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一人洗濯場まで急いで戻った。
洗濯場にはもう誰も居なかった。
さっきまでの喧騒も無くただ雨の音が響いていた。
そっと軒下まで行き外を見ると近くに川があった。
氾濫した川と云うのはこれなんだろうか?
濡れるのも構わず川を覗き込むと流れが早く水量も多いが水は澄んでいて綺麗だ。
魚が泳いでいる。
もしかして夕飯に出た魚はこれかな?と見ていると背後から声を掛けられた。
「そんな風にしてると落ちるぞ?ガキは頭が重いから気をつけな」
その言葉に振り向くとそこに居たのは、あの洗濯場の男だった。
「私の事が小さな子供に見えるのなら視力相当悪いんですね、おじさん?」
嫌味で返すと男は嫌な顔をし
「お前可愛くねーな」
男を無視し踵を返し干してあった洗濯物を取り込んでいると男も何故か後ろをついて来る。
何か言いたそうだったのを無視していると男はシビレを切らしたのか
「なぁ?お前劇団の人だよな?」
洗濯物を持ち男を胡乱げに見ると男は挙動不審にソワソワとしている。
その姿にため息が出た。
「そーですよ。それが何ですか?」
男は待ってましたとばかりに
「オレはリューイって言うんだ。」
何だろ…何かを期待する目で見られても困るんだけどと少し考えて
そう言えば…此処の集落の事少し気になっていたし、この男に聞いてみようか?
うん、コイツでいいか
「あの、少し聞いても良いですか?」
「お、何だ?何でも聞いてくれていいぞ?ただ…」
「ただ、何ですか?」
いやに歯切れが悪い
「いや、なに。サラサさん綺麗だなと思ってさ」
ようやく合点した。
サラサに気があるのか。
「ああ、もしかして私に紹介しろって事ですか?でも私彼女とはあまりと云うか全然親しくは無いですよ?入ったばかりなんで」
私の言葉にあらかさまにガッカリしたようだったが気を取り直し
「そうなのか、あ、でも何でも聞いてくれて良いぞ?オレの好物とか! 」
一瞬止めようかと思ったがリューイは既に聞く気マンマンで諦めた。
「じゃあ、お聞きしますが何で民芸品の他に収入源は無いんですか?このままだと水害が起こる度に集落のお金に手をつけるしか無いんですよね?」
私の言葉にリューイは流石にムッとしたようだった。
「俺達だって、そんな事は分かっている!好き好んでこんな生活をしている訳じゃ無い。…他に方法がないんだ。」
「え?嘘でしょ?色々あるでしょ?水害が起こらないように川の護岸工事とか、それに折角これだけの水量の川があるんだったら水車小屋作るとか色々あるでしょ?」
リューイは訝しげに
「すいしゃっこやて何だ?」
「え、水車知らないの?水の力で動かすものなんだけど……。だったら特産品を増やすのも手か?魚の干物とか?いやでも川魚の干物ってあるんだっけ?」
一人ブツブツ考えているとリューイは真剣な目でこっちを見てた。
その視線に思わずしまったと、こんな事余所者が言っても余計な事だろう。
「あの、すいません、何でも無いです。」
慌てて謝り持っていた洗濯物をカゴに入れて、そそくさと部屋に戻ろうと
「じゃ!失礼します。」
とサスイの横を通り抜けようとすると、いきなりリューイに首根っこを掴まれ
「オイ、お前ちょっとこっち来い!」
ヤバイと必死に暴れたが、うんともすんとも言わない何て馬鹿力だ。
リューイは私を肩に担いでしまった。
「うわ!」
荷物の様にして運ばれた場所はついさっき迄いた村長室だった。
リューイは何も言わず、いきなり足でドアを蹴って開けた。
呆気に取られているとリューイは勝手知ったるでズカズカと入っていく
「おい!フユリ居るか?話がある!」
部屋に居たのはフユリ一人だけだった。
フユリはビックリした様子だったが、こっちを見るとため息をつき
「リューイ!いつも言ってるだろう!ノックをしろ!足で開けるなと!」
呆れていた様子だったがフユリは私を見て
「サスイそれは何だ?」
「ん、ああこれは……よっと。」
私を肩からそっと下ろした。
とっさに逃げようとするのをリューイに首根っこ掴まれそうになり咄嗟に避け足を蹴ろうとしたのだが上手く行かなくてリューイの足と足の間にヒットしてしまった。
「ぐぁ!」
リューイは声も無くそのまま崩れ落ち床に無言でうずくまった。
「あ…。」
これは流石に不味かっただろか?
フユリに目を向けるとフユリは何とも言えない顔をしていた。
咄嗟に思ったのは逃げよう!
そうだそうしよう後ずさりした。
その時ガッと腕を強く握られた。
そして地を這うような声で
「ぐっう、お前な、そこは蹴っては、、駄目だと、教わんなかったのか、、、。」
痴漢暴漢には効くとは教わったけどここは……。
リューイは物凄い形相で私を見ているけど
「不可抗力です。そもそもあんたが無理矢理連れてくるからこうなったんです。」
「お前なぁ」
リューイが言いかけたが先にフユリが
「二人共落ち着いて一体何があったんだい?僕にも分かる様に説明を」
大分落ち着いたのかリューイは私の手を掴んだままソファにドカッと座り隣に無理矢理座さられた。
フユリはやれやれと向かいに座り
「君はさっき座長の挨拶の時に居たよね?確か青さんだったかな?」
「はい。」
答えると
「へー?お前青って言うのか?」
リューイは関心したように
「リューイ知らなくて連れて来たのか?またどうして」
「ああ、それはコイツがこの集落の今後に重要だからだ」
リューイの言葉に流石のフユリも訝しげに私を見て
「この子が?」
リューイが頷き
「おい、さっきお前が言ってたの、詳しくフユリに話せ」
一瞬リューイが言っている意味がわからずにいると
「すいしゃが、どうのこうのってやつだよ!」
その言葉にフユリが興味深々と
「何だい?そのすいしゃって?」
仕方無くさっきリューイに話した事をもう一度フユリに話した。
話終えるとフユリは何かを考える風だった。
リューイは真剣な顔でフユリを見ている。まるで何かを待っているようだった。
そして顔を上げたフユリに一言
「なあ、出来そうか?」
それにフユリは頷き
「ああ、任してくれ今後の将来がかかってるしな……所で青さん。」
「さん、は要りません青だけでいいです。それで何ですか?」
「君がさっき言った物はどのような構造何だろうか?」
「流石に詳しくは分からないんです。大雑把にしか、すいません」
「いや、それでも構わないから分かる範囲まで教えて欲しい」
フユリに詰め寄られ、ふと選択場に置いてきた洗濯物を思い出した。
早く戻らないとサクヤが心配するだろう
「あの私仕事に戻らないと…」
「そうか、そうだったね、……だったら誰かを手伝わさせよう!座長には僕から話をとうそう、それでいいかな?」
有無を言わさない雰囲気だった。
仕方無く頷くとそこから二人の行動は速かった。
フユリは人を呼び色々手配をしてしまった。
「これで良いよね?」
ニッコリと言われ
「…はい」
としか言い様がなかった。
それから絵を描いたりして説明をして、ようやく開放されたのは大分時間が経った後だった。
帰り際二人からまた明日迎えに行くと言われ疲れがどっと出た。
重い足を引き摺り来た道を戻るとさっき迄居た洗濯場に出た。
そうだった洗濯物取りに来たんだった。
洗濯物は回収されている様だった。
カゴは何処だっけと見渡すと軒下にそのまま置いてあった。
取りにいくとさっきより強く雨が降ってる。
しばらく一人ぼうっと見ていると
「何を企んでいる?」
ビックリした。
いつの間にか背後に人が居た。
振り返ろうとすると首筋に冷たい感触が見ると、そこにはナイフがあてられていた。
……このナイフどこかで見た
……そうだ!こっちに飛ばされて来た時に見たナイフだ。
だとすると…この男はあの時私を殺そうとした男。
途端緊張が走った。
真っ直ぐ前を見たまま男に
「私を殺すの?」
「死にたいのだろう?」
「…………。別にどっちでも」
その言葉は嘘じゃ無い。
「………」
男はどう思ったのか首筋にあったナイフが外された。
男がスッ離れたのがわかった。
無意識に首を擦っていると
「此処では殺さない…まだ」
その言葉に黙っていると不意に男は居なくなった。
その様子を感じて安心した。
ホッと息を吐いていると
「青?良かった此処に居たのか。」
ライアスがホッとした顔でこちらに歩いてきた。
「どうしたんだい?顔色が」
心配そうに聞かれたが首を振り
「何でもないです。」
「そう?だったらもう戻ろう座長達も心配していたから」
その言葉に頷き洗濯カゴを持って洗濯場を後にした。
不意にライアスがチラッと後ろを見つめていた事には気が付かなかった。
ライアスと座長達の部屋のドアを開けるとボタンが飛びついて来た。
「おねいちゃん!」
ビックリして抱き上げるとサクヤが困った声で
「中々帰って来ないからボタンが凄く心配していたのよ?」
抱っこしたボタンに目をやると安心したのかウトウトし初めていた。
サクヤにボタンを渡すとそのまま眠ってしまった。
「青、こっちに来な。」
座長に呼ばれ側に行くと座長は書類に目を通していた。
「全く一体何をしでかしたんだい?いきなりフユリからの使いの者が来て「青は、しばらくの間こちらで預かりたい。」と言ってきて何が何だかサッパリだよ理由を聞こうにもお前は何処にも居ないしフユリからは、これだよ明日から手伝ってくれる人のリストだよ一体何人貸してくれるんだろうねぇ」
どう説明すれば良いのか困っていると呆れた様にため息をつき
「今日は疲れただろう?もう休みな」
そう言われ挨拶をして部屋を後にした。
何故かライアスも一緒に付いてきた。
部屋は反対のはずと
「あの、一人で戻れますけど」
「うん、でも心配だから」
何が言いたいんだろうか…?
「私の事なんて、どうだっていいでしょう」
「何故そんなに自分を卑下するんだい?」
「要らない人間だから」
「そんな人間は居ないよ」
「私です」
ライアスが困った顔をした。
しまった。
「別に貴方を困らせようとかした訳じゃないんですが、でもあまり私に関わらないで下さい、どうせ此処には、お金を払うまでしかいませんし」
それだけ言うと早足に部屋に戻った。
チラッとライアスを見ると無表情だった。これでライアスは私に近づいて来ないだろう、これでいい、この方が楽だ。
ベッドに倒れ込んだ本当に今日はいろんな事があった。
「疲れたな、はぁ」
あの男……此処では殺さないって……だったらそれはいつ?
頭がグチャグチャしてまとまらない!
それに明日の事もあるし、もう考えるのをやめた。
そしていつの間にか眠ってしまっていた。
洗濯場にはもう誰も居なかった。
さっきまでの喧騒も無くただ雨の音が響いていた。
そっと軒下まで行き外を見ると近くに川があった。
氾濫した川と云うのはこれなんだろうか?
濡れるのも構わず川を覗き込むと流れが早く水量も多いが水は澄んでいて綺麗だ。
魚が泳いでいる。
もしかして夕飯に出た魚はこれかな?と見ていると背後から声を掛けられた。
「そんな風にしてると落ちるぞ?ガキは頭が重いから気をつけな」
その言葉に振り向くとそこに居たのは、あの洗濯場の男だった。
「私の事が小さな子供に見えるのなら視力相当悪いんですね、おじさん?」
嫌味で返すと男は嫌な顔をし
「お前可愛くねーな」
男を無視し踵を返し干してあった洗濯物を取り込んでいると男も何故か後ろをついて来る。
何か言いたそうだったのを無視していると男はシビレを切らしたのか
「なぁ?お前劇団の人だよな?」
洗濯物を持ち男を胡乱げに見ると男は挙動不審にソワソワとしている。
その姿にため息が出た。
「そーですよ。それが何ですか?」
男は待ってましたとばかりに
「オレはリューイって言うんだ。」
何だろ…何かを期待する目で見られても困るんだけどと少し考えて
そう言えば…此処の集落の事少し気になっていたし、この男に聞いてみようか?
うん、コイツでいいか
「あの、少し聞いても良いですか?」
「お、何だ?何でも聞いてくれていいぞ?ただ…」
「ただ、何ですか?」
いやに歯切れが悪い
「いや、なに。サラサさん綺麗だなと思ってさ」
ようやく合点した。
サラサに気があるのか。
「ああ、もしかして私に紹介しろって事ですか?でも私彼女とはあまりと云うか全然親しくは無いですよ?入ったばかりなんで」
私の言葉にあらかさまにガッカリしたようだったが気を取り直し
「そうなのか、あ、でも何でも聞いてくれて良いぞ?オレの好物とか! 」
一瞬止めようかと思ったがリューイは既に聞く気マンマンで諦めた。
「じゃあ、お聞きしますが何で民芸品の他に収入源は無いんですか?このままだと水害が起こる度に集落のお金に手をつけるしか無いんですよね?」
私の言葉にリューイは流石にムッとしたようだった。
「俺達だって、そんな事は分かっている!好き好んでこんな生活をしている訳じゃ無い。…他に方法がないんだ。」
「え?嘘でしょ?色々あるでしょ?水害が起こらないように川の護岸工事とか、それに折角これだけの水量の川があるんだったら水車小屋作るとか色々あるでしょ?」
リューイは訝しげに
「すいしゃっこやて何だ?」
「え、水車知らないの?水の力で動かすものなんだけど……。だったら特産品を増やすのも手か?魚の干物とか?いやでも川魚の干物ってあるんだっけ?」
一人ブツブツ考えているとリューイは真剣な目でこっちを見てた。
その視線に思わずしまったと、こんな事余所者が言っても余計な事だろう。
「あの、すいません、何でも無いです。」
慌てて謝り持っていた洗濯物をカゴに入れて、そそくさと部屋に戻ろうと
「じゃ!失礼します。」
とサスイの横を通り抜けようとすると、いきなりリューイに首根っこを掴まれ
「オイ、お前ちょっとこっち来い!」
ヤバイと必死に暴れたが、うんともすんとも言わない何て馬鹿力だ。
リューイは私を肩に担いでしまった。
「うわ!」
荷物の様にして運ばれた場所はついさっき迄いた村長室だった。
リューイは何も言わず、いきなり足でドアを蹴って開けた。
呆気に取られているとリューイは勝手知ったるでズカズカと入っていく
「おい!フユリ居るか?話がある!」
部屋に居たのはフユリ一人だけだった。
フユリはビックリした様子だったが、こっちを見るとため息をつき
「リューイ!いつも言ってるだろう!ノックをしろ!足で開けるなと!」
呆れていた様子だったがフユリは私を見て
「サスイそれは何だ?」
「ん、ああこれは……よっと。」
私を肩からそっと下ろした。
とっさに逃げようとするのをリューイに首根っこ掴まれそうになり咄嗟に避け足を蹴ろうとしたのだが上手く行かなくてリューイの足と足の間にヒットしてしまった。
「ぐぁ!」
リューイは声も無くそのまま崩れ落ち床に無言でうずくまった。
「あ…。」
これは流石に不味かっただろか?
フユリに目を向けるとフユリは何とも言えない顔をしていた。
咄嗟に思ったのは逃げよう!
そうだそうしよう後ずさりした。
その時ガッと腕を強く握られた。
そして地を這うような声で
「ぐっう、お前な、そこは蹴っては、、駄目だと、教わんなかったのか、、、。」
痴漢暴漢には効くとは教わったけどここは……。
リューイは物凄い形相で私を見ているけど
「不可抗力です。そもそもあんたが無理矢理連れてくるからこうなったんです。」
「お前なぁ」
リューイが言いかけたが先にフユリが
「二人共落ち着いて一体何があったんだい?僕にも分かる様に説明を」
大分落ち着いたのかリューイは私の手を掴んだままソファにドカッと座り隣に無理矢理座さられた。
フユリはやれやれと向かいに座り
「君はさっき座長の挨拶の時に居たよね?確か青さんだったかな?」
「はい。」
答えると
「へー?お前青って言うのか?」
リューイは関心したように
「リューイ知らなくて連れて来たのか?またどうして」
「ああ、それはコイツがこの集落の今後に重要だからだ」
リューイの言葉に流石のフユリも訝しげに私を見て
「この子が?」
リューイが頷き
「おい、さっきお前が言ってたの、詳しくフユリに話せ」
一瞬リューイが言っている意味がわからずにいると
「すいしゃが、どうのこうのってやつだよ!」
その言葉にフユリが興味深々と
「何だい?そのすいしゃって?」
仕方無くさっきリューイに話した事をもう一度フユリに話した。
話終えるとフユリは何かを考える風だった。
リューイは真剣な顔でフユリを見ている。まるで何かを待っているようだった。
そして顔を上げたフユリに一言
「なあ、出来そうか?」
それにフユリは頷き
「ああ、任してくれ今後の将来がかかってるしな……所で青さん。」
「さん、は要りません青だけでいいです。それで何ですか?」
「君がさっき言った物はどのような構造何だろうか?」
「流石に詳しくは分からないんです。大雑把にしか、すいません」
「いや、それでも構わないから分かる範囲まで教えて欲しい」
フユリに詰め寄られ、ふと選択場に置いてきた洗濯物を思い出した。
早く戻らないとサクヤが心配するだろう
「あの私仕事に戻らないと…」
「そうか、そうだったね、……だったら誰かを手伝わさせよう!座長には僕から話をとうそう、それでいいかな?」
有無を言わさない雰囲気だった。
仕方無く頷くとそこから二人の行動は速かった。
フユリは人を呼び色々手配をしてしまった。
「これで良いよね?」
ニッコリと言われ
「…はい」
としか言い様がなかった。
それから絵を描いたりして説明をして、ようやく開放されたのは大分時間が経った後だった。
帰り際二人からまた明日迎えに行くと言われ疲れがどっと出た。
重い足を引き摺り来た道を戻るとさっき迄居た洗濯場に出た。
そうだった洗濯物取りに来たんだった。
洗濯物は回収されている様だった。
カゴは何処だっけと見渡すと軒下にそのまま置いてあった。
取りにいくとさっきより強く雨が降ってる。
しばらく一人ぼうっと見ていると
「何を企んでいる?」
ビックリした。
いつの間にか背後に人が居た。
振り返ろうとすると首筋に冷たい感触が見ると、そこにはナイフがあてられていた。
……このナイフどこかで見た
……そうだ!こっちに飛ばされて来た時に見たナイフだ。
だとすると…この男はあの時私を殺そうとした男。
途端緊張が走った。
真っ直ぐ前を見たまま男に
「私を殺すの?」
「死にたいのだろう?」
「…………。別にどっちでも」
その言葉は嘘じゃ無い。
「………」
男はどう思ったのか首筋にあったナイフが外された。
男がスッ離れたのがわかった。
無意識に首を擦っていると
「此処では殺さない…まだ」
その言葉に黙っていると不意に男は居なくなった。
その様子を感じて安心した。
ホッと息を吐いていると
「青?良かった此処に居たのか。」
ライアスがホッとした顔でこちらに歩いてきた。
「どうしたんだい?顔色が」
心配そうに聞かれたが首を振り
「何でもないです。」
「そう?だったらもう戻ろう座長達も心配していたから」
その言葉に頷き洗濯カゴを持って洗濯場を後にした。
不意にライアスがチラッと後ろを見つめていた事には気が付かなかった。
ライアスと座長達の部屋のドアを開けるとボタンが飛びついて来た。
「おねいちゃん!」
ビックリして抱き上げるとサクヤが困った声で
「中々帰って来ないからボタンが凄く心配していたのよ?」
抱っこしたボタンに目をやると安心したのかウトウトし初めていた。
サクヤにボタンを渡すとそのまま眠ってしまった。
「青、こっちに来な。」
座長に呼ばれ側に行くと座長は書類に目を通していた。
「全く一体何をしでかしたんだい?いきなりフユリからの使いの者が来て「青は、しばらくの間こちらで預かりたい。」と言ってきて何が何だかサッパリだよ理由を聞こうにもお前は何処にも居ないしフユリからは、これだよ明日から手伝ってくれる人のリストだよ一体何人貸してくれるんだろうねぇ」
どう説明すれば良いのか困っていると呆れた様にため息をつき
「今日は疲れただろう?もう休みな」
そう言われ挨拶をして部屋を後にした。
何故かライアスも一緒に付いてきた。
部屋は反対のはずと
「あの、一人で戻れますけど」
「うん、でも心配だから」
何が言いたいんだろうか…?
「私の事なんて、どうだっていいでしょう」
「何故そんなに自分を卑下するんだい?」
「要らない人間だから」
「そんな人間は居ないよ」
「私です」
ライアスが困った顔をした。
しまった。
「別に貴方を困らせようとかした訳じゃないんですが、でもあまり私に関わらないで下さい、どうせ此処には、お金を払うまでしかいませんし」
それだけ言うと早足に部屋に戻った。
チラッとライアスを見ると無表情だった。これでライアスは私に近づいて来ないだろう、これでいい、この方が楽だ。
ベッドに倒れ込んだ本当に今日はいろんな事があった。
「疲れたな、はぁ」
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