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6話 冒険者目指してみる

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ーバタンー

ドアが閉まる音で目が覚めた。
うっすら目を開け、体を起こすと
窓からの眩しい朝日が目に飛び込んで
来る。

「うっ…!眩しっ」

すぐに頭を反らして光を避ける。
ソファから降りると取り敢えずさっき
音がしたドアを開けて外に出る。

「フッハッ  ハァッ!」

最後の掛け声と共にブワッと風が
起こる、
セベクは木剣を振るっていた。

ぇ….剣って振ると風起こるっけ?
……異世界 怖っ

すると俺に気付いたのかセベクが
こちらの方を向いた。

「おう、起きたか。飯を食いたいとこだがウチには特に食い物が無ぇんだ、
すまねぇな」

確かに部屋は綺麗だったが食べ物らしき
物は一つもなかったな、
中世ヨーロッパに魔法を追加した
みたいな感じだし
干し肉とかが主流なんかな。

「でもまぁ、ギルドに行きゃあ食い物なんて大量あるから大丈夫だ、この素振りが終わったらギルドで飯食おうぜ」

「わかりました」

俺はそう答え、部屋のソファに戻り
二度寝した。



「おい、起きろ行くぞ」

二度寝を開始して、何分くらいか正確にはわからないが15分程度で起こされた。

「わかりました~」

俺がそう言うとすぐにセベクは外に出て行くので、直ぐに起き上がり急いで
追いかける。

なんか、せっかちなのかわかんないけど
なんな行動が早いよなぁ…

家のドアを開けてもセベクはもう見えないので街道に出るとギルドの方向に
歩いて行くのが見えた。なんとか走って
追い付くと少し後ろを歩く。

ものの2分程でギルドに着くと、昨日は
行かなかった二階への階段を上がる。

階段を上がると短い廊下になっていて
廊下の真ん中に扉が付いている。廊下の先はもう一つの方の階段に繋がっている

そそくさとセベクが扉を開けて中に入っていくので、またもや中に急いで入る。


酒場は一階と同じくらい広く、木の大きめの机と一つの机に四つの椅子が
部屋一杯 バーッと置いてある

部屋の割には人はそこまで多くなく
4人組や3人組のグループが数人いる程度だ。
部屋の奥には一階と同じようにカウンターがお姉さんが立ってる、どうやらあそこで注文なんかをするようだ。

「何が食いたい?」

セベクが不意に尋ねてくるので
「えっ何でもいいです」
 咄嗟にそう答えると、セベクは頷いてカウンターへ行ってしまった。

あ…何があるのか聞けば良かった…

突っ立てて目立つのも嫌なので適当な
席に座っているとセベクが戻ってきた。

「俺と同じモン頼んどいたぞ」

「一体何を頼んだんですか?」

そう聞き返すとセベクはうっすらと
笑みを浮かべながら
「まぁまぁ、楽しみにしとけって」

と言っている。

一体どんなモノが来るんだ…恐いわ…
やっぱりちゃんと聞くんだった…
後悔先に立たずとはこの事だわぁ…

くそぅ…

「で、今日この後の予定なんだが…」

俺が本気で悔やんでいるとセベクが
話かけてくるので顔を上げる。

「ハル、お前さん冒険者になってみる
つもりはねェか?」

「はい!なってみたいです!」

即答した。

まさか俺が言う前にソレを言ってくれるなんて…!

冒険者になったら魔法とか使えちゃったり?
なんかすんごいスキルみたいなのが
開花しちゃったりするんじゃね?!

俺は異世界と自分の才能に期待した。


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