別にこいつとは付き合ってませんけど?

紫蘇

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聖人様になる旅路

もはや暴走ではない

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森の中では、今まで通りというか何というか、相変わらず魔物が出てきた。
でも今回はちょっと様子が違う。

数が少ない。

でも小さくない。

めちゃデカイ。

めっっっっっっちゃデッカイ!!!

「蛇っ、蛇!?」
「落ち着けシゲ、あれ毒蛇じゃないから」
「毒のあるなし最早関係なくね!?」



最初はいつもより静かだなと思った。

すると森の入口から少し進んだところで、ハイドさんが異様な音に気が付いた。
リラさんが遠視でそれを見て言った。

「蛇です…気づかれないように行きましょう」
「うん」

そうして出来るだけ最小限の音で進んでいたはずなのに、奴はこっちに気付いた。
そして目を光らせ、口を大きく開け…

「走って!」
「はい!!」

そして今に至る。



一気に祠まで行こう、と必死で走る俺たち。
森の木をすり抜けながら怒涛の勢いで追っかけて来る蛇…っていうか森の木が避けてる!?

「まさかこの森の木、全部魔物になってんの!?」
「いや、八割程度だ」
「ほぼ全部じゃんかあ!!」

冷静なミシェルの発言が余計怖い。

もう!なんでこんなになってんだよ!!
馬鹿!ばかーーー!!

「もういい!暴走してやる!!」
「えっ宣言付き!?」
「じょうかああああああ!!」




・・・

…というわけで、森は静かになり、超巨大蛇は大蛇になり、光にびっくりして目を回していた。

自分から暴走しに行った分、意識を取り戻すのも早かったみたい…
魔物って、戻るとこんなに縮むんだなぁ。

ただ、元に戻ったところで大蛇は人を襲ったりもするからときっちり駆除されてしまった。
子どもを丸呑みにする話を聞かされたら、そりゃ仕方ないと思った。

そして、今回は戒めとか無いから、と俺はトモアキにおんぶされて祠まで運ばれている。

「…シゲ、いつの間に自分から暴走できるようになったん?」
「いや、何となく…やったら出来た」
「天才か」
「まあ、光の力だけは自信がある」

初日にして一発で出来たし、みんな喜んでくれるからもっと出来るようになろうって練習も頑張れるし、俺って褒められて伸びるタイプなのかも。

「後でどうやってやったか聞くわ。
 200年後にも役立ちそうだしな!」
「おう、また宿屋でな」

記録係トモアキは仕事もきっちりだ。
毎晩宿で俺に聞き取りをしながら、几帳面にいっぱいメモを書いて頑張ってる。
そのへんは元の世界にいた時と同じだな…クリスチーヌさんにこの真面目さも伝われば良いんだけど。

「さて、そろそろ祠かな…おっ?」
「あ、あれじゃね?
 トモ、俺こっからミシェルと行くわ…ありがと」
「そっか…頑張って来いよ!」
「おう!」

俺はトモアキの背中から降り、ミシェルの側へ駆け寄った。


***


祠の中は相変わらずの「もやぁぁぁん」だった。

「シゲル、お疲れ様だったな」
「うん、すげえ走った。でも毎回死ぬ気で走ってるおかげか分かんないけど、足が速くなったよ」

「良いこともあったということ?」
「何にでも、良いことと悪いことがあるからね」

「ところでシゲル、『息を合わせた行動』については…覚えているか?」
「うん、覚えてる…神様もあれで良いって言ってた」

むしろあれで良いというより「それよ!!」って感じだったし、絶対大丈夫。

さて、会話も終わったし、先へ進もう…

「じゃあ、この前の…距離なし、だっけ?」
「ああ、やろう」

俺とミシェルは向かい合って立ち、両手を上げる。

「じゃあ、行くよ」
「ああ、来い!」


…前回と同じく、手押し相撲の要領で俺たちはぺちぺちとお互いの手をはたき合い、時々ミシェルに勝ちを譲られつつ、ついでにつむじを嗅がれつつ、5分間を過ごし…


「…そろそろ、かな」
「うん」


そしていよいよ…


「…踊ろうか、シゲル」
「…うん」


……緊張のダンスタイムが、始まる。

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