アオのセカイ

コユメ

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角を曲がると屋敷の門に寄り掛かって待っていたスオウさんが私達に気付き出迎えてくれた。

「おかえり、ずいぶん遅かったな」

座長は疲れた顔で

「ああ、色々あってね…それで皆は?」

と聞くと

「もう皆休んだ。」

スオウさんが言うと座長は一言

「そうかい」

と頷いた。
これでお開きだろうと

「それじゃ…私も」

部屋に戻りますと言いかけると座長が振り返り

「待ちな!アオお前には、まだ話があるからあたしと部屋まで一緒に来ないかいね?それとクロとスオウお前達はもう休みな」

「……。」

そう言われたクロは何か言いたそうだったが結局何も言わず頭を下げて下がった。
座長の言葉にスオウさんもうなずき

「分かった。俺はこれで失礼する」

と言うと座長が頷き

「ああ、今日はご苦労さんまた明日も頼むよ」

座長がスオウさんに労いの言葉をかけるとスオウが頷いた。
私も

「スオウさんお休みなさい」

と言うとスオウさんは少し笑い手を上げて戻って行った。

「アオ行くよ」

「はい…」

と座長に呼ばれ私は疲れて重い足を引きづり座長の後に付いて行った。
部屋に入ると座長がソファに深く座り

「ほら、アオそこに座んな。あんた達も座んな」

座長が顎で言い私は渋々座長の前に座ると、ベルは嫌そうな顔をしながら私の隣にドカリと座った。
そして私に

「チッ!」

と舌打ちした。
何だ感じが悪いなと睨むと

「こら!ベル!何て態度だ!」

とショウさんがベルを窘めるとベルはフン!と横を向いた。

「本当にごめんね?」

と申し訳なさそうにショウさんが座長の横に座った。
ベルの態度はムカつくけどショウさんの手前そうとも言えず、

「いいえ大丈夫ですよ」

と答えるとベルが私を睨み

「お前なぁ!今後何か思い付いたら何が何でも俺に通せ!いいな!分かったか!」

と怒鳴られポカンとしてると座長が私とベルを見て

「はぁ…お前達一体何があったのか最初から全部説明しな、いいね」

と言われたけど、何の事か分からないと首を傾げるとベルがため息を付きながら

「はぁ…お前マジかよ…分かった俺が話すからお前は黙ってろ」

と疲れた顔で今まであった事を説明すると、座長とショウさんが

「…それで?」

「最終的には用水路を造る人間の確保が出来て水問題が解決した。以上だ。」

「…ええ?本当!それが出来れば凄いよ!これが解決出来たら水不足が無くなる!」

嬉しそうなショウさんと対照的にベルが

「…それが出来れば凄いだろうが、それらの窓口は俺達でもそう思うのか?」

とショウさんに言うとショウさんが青い顔で

「え?は?どういうこと?…嘘でしょ?本当?」

と私を見たけど私はショウさんの顔を見る事が出来なかった。
下を向いて黙ってると

「……」

「ねぇ!嘘だよね?」

ベルがソファから立ってショウさんの肩を叩きながら

「明日から物凄く凄い忙しいと思うが頑張れよ!」

「うそー!」

悲鳴を上げるショウさんに座長がにこやかに

「ショウ良い事じゃないか、これで万年水不足に活路が見いだせるんだ…まぁ頑張れよ!」

「それはそうなんだけど…えー!どうしよう!」

と頭を抱え部屋の中をうろつくショウがいきなり立ち止まり

「ハッ!こんな所でこんな事してる場合じゃない!急いで明日の準備しないと!」

と振り返り

「それじゃ僕はこれで失礼するよ!」

と挨拶もそこそこで部屋を出て行ってしまった。

「全く良い年して元気なもんだ…」

その様子を座長が呆れながら言うと

「もう、何張り切ってるんだよ…今日はもう休めよ、それに皆もう寝てるだろう!」

ベルは、ため息を付きながら立ち上がり髪をガリガリとかきながら部屋から出ていこうとドアに手をかけた。
暴走したショウさんを止めに行こうとしてるんだろうとベルにお休みと言おうとすると

「お前さぁ…」

「ん?…何?」

沈黙の後小さな声で

「…ありがとうな」

聞き取れるギリギリの声で言うと、ドアを乱暴に開けて、そのまま出て行ってしまった。
私は、お礼を言われた事にビックリしていると座長が真剣な声で

「アオあんたは…この国をどうにかしたいのかい?」

座長の言葉に

「そんなつもりは…」

無いだって。私が知ってる事は向こうの世界で誰も皆が知ってる一般的な知識だ。
そんな大した事じゃない筈…
黙った私に座長が

「そうかい…分かった。もう夜も遅い部屋に帰って休みな?」

私は頷いて

「はい…それじゃお休みなさい」

と部屋を出ると一気に疲れが出て…これでようやく部屋で休めると廊下を歩いてると向こうから

「おー!アオじゃん!」

「本当だーアオだー!」

双子のククとココだった。
スオウさんは皆休んだと言ってたけど、と2人を見るとククとココはニヤニヤと笑いながら近付いて来た。
私は頭を下げて

「お疲れ様です」

と言うとククとココは回りを見て

「お前帰ってきたのかー」

「はい」

と答えるとククとココが頭の後ろに手をまわしてこちらを窺う様に見てくる私はこの双子が何だか苦手だ…何が苦手かは分からないが苦手だ。
すると双子は首を傾げて

「何だ?」

「俺達の顔に何か付いてるのか?」

と聞き返されて内心私は焦りながら

「いや…スオウさんが皆は休んだって言ってたから」

ククはココと顔を見合せて頷き

「ああ俺達は、お前が考えた洗濯板を今までずっと追加で造らされてたんだよな?クク」

「ああ、うん本当大変だったよな?ココ」

ククとココは合わせ鏡の様に同じ様に首を傾げ私を見た。

「…追加ですか?」

「ああ、お前がコウスイの村で造ってもらったやつを試しにここでも売ってみたら全部売れたのは良いんだがなー?」

「そうそう、買えなかった奴らが押し寄せて来て、仕方無く俺達が造る羽目になってんだよなー?」

「それは…大変でしたね」

「そうだろ?明日またスオウさんと俺達で作るんだよな…マジやりたくねー」

「本当だよなー、ただでさえ公演もあるのにさー」

「だよなー面倒だよなー」

「お前さー考えるのは良いけど俺達の事も考えろよ」

「だよねー?そりゃこの洗濯板が売れれば当面のお金には困らないが俺達は公演の準備をしながら洗濯板を作るんだからな?」

「…すいません」

と頭を下げ確かにククとココの言う通りだ…
自分は言うだけ言って、実際作ってくれたのはコウスイの村の職人とスオウさんとククとココだ。
皆が喜んでくれて居たからいい気になっていた。

「……」

顔を上げられずにいるとククとココが
疲れた声で

「はぁ…もう行こうぜクク」

「ああココ」

と行ってしまった。

「……。」

さっきベルが言ってたのはこういう事だったのだろうと自分が恥ずかしくなった。
いつの間にか自分の部屋に一人立っていた。

「……」

いつどうやって戻ったのか分からないフラフラとベッドに倒れると

「何かあったのか?」

ゆっくりと顔を上げると部屋の角にクロが居た。
勝手に部屋に入られても怒る気力も無い

「…何も」

ボソリと言い目をつぶると

「そうか…」

と部屋を出ようとするクロに

「大丈夫」

と答えると

「別に心配などしてない」

「そっか…」

布団をめくり中に潜り込むと

「お休み」

と聞こえた様な気がした。
その声に泣きそうになった。













    

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