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シドハッピーエンド 王の女
13 幸せの裏側
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シリアス展開注意
ヒーローの他の女性との性的接触注意
***
牢屋は、里の中心部からは離れた少し寂れた所に独立して建っていて、地上階だけではなくて地下にも居房があった。
シドや側近たちと共に、気絶した番を連れて初めて建物内部に足を踏み入れたヴィクトリアは、すぐさま檻の中に入っていたシドの番たちからの、強い殺意の込もった視線に晒された。
悪意を向けられるのは覚悟していたつもりだったが、しかしヴィクトリアは、予想とは違った様子の番たちもいることに、面食らっていた。
シドが睨みを効かせているため、ヴィクトリアに罵詈雑言を浴びせたり物を投げ付けてくる者はいなかったが、そんな風に悪意を維持できている番は、まだいい方だった。
そこには「絶望」という言葉を、表情や瞳や身体全体で表し、無気力に身体を投げ出している番たちがいた。
シドに捨てられて、もう二度と愛を囁かれたり抱かれることはないのだと、完全に理解している彼女たちの眼は虚ろだった。
自害を防止するためらしく、身体を鎖や手錠で拘束されていたり口枷を嵌められている者もいる。
「死なせてやった方が良い場合もある」
主人を失ったハーレムの末路とでもいうのか、この牢獄は愛と希望を失くした者が行き着く、救いようのない悲しい場所のように思えてきた。
シドが最初ヴィクトリアがここに来ることに反対した理由はこれだったようだ。
しかし、最終的にはヴィクトリアの意見を呑み牢屋へ足を踏み入れることを許可したのは、ヴィクトリアがシドと番になってから感じるようになった、お互いへの信頼感からなのか、それとも、状況を見せつけて「だから死なせてやった方が良いだろう?」とヴィクトリアを説得するためだったのか――――
以前のシドであれば間違いなく後者だっただろうが、ヴィクトリアの精神は何だかぐちゃぐちゃになってしまって、シドの意図がどちらなのか、よくわからなくなってしまった。
通り過ぎる居房の一つ一つに獣人がいて、時には人間も入っている。
シドの番ではない囚人たちもいたが、生活能力というか生きていく気力すら失った番の面倒を見るために、檻の中に同時に押し込められてしまった哀れな人間たちのほとんどは、女性だった。
番には怪我をしていて血の滲んだ包帯が身体に巻かれた者もいた。ヴィクトリアの命を狙った時にシドが負わせた傷のようだった。
シドはヴィクトリアと「番を殺さない」という約束を交わしている。彼女たちの怪我は致命傷ではないと思うが、シドに傷付けられたことも相まって、悲壮な負傷に見えた。
「人間の男と番にしてやろうと思って一緒に入れたら、暴れたり監視を掻い潜って死ぬ者が多くてな。途中からこいつらの世話するのは全部女になった」
悪びれもなく説明をするシドの様子に、ヴィクトリアの胸にゾワゾワと得体の知れないものが込み上げた。
ここに来た最初の目的は、赤子や、母親と離れ難い時期の子供たちが過ごすのに、牢屋が適した環境かどうかを確認するためだったが、それどころではなくなってしまった。
(こんなの、まともじゃない)
ヴィクトリアは、シドが基本的に自分以外には非道な男であったことを、改めて目の当たりにさせられた気分だった。
けれど、どんなに非道であっても、ヴィクトリアはシドを愛している。
シドに捨てられた彼女たちだって、ヴィクトリアと同じくらいシドを愛していたのだろうと思えば、彼女たちの悲惨さに心が押し潰されそうだった。自分の番がやってきたことの結末がここにあった。
ヴィクトリアたちはやがて一番広々とした牢の前まで来た。
檻の中にはシドの番が三人いて、世話役の人間も二人いた。同時に、母親から離れようとしない幼い子供もいる。広さがそれなりにあって寝台が複数置いてある以外は、居房は他のものとほぼ変わらない様相で、風呂にも入れないこの環境は清潔な状態とは程遠かった。
檻の扉が開けられる。今もまだ気絶したままで中へ運び込まれる番と彼女の赤子は、こんな所で暮らさねばならない。
シドの番たちがここに収監されているのは、皆、ヴィクトリアを殺そうとしたからだ。
けれど子供たちには何も罪はないし、最初は手籠めにされて無理矢理シドの番にされた女性もいると考えたら、もう駄目だった。
「シド…………」
ヴィクトリアが思い詰めた声でシドの名を呼び、彼の方を見た時には――――シドは既に、手練れの側近たちが冷や汗を掻いて腰が引くくらいの、物凄く恐ろしい顔付きと雰囲気になっていて、ヴィクトリアを睨んでいた。
(私の考えがわかるのね)
シドと通じ合っていることは嬉しいのに、これから自分が言うことが現実化するのは、嬉しくないと思った。
「ハーレムの形に戻して」
静寂が辺りを包んだ。
「………………わかった」
シドは怒気を滲ませた声で一言そう言ってから、檻の中に入って行った。
シドの表情には怒りと共に悲しみもあったが、シドの方を見ていられずに下を向き、嗅覚も失っていたヴィクトリアは、気付けなかった。
ただ、シドが文句も言わずにヴィクトリアの言葉に従った事で――――ヴィクトリアは先ほど、「シドが何か企みを持って自分に牢屋の現状を見せることを許可した」と考えてしまったことは、間違いだと知った。
シドは「牢屋の環境が悪かったら改善したいし、そのためには現場を見たい」というヴィクトリアの強い希望を受け入れただけだ。
願いはなんでも叶えてあげたくなるくらい、シドにとってはヴィクトリアが一番で、至高の存在なのだと気付いたけれど、もう遅かった。
「オラッ! 服を脱いでさっさと股を開け!」
「あっ! シド様! こんな所では駄目です! シド様……っ! あっ♡ あっ……♡ あああぁっ♡ あ~~~~んっ♡♡」
ヴィクトリアは何も見たくなくて、何も知りたくなくて、眼前の牢屋の中で行われている行為は全く視界に入れなかった。番たちが上げる嬌声も聞いていたくなくて、逃げるようにしてその場から走り去った。
泣きながら、どうしてこんなことになってしまったのだろうと思った。
シドは「番たちにいなくなってほしいと願っているのがヴィクトリアの本心だ」と見抜いていたが、その通りにすればよかったのだろうか。全員を殺してしまえばよかったのだろうか。
けれど、レインの大切な少女を見殺しにしたことを今でも心の重い枷にして悔やみ続けているヴィクトリアには、とてもそんなことできなかった。
ヴィクトリアはシドの館の自分の部屋には戻れなくて、現在の仮の住処である医療棟の一室に戻ってきた。
泣いて泣いて、最愛の人を他の女に差し出してきてしまった愚かな行為を後悔し尽くして、でも、今更戻れなくて――――
ヴィクトリアは失意のまま、泣き疲れて眠りに落ちた。
『――――ヴィー……』
誰かが呼んでいる。ヴィクトリアは自分が眠っている自覚のないまま、夢の中にいる「意識だけの自分」の瞼を開けた。
周囲は少し薄明るくて、何もない場所だった。目の前には黒いフードを被った顔の見えない人物が立っている。
ヴィクトリアは自分を呼んだその声が誰のものなのかすぐにわかったので、格好の印象から来る不気味さは感じなかった。
ヴィクトリアは再会できたことに嬉しくなって、その人物に話しかけた。
「マグ、来てくれたの?」
マグノリアがフードに手をかけると、真っ直ぐな黒髪がサラリと肩に落ちた。
こちらを落ち着かせるような、理知的で凪いだマグノリアの黒い瞳と目が合うと、ヴィクトリアは愛に傷付いて疲れていた自分の心が、スッと癒やされていくように感じた。
「何度か鳥を使ってヴィーに接触しようとしたのだけど、シドがあなたを連れ去られることをかなり警戒していて、全く近付けなかったのよ。
だから夢の中にお邪魔することにしました」
マグノリアはそう言って、ヴィクトリアを安心させるような優しい微笑みを見せた。
ヒーローの他の女性との性的接触注意
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牢屋は、里の中心部からは離れた少し寂れた所に独立して建っていて、地上階だけではなくて地下にも居房があった。
シドや側近たちと共に、気絶した番を連れて初めて建物内部に足を踏み入れたヴィクトリアは、すぐさま檻の中に入っていたシドの番たちからの、強い殺意の込もった視線に晒された。
悪意を向けられるのは覚悟していたつもりだったが、しかしヴィクトリアは、予想とは違った様子の番たちもいることに、面食らっていた。
シドが睨みを効かせているため、ヴィクトリアに罵詈雑言を浴びせたり物を投げ付けてくる者はいなかったが、そんな風に悪意を維持できている番は、まだいい方だった。
そこには「絶望」という言葉を、表情や瞳や身体全体で表し、無気力に身体を投げ出している番たちがいた。
シドに捨てられて、もう二度と愛を囁かれたり抱かれることはないのだと、完全に理解している彼女たちの眼は虚ろだった。
自害を防止するためらしく、身体を鎖や手錠で拘束されていたり口枷を嵌められている者もいる。
「死なせてやった方が良い場合もある」
主人を失ったハーレムの末路とでもいうのか、この牢獄は愛と希望を失くした者が行き着く、救いようのない悲しい場所のように思えてきた。
シドが最初ヴィクトリアがここに来ることに反対した理由はこれだったようだ。
しかし、最終的にはヴィクトリアの意見を呑み牢屋へ足を踏み入れることを許可したのは、ヴィクトリアがシドと番になってから感じるようになった、お互いへの信頼感からなのか、それとも、状況を見せつけて「だから死なせてやった方が良いだろう?」とヴィクトリアを説得するためだったのか――――
以前のシドであれば間違いなく後者だっただろうが、ヴィクトリアの精神は何だかぐちゃぐちゃになってしまって、シドの意図がどちらなのか、よくわからなくなってしまった。
通り過ぎる居房の一つ一つに獣人がいて、時には人間も入っている。
シドの番ではない囚人たちもいたが、生活能力というか生きていく気力すら失った番の面倒を見るために、檻の中に同時に押し込められてしまった哀れな人間たちのほとんどは、女性だった。
番には怪我をしていて血の滲んだ包帯が身体に巻かれた者もいた。ヴィクトリアの命を狙った時にシドが負わせた傷のようだった。
シドはヴィクトリアと「番を殺さない」という約束を交わしている。彼女たちの怪我は致命傷ではないと思うが、シドに傷付けられたことも相まって、悲壮な負傷に見えた。
「人間の男と番にしてやろうと思って一緒に入れたら、暴れたり監視を掻い潜って死ぬ者が多くてな。途中からこいつらの世話するのは全部女になった」
悪びれもなく説明をするシドの様子に、ヴィクトリアの胸にゾワゾワと得体の知れないものが込み上げた。
ここに来た最初の目的は、赤子や、母親と離れ難い時期の子供たちが過ごすのに、牢屋が適した環境かどうかを確認するためだったが、それどころではなくなってしまった。
(こんなの、まともじゃない)
ヴィクトリアは、シドが基本的に自分以外には非道な男であったことを、改めて目の当たりにさせられた気分だった。
けれど、どんなに非道であっても、ヴィクトリアはシドを愛している。
シドに捨てられた彼女たちだって、ヴィクトリアと同じくらいシドを愛していたのだろうと思えば、彼女たちの悲惨さに心が押し潰されそうだった。自分の番がやってきたことの結末がここにあった。
ヴィクトリアたちはやがて一番広々とした牢の前まで来た。
檻の中にはシドの番が三人いて、世話役の人間も二人いた。同時に、母親から離れようとしない幼い子供もいる。広さがそれなりにあって寝台が複数置いてある以外は、居房は他のものとほぼ変わらない様相で、風呂にも入れないこの環境は清潔な状態とは程遠かった。
檻の扉が開けられる。今もまだ気絶したままで中へ運び込まれる番と彼女の赤子は、こんな所で暮らさねばならない。
シドの番たちがここに収監されているのは、皆、ヴィクトリアを殺そうとしたからだ。
けれど子供たちには何も罪はないし、最初は手籠めにされて無理矢理シドの番にされた女性もいると考えたら、もう駄目だった。
「シド…………」
ヴィクトリアが思い詰めた声でシドの名を呼び、彼の方を見た時には――――シドは既に、手練れの側近たちが冷や汗を掻いて腰が引くくらいの、物凄く恐ろしい顔付きと雰囲気になっていて、ヴィクトリアを睨んでいた。
(私の考えがわかるのね)
シドと通じ合っていることは嬉しいのに、これから自分が言うことが現実化するのは、嬉しくないと思った。
「ハーレムの形に戻して」
静寂が辺りを包んだ。
「………………わかった」
シドは怒気を滲ませた声で一言そう言ってから、檻の中に入って行った。
シドの表情には怒りと共に悲しみもあったが、シドの方を見ていられずに下を向き、嗅覚も失っていたヴィクトリアは、気付けなかった。
ただ、シドが文句も言わずにヴィクトリアの言葉に従った事で――――ヴィクトリアは先ほど、「シドが何か企みを持って自分に牢屋の現状を見せることを許可した」と考えてしまったことは、間違いだと知った。
シドは「牢屋の環境が悪かったら改善したいし、そのためには現場を見たい」というヴィクトリアの強い希望を受け入れただけだ。
願いはなんでも叶えてあげたくなるくらい、シドにとってはヴィクトリアが一番で、至高の存在なのだと気付いたけれど、もう遅かった。
「オラッ! 服を脱いでさっさと股を開け!」
「あっ! シド様! こんな所では駄目です! シド様……っ! あっ♡ あっ……♡ あああぁっ♡ あ~~~~んっ♡♡」
ヴィクトリアは何も見たくなくて、何も知りたくなくて、眼前の牢屋の中で行われている行為は全く視界に入れなかった。番たちが上げる嬌声も聞いていたくなくて、逃げるようにしてその場から走り去った。
泣きながら、どうしてこんなことになってしまったのだろうと思った。
シドは「番たちにいなくなってほしいと願っているのがヴィクトリアの本心だ」と見抜いていたが、その通りにすればよかったのだろうか。全員を殺してしまえばよかったのだろうか。
けれど、レインの大切な少女を見殺しにしたことを今でも心の重い枷にして悔やみ続けているヴィクトリアには、とてもそんなことできなかった。
ヴィクトリアはシドの館の自分の部屋には戻れなくて、現在の仮の住処である医療棟の一室に戻ってきた。
泣いて泣いて、最愛の人を他の女に差し出してきてしまった愚かな行為を後悔し尽くして、でも、今更戻れなくて――――
ヴィクトリアは失意のまま、泣き疲れて眠りに落ちた。
『――――ヴィー……』
誰かが呼んでいる。ヴィクトリアは自分が眠っている自覚のないまま、夢の中にいる「意識だけの自分」の瞼を開けた。
周囲は少し薄明るくて、何もない場所だった。目の前には黒いフードを被った顔の見えない人物が立っている。
ヴィクトリアは自分を呼んだその声が誰のものなのかすぐにわかったので、格好の印象から来る不気味さは感じなかった。
ヴィクトリアは再会できたことに嬉しくなって、その人物に話しかけた。
「マグ、来てくれたの?」
マグノリアがフードに手をかけると、真っ直ぐな黒髪がサラリと肩に落ちた。
こちらを落ち着かせるような、理知的で凪いだマグノリアの黒い瞳と目が合うと、ヴィクトリアは愛に傷付いて疲れていた自分の心が、スッと癒やされていくように感じた。
「何度か鳥を使ってヴィーに接触しようとしたのだけど、シドがあなたを連れ去られることをかなり警戒していて、全く近付けなかったのよ。
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