オレは思わず後ずさりをした。
すると男はニタリと笑いながら持っていた本から栞を取るようにスッとナイフを取り出した。
オレは叫んだ。
そして男が持っていた本の表紙が見えた。
『臓器の全て』
俺走った。
後ろも見ずに
死にたくない!
死にたくない!
死にたくない!
この恐怖から少しでも逃れるように必死に走った。
でも何処に?誰に助けを?
そうだ!部屋に!
死にものぐるいで自分の部屋に、でもここは鍵が掛からない!
何処か隠れる場所は……
隠れる場所はベッドぐらいしか
それでも隠れないよりは、ましだと俺はベッドの下で息を殺した。
どうにか朝まで持ちこたえれば職員が来てくれる。
それまでだ
しばらくすると遠くで、キィ、バタン。
と廊下でドアを開けて閉める音がする奴が俺を探してる。
奴は何か重い物を引きずっているのかズルっズルと嫌な音がする
「…!」
段々近付いて来る
そして遂に俺のドアの前で止まり
キィ。
ズルっズルっ。
近づいてくる。
奴の手には斧が
引きずるような音はこれだったのか!
恐怖で寒気が
バレませんように!
バレませんように!
必死に祈った。
居ない俺に奴は怒ったのか持っていた斧で床を
ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!
何度も何度も斧を床に突き刺して居たのがピタリと止まった。
「!」
このまま出て行ってくれ!
頼む!
すると男の足が出口の方に行ったと思った
ヤッタ!これで、助か、、
瞬間振り返って男がしゃがんだ。
目が合った。
男がニタリと笑った。

早朝いつもの様に施設の鍵を開け中に入ると血の臭いがした。
職員はロッカーの中から掃除用具を取り出し。
昨日入った『おもちゃ』の部屋に入るとベッドに突き刺さっている血のついた大きな斧があった。
そしてベッドの下から何かを引き摺り出したかのような血の後が
職員は黙って掃除をした。
そして引き摺った後を辿るとベンチの所で終わっていた。
そこには男がいつもの様に本を読んでる。でも昨日と違うのはテーブルの上には、臓器がキチンと綺麗に並んでいた。
職員はそれを黙認すると掃除用具を片付けた。
そして今度はプレイルームに行くと、いつもの様に男が人形と遊んでいた。
その人形はいつも遊んでいる人形ではなく一般の成人男性の大きがあった。
そう昨日まで生きて居た、あのおもちゃに良く似ていた。
人形は目を抜かれ、その部分はぞんざいに縫われて間から綿が出ていた。
たぶん腹も同じように縫われているのだろう
職員はそれに満足し管理室に戻った。
そして何処かに連絡した。
「はい。新しいおもちゃは気に入ったようです。それで次のはいつ届きますか?」
電話口から
「しばらくは無理だな。そう、更生の見込みが無い10代は余り手に入らないんだ。もっと馬鹿が欲しいんだがね。」
「…そうですか。でも当分はは大丈夫そうです。大分あのおもちゃ気に入っているようなので」
「そうか、では次が決まったら連絡する。」
電話が切れた。

此処は猟奇殺人者専門の施設。
定期的に猟奇殺人者に、おもちゃを渡さないと職員に被害が出てしまう、その為反省も無く更生の見込み無しと判断された10代がおもちゃとなる。
加害者の両親にも了承済みだ。
この先アレに出て来られても困るんだと
だったら少しでも役に立つのならばと
それに自分が殺した人達の気持ちも味わう事が出来たんだ。
社会の癌となる者が死んだんだ何の問題も無い。

さて、次のおもちゃはいつ来るのだろう?
今度のおもちゃは、どれだけ持ってくれるだろうか?
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