生涯年収

コユメ

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あれ以来圭の消息が分からなくなってしまった。
大学にも来て無い様で他の奴等に聞いても

「はぁ月村?しらねーけど、つーか俺等よりお前の方が仲良かっただろ?」

と聞かれる始末だった。

「いや最近俺忙しくてさー」

そう言うと

「そうなんか、俺等も見てないよな?」

「ああ」

そう言われ俺は何度も圭のアパートにも行ってみたが圭がアパートに帰っている気配が無くて諦めかけていた。

「……チッ!どこに居んだよ!」

俺はどうしても圭に聞きたい事があった。
最初俺は夢子が目の前で死に犯人が圭だと決めつけていたが…今は少し違う
あの時は色々な感情で正常に考えられなかったが…後に冷静になってふと思ったのは、俺が知っている圭は殺人をするような人間では無いそんな事は分かっていた筈なのに俺が夢子の事が好きだったから、いつもは出来ていた判断が出来なくなっていた。
そして冷静になった今だからこそ圭に会いたい!
会って本当の事を聞きたい!
俺は時間を見つけては圭が寄りそうな場所を探した。
今日も何度も通っている圭のアパートに行こうと歩いて居ると、一人の子供がメモを片手に辺りをキョロキョロと見渡していた。
俺は迷子だろうかと

「どうした?迷子か?」

声を掛けると子供はオロオロと

「え、あの、はい、ここに行きたいんですけど、良く分からなくて」

差し出されたメモを見ると圭のアパートの名前が書かれていた。

「ああ、なんだ俺も今からここに行こうと思ってたから一緒に行こう」

すると子供は、パッと嬉しそうな顔をして

「良いんですか!ありがとうございます。僕航と言います。」

俺に頭を下げた。
俺は手を振り

「航君か俺は岩崎だよろしく、それじゃ行こうか?」

「はい!ありがとうございます」

俺は道すがら子供と喋りながら歩いた。

「そうか航君はお兄さんに会いに行く途中なんだ?」

航君は嬉しそうな顔で

「はい!そうなんです!兄さんに会うのは凄く久しぶりで!楽しみで僕」

その言葉に、どうやらお兄さんとは一緒に暮らして居ない様だった。
俺は

「それは、楽しみだね」

そう言うと航君は暗い顔で

「でも、今日いきなり行って迷惑って言われたら…僕…」

泣きそうな航君に俺は慌てて

「何いってるんだよ!弟が来て嬉しいに決まってるよ!」

そう声を荒げるとと航君は小さな声で

「…でも僕達本当の兄弟じゃないんです…」

思わず

「え?」

「僕のお母さんと兄さんのお父さんが結婚して僕達本当の兄弟じゃないから…この住所のメモも最近ようやく兄さんが教えてくれて…僕嬉しくて…来ちゃったけど…もし迷惑って言われたら…」

航君はメモを大事そうにギュと握りしめた。
…だからアパートの場所を知らなかったのか
何も言えずに居ると航君は俺の顔を見て焦った顔で

「あ!ごめんなさい!気にしないでください!きっと大丈夫ですから!」

そう言われたが、どう返したら良いのか分からなかったがぎこちなく

「そうだよね大丈夫だよ!…うん!」

としか言えずに居ると見知ったアパートが見えて来て内心ホッとした。
俺も何度がこのアパート来てるけど航君のお兄さんらしい人を見た事が無い、すれ違うのはオッサンばかりだったような?
俺は、なんとなしに

「そう言えば部屋は何処なの?」

聞くと航君はメモを見て

「2階の…ここの部屋みたいです」

メモには絵で2階の部屋に丸が書かれていた。

「!」

それを見て俺は固まってしまった。

「え、ここは圭の部屋じゃ?え?」

と思わず声に出ていた。
すると航君もビックリした顔で

「兄さんのお友達なんですか?」

「友達…まぁ…一応」

今は微妙とは言えず返すと航君は嬉しそうに

「て事は岩崎さんも兄さんに会いに来たんですか?だったら一緒に行って貰ってもいいですか?僕一人だと心細かったので!」

俺は、どうしょうかと悩んだ。
でもそうか航君が一緒に居れば圭に会って貰えるかも知れない!
俺だってちゃんと合って話がしたい!

「そうだね!分かった一緒に行こうか!」

そう言い俺達は階段を上がり圭の部屋の前に来た。
そしてインターホンを押すと航君が緊張した声で

「あの!兄さん僕です!航です!」

声を掛けたが中からの返答は無かった。
航君はガッカリした様子で俺に

「あの…すいません…折角一緒に来て貰ったのに…」

謝る航君に

「あ、いや、俺は全然大丈夫だよ!それより航君は大丈夫なの?」

聞くと航君はポケットから鍵を出して

「これがあるんで…大丈夫です。もし居なくても鍵を貰ってるので中で待ってようかと…」

そう言い航君は鍵を開けて

「あの、もしよろしかったらどうぞ?」

「え?でも…いいの」

聞くと

「はい!大丈夫ですよ僕はともかく岩崎さんは兄さんの友達ですし、それに待ってれば兄さん帰ってくるかもしれませんし」

それはそうかもしれない…
流石に弟が来ているのなら圭に会えるかもしれないと俺は部屋に入った。
航君は部屋の中をキョロキョロと見渡して俺に

「あの、岩崎さん座ってて下さい!今お茶いれますので」

俺は慌てて

「いいよ、いいよ!大丈夫だよ気を遣わなくて!」

「でも兄さんの友達ですから!」

そう言って冷蔵庫を覗いて

「やっぱり兄さん…ちゃんとしてる」

冷蔵庫に作られた麦茶を出してコップに注いだ。
俺は手持ち無沙汰に部屋を見回して
圭とは仲は、よかったが部屋迄は来た事は無かったなと物珍しく見ていると航君が

「あの、どうぞ」

と俺の前に麦茶を差し出してきた。

「あ、ありがとう」

そう言い麦茶を飲むと航君は俺の向かいに座り

「そう言えば岩崎さんは兄さんに何の用だったんですか?」

航君の言葉に一瞬俺は沈黙してリュックから手紙を取り出して

「実は俺…今圭と喧嘩?みたいな事になってて…それで今日圭に会えるかなって思ったんだけど、どうやら俺…圭に避けられているみたいで…最悪手紙だけでも呼んでもらえないだろうかと思って…」

手に持っている手紙をじっと見ていると航君が急にニコっと笑い

「そう…なんですかー!それは御愁傷様ですねー!」

「…え?」

航君の楽しそうな声に意味が分からず顔を上げると航君が楽しそうに笑っていた。
思わずゾッとした。
さっきまで航君と同一人物だと思えない顔だった。
誰だこいつは…

「?え…あれ…何で…?おかしい…」

貧血だろうかグラグラする視界が狭い…顔を上げると航君が麦茶をじっと見てニタリと

「へー!これ良く効くなー!おっと岩崎さん?大丈夫ですか?僕の言葉聞こえますかー?岩崎は今から…」

なに?
何か言ってる…
よく聞こえない…
意識が朦朧として指一本動かせない…が航君から目が離せない

「さて…と、包丁は何処だっけ?」

航君は俺に背を向けて

「え?持って来たはず?何処?」

「あーハイハイそこね、ありがとう!」

誰かと話ている?
誰も居ないはずだけど…
目だけ辺りを見渡しても誰も居ない

「さて、岩崎さん?僕の言葉聞こえていますか?」

呆然と航君を見ると航君は、ため息を着き

「はぁ…もう一度言いますね?岩崎さんは今から死にますが流石に可哀想なんで、岩崎さんのお手紙は僕が責任持って兄さんに届けてあげますね?」

そう言う航君はとても嬉しそうな顔で俺に

「岩崎さんの死は無駄にしないので安心してください!」

そう言い手に持っている包丁を俺に振り下ろした。

「ドン!」

あれ、息が苦しい?

「ドン!」

何だか寒い?

「ドン!」

此処は何で暗い?

「ドン!」

何で?



「ふー終わったぁ!疲れたー!」

初めて人を殺したけど疲れた。
それに何処まで刺せば良いのか分からず何度も何度も刺したせいで、もうグチャグチャで原型が分からなくなっていた。
鏡に写る自分を見ると返り血で顔も服も真っ赤だった。

「流石に気持ち悪いなー、おえー!お風呂はいろーと!」

血塗れまま僕はお風呂に向かいかけて

「あ!そうだ!忘れてた!」

テーブルの上には返り血が着いた手紙を持って来たリュックに入れて

「これでよし!お風呂に入ろっと」

とお風呂場に向かった。

そしてお風呂で血を綺麗に落とし上がると部屋に、さっき迄そこにあった死体が居なくなっていた。
部屋には大量の血痕だけが残されていた。

「相変わらず、仕事が早いなー」

そう言いながら冷蔵庫の麦茶を飲もうとすると

「航駄目よ!それ飲んじゃ!」

そう言いながら僕の手から麦茶を取ってシンクに麦茶を流した。
僕は

「そうだった!ありがとう」

「…ねぇ?あれ本当にお兄さんに渡すの?」

僕はリュックを見て

「うん!岩崎さんの大事なお手紙だからねちゃんと兄さんに渡すよ!」

僕の言葉に

「そう…」

と返すとそのまま黙った。
僕は鼻歌を歌いながらリュックを抱き締めた。

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